国際子ども図書館について

国際子ども図書館基本計画

国図上第15号  平成8年5月16日

※平成8年12月に「児童書センター(仮称)」を「国際子ども図書館」に名称変更。

目次

1 基本方針

国立国会図書館のサービスは子どもを含む国民すべてに及ぶものであるとの認識に立ち、子どもの読書環境・情報提供環境の整備に資するため、所管する児童書及び関連する研究資料を基礎として、子どもへのサービスの第一線にある図書館の活動を支援し、かつ子どもの出版文化に関する広範な調査・研究を支援するナショナル・センターとして、国立国会図書館支部上野図書館に「児童書センター」(仮称)(以下「児童書センター」と略す)を設置する。

2 基本的役割

1.資料・情報センターとしての役割

ナショナル・レベルでの資料・情報センターとして、国内外の児童書及び関連資料の収集・保存・提供、調査・研究、情報発信等を通じて、広く研究者、教育関係者、出版人、父母等の児童書や読書に関わる多様な活動を支援する。

2.第一線の児童サービスの支援

資料、情報の提供のほか、第一線の図書館活動に必要な研究、研修の企画・実施等を通じて、第一線の児童サービスに携わる人とその活動を支援する。

3.関係諸機関との連携・協力と国際的役割

ナショナル・センターとして、国内外の関係諸機関との協力ネットワークを構築し、その調整を図り、情報資源の共有化や人的交流を進める。また、アジア諸国を初めとする世界各国の代表的な児童書及び関連する各種情報を収集・整備し、もって情報の国際流通に寄与し、子どもたちの異文化理解に資する。

4.子どもへのサービスのあり方

子どもへのサービスについては、第一線の図書館サービスを支援し活性化させること、及び全国の子どもたちが等しくサービスを享受し得ることを原則とする。非来館型サービスとして、電子図書館機能を活用しネットワークを通じて、各地の図書館や学校で子どもたちが本施設の持つ資料・情報を利用できるようにする。来館する子どもへのサービスとしては、読書のおもしろさや身近な図書館の世界に親しむきっかけを与える「子どもと本のふれあいの場」として展示、各種イベントの企画・実施や見学等のサービスを行う。

3 機能とサービス

「児童書センター」に必要な機能は、情報資源の蓄積、書誌データベースの整備、情報資源の提供及び内外の関係諸機関との連携・協力に大別される。それぞれの機能展開において、以下のような種々のサービスの実現を図るものとする。

1.情報資源の蓄積

内外の児童書及び関連資料の積極的収集を図り、それら所蔵資料を恒久的に保存する。貴重書や劣化資料については、メディア変換による保存蓄積を図る。

2.書誌データベースの整備

基本的な書誌データベースとして、子どもの利用等の条件を考慮したデータ項目やアクセスポイント等を拡充し、児童書データベースを構築する。児童書及び子どもの文化に関する雑誌記事索引データベース、レファレンスや選書に役立つ各種の専門書誌データベースも整備する。また、国内の類縁機関と共同し、総合目録データベースを作成する。

3.情報資源の提供

調査・研究目的の来館利用者に対するサービスについては、所蔵資料の閲覧・複写、レファレンス・サービスを実施するとともに、書誌データベースや所在・所蔵情報の提供を行う。

また、来館利用サービスの一環として、子どもを含む利用者に体験参加型の展示、各種イベントを企画・実施し、さらに修学旅行生等を対象とした見学サービスも実施する。

なお、利用環境を整備し、ニューメディアやAV資料の提供及び電子図書館機能を活用した情報の提供を行う。

非来館型サービスとしては、資料の図書館間貸出、複写サービス及びレファレンス・サービス、各種書誌データべースや総合目録データベースの提供、電子図書館機能を通じた情報提供等を実施する。

4.内外関係諸機関との連携・協力

資料・情報センターとして、児童書や読書に関わる研究や、第一線の児童サービスに活用する図書館情報学的研究を支援する。研究プロジェクトを企画・実施し、その成果を業務に反映させるとともに、刊行物等の形で公表する。研修プログラム、セミナー、シンポジウム、講演会等を企画・実施し、国内外の児童書の図書館活動に資する。受託研究員・研修生制度、委嘱研究員制度を活用し、研究・研修を推進する。

国内の関係諸機関を結ぶ協力ネットワークを構築し、情報資源の共有、情報受発信、レファレンス協力等の相互協力体制を確立する。これを円滑に運営するための調整機能を果たす。

海外の関係諸機関とも刊行物、目録、書誌、情報の交換や研究員、研修生の受入等による人的交流を推進する。また、児童図書館活動に関し、UNESCO、IFLA等の国際機関の活動に積極的に参加する。

4 資料の整備

1.所管すべき資料

「児童書センター」は、その基本的役割を果たすため、国立国会図書館が現に所蔵し、かつ今後収集する国内外の児童書、関連資料及び基本参考資料を幅広く所管する。なお、本施設において児童書とは、成長期(18歳までを想定)にある層を対象としたあらゆる形態・ジャンルの資料とし、ヤングアダルト資料もこの範囲に含める。

(1)国内の児童書

図書・逐次刊行物のほか、AV資料、ニューメディア資料等の非図書資料も含めたあらゆる形態の資料。複本コレクションの構築を積極的に進める。なお学習参考書、コミックについては、対象範囲・区分等を検討のうえ所管を決定する。

(2)外国の児童書

日本に関係するもの、日本語に翻訳されたものの原書及び各国の基本的な児童書。アジア地域の出版物に留意する。

(3)国内外の関係資料

児童文学等の関連諸分野の資料。

(4)国内外の基本参考資料

一般的な目録・書誌類、事典・辞書、その他レファレンスツール。

2.資料の収集

資料の収集は、納本・購入・寄贈によるほか、メディア変換による未収資料の収集にも努める。複本コレクションについては特に寄贈による収集を図る。

適切な蔵書構築のため、外部の有識者の意見を選書に反映させる体制を整備する。

3.資料の流れと業務体制

資料の受入及び基本的な整理作業については本館の資料の流れの中で行い、「児童書センター」では主題分析を伴う専門的な整理作業を担当する。また、逐次刊行物の受入は同センターで行う。なお、整理区分及び分類・件名の見直し、原装保存の方針決定等を早期に実施する。

4.蔵書構築と収蔵計画

(1)本館既蔵資料の移送

「児童書センター」の機能実現のために必要な資料のうち、本館既蔵分については早期に基準を定め、段階的に移送する。

(2)開館準備段階における資料整備

国内外の基本参考資料、外国の児童書、未収資料等の収集に努めるとともに、資料の移送準備、データベースの整備を進める。

(3)収蔵計画

「児童書センター」の施設整備計画に合わせて資料の配置計画を立て、新規収集資料及び本館からの移送資料を段階的に配置する。また、資料の保存に適した環境整備を行う。

5 システム整備

1.基本方針

「児童書センター」は、その機能を実現し、充実させる手段として電子図書館化を積極的に推進する。電子図書館化の目標は、(1)書誌・所在情報の整備や情報資源のディジタル化等ネットワーク環境における情報提供機能の強化、(2)子どもの文化の特性を考慮したマルチメディア情報サービス、(3)情報流通の国際化や関係機関との双方向の協力関係の基盤となるネットワーク整備等である。このために必要なシステムの整備にあたっては、現在の本館の諸システム、あるいは将来の統合システムとの整合性に十分配慮しつつ、分散処理が可能なシステムとして構築する。

2.整備すべきシステム

本施設には、(1)資料管理、受入、選書・発注、利用統計処理等の業務系システム、(2)データベース作成系システム、(3)情報検索、一次情報の電子的提供、ILL、研究者等の支援・レファレンス、子ども向けマルチメディア情報提供等の情報提供系システム、(4)他機関とのネットワーク協力の基盤系システム等が必要である。

なお、ハードウェアについては、分散型システムを維持するために必要な環境を整備する。LAN敷設やデータベース・サーバー機の設置、利用者用・事務用端末や子ども向けマルチメディア情報提供機器の整備等、施設のインテリジェント化を図る。また、本館とは画像の送受信が可能な大容量の通信回線で接続する。

3.児童書の電子図書館プロジェクトの位置付け

平成7年度「児童書の電子図書館プロジェクト」により着手した基盤整備、提供実験は、これを継続し評価・検証を行うとともに、児童書の特性や利用に適した付加情報等の必要事項について検討を加え、本施設の電子図書館化に必要なシステムとして発展させる。

4.システム開発、運用・維持管理

全館の業務機械化の枠組みの中で必要なシステム開発を進める。システム稼動後の運用・維持管理に関しては、本館と離れていることによる支障が生じないよう措置を講ずる。

6 組織・運営等

1.基本的な考え方

資料の収集、整理、保存、データベースの作成等の図書館の基盤的業務を除く、複写業務に係る作業、システム管理及び施設管理(保全、清掃、警備等)等の業務については委託、外注等により実施する。また、「児童書センター」の機能の充実を図るため、ボランティア制度の導入、児童書に関する高度な専門知識を有する客員調査員の委嘱、受託研修生制度の活用等についても検討する。

2.組織・機構

「児童書センター」は、企画調整担当と資料情報担当の二部門で構成する。各部門の所掌事務は、以下のとおりとする。

企画調整部門

庶務関係−庶務、施設管理、システム管理等

渉外関係−図書館協力(国内・国際協力)、ネットワーク調整、研究・研修の企画・実施、イベントの企画・実施、広報等

展示、見学等

資料情報部門

選書、受入、データベース整備・管理、資料管理

閲覧、貸出、複写、レファレンス、書庫管理

3.職員の専門知識・能力の涵養

「児童書センター」の機能実現に必要な職員の基礎的知識や能力の涵養に資するため、類縁機関等との相互の職員の出向・研修や、研究会・セミナーへの参加等による人的交流を積極的に進める。

7 施設

1.基本的な考え方

「児童書センター」は、当初現庁舎の昭和期建造部分の建替えをもって開館し、さらに明治期建造部分の原型保存による改修工事を行って、本施設の機能とサービスを拡充・強化することを前提として、施設計画を立案するものとする。

2.施設計画に際しての留意事項

「児童書センター」の機能を十分に発揮させるため、下記の事項に留意する。

  • (1)施設のインテリジェント化
  • (2)快適な利用環境、作業環境の確保
  • (3)一般及び研究利用ゾーンと展示・見学ゾーンとの動線分離
  • (4)展示・見学ゾーンにおける子どもの利用
  • (5)集密書架の導入、書架の増設・仮設等による資料収蔵能力の強化
  • (6)資料保存環境の整備

3.施設構成

利用空間、作業空間及びその他の付帯施設の3要素を効果的に配置する。

利用空間

  • エントランス     

    ホール

  • 一般閲覧スペース     

    閲覧室、関連資料・参考資料の開架室、ニューメディア・AV資料利用ブース、検索コーナー

  • 展示・ソフト利用スペース     

    ギャラリー、各種情報利用コーナー

  • 研究・研修スペース     

    共同研究室、セミナールーム

  • 集会施設     

    多目的ホール

作業空間

  • 事務スペース     

    館長室、事務室、作業室、会議室、応接室、電子計算機室

  • 書庫     

    書庫、特殊資料保存庫、搬送設備

付帯施設

  • レストラン・喫 茶
  • 売 店
  • 厚生施設     

    健康管理室等

  • 管理施設     

    受付、防災センター、作業員控室、倉庫

  • 設備機械室     

    電気室、空調機械室

  • 駐車場
  • 外構

8 スケジュール

「児童書センター」は、平成10年度に予定されている支部上野図書館の昭和期建造部分の改築竣工後速やかに開館し、第1期としてサービスを開始する。その後に予定されている明治期建造部分の改修後に第2期として、本施設の機能とサービスを本格的に展開する。現時点から第2期の数年間位までの期間を展望し、以下のように順次段階的に整備を図るものとする。

1.開館準備段階

開館に向けた基盤整備を行う。国内外の基本参考資料、外国の児童書、未収資料の収集とその整備に努めるとともに、本館資料の移送準備、データベースの整備、システムの調査・設計・開発、電子図書館化の基盤整備、関係諸機関とのネットワーク構築に関する協議、将来のサービスや運営に係る各種調査等を実施する。

2.第1期

開館時には、国内の児童図書13万冊のほか、外国の児童図書、関連分野の逐次刊行物、基本参考資料及び関連図書を所管し、それに基づき「児童書センター」の基本的な機能とサービスを実現する。また、電子図書館化の基盤整備を進め、関係諸機関とのネットワーク化を具体化し、貸出、複写サービス等とともに、非来館型サービスも開始する。

子どもへのサービスについては、昭和期改築部分の施設で可能な範囲で、展示、セミナー、各種イベントを企画・実施する。また、それに必要なAV資料、ニューメディア資料等の整備も併せて行う。

3.第2期

児童雑誌、その他所管すべき資料の配置・整備を行い、それに基づき本施設の機能とサービスを充実させる。明治期建造部分を活用した種々のサービス(展示、見学、各種イベント等)を実施し、内外関係諸機関との連携・協力にも本格的に取り組むとともに、研究・研修を進める。

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