国際子ども図書館について

国際子ども図書館 第2次基本計画

国図子1103242号
平成23年3月29日

目次

  1. この計画の位置づけ
  2. 経緯
  3. 国際子ども図書館の使命と役割
    • (1) 国際子ども図書館の使命
    • (2) 3つの基本的な役割
  4. 機能とサービス
  5. サービス展開のための基盤の整備
    • (1) 施設の拡充再編
    • (2) 組織整備
  6. スケジュール

1. この計画の位置づけ

この計画は、国立国会図書館国際子ども図書館(以下「国際子ども図書館」という。)の使命と基本的な役割を改めて明確にするとともに、新館建設・既存棟改修が完了する予定の平成27(2015)年度に実現を目指すサービス及びその基盤となる施設・組織の整備に係る基本的な方針を明らかにすることを目的とするものである。

なお、この計画は、「国際子ども図書館基本計画」(平成8年国図上第15号)の後継に当たるものである。

2. 経緯

国際子ども図書館は、「おおむね十八歳以下の者が主たる利用者として想定される図書及びその他の図書館資料に関する図書館奉仕を国際的な連携の下に行う」(国立国会図書館法第22条)、我が国初の国立の児童書専門図書館として平成12年1月に設立された。

国際子ども図書館の基本機能については、平成7年11月の「国立国会図書館に設置する児童書等の利用に係る施設に関する調査会答申」を受けて平成8年5月に策定した「国際子ども図書館基本計画」において、子どもの本に関わる大人向けの資料・情報センターとしての役割を第一義とした。子どもへのサービスについては、第一線の児童サービスの支援と非来館型サービスを重視し、来館した子どもへのサービスは、読書のおもしろさや身近な図書館の世界に親しむきっかけを与える「子どもと本のふれあいの場」として位置づけた。

平成12年5月の部分開館、平成14年5月の全面開館を経て、当初に掲げたサービスメニューはおおむね実施してきたが、書庫が満架に迫るなど施設的制約が顕在化する中、平成17年3月、今後の国際子ども図書館のサービスのあるべき姿について、「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会答申」が提出された。

この間、子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律第154号)の制定や、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(平成14年8月)の閣議決定を受けた各都道府県・市町村における子ども読書活動推進計画の策定など、子どもの読書活動推進に向けた社会的取組は大きく進展した。一方で、インターネットや電子資料などデジタル情報が急激に普及するなど、子どもの読書を取り巻く環境は大きな変化を遂げている。

以上のような状況を踏まえ、国際子ども図書館は、インターネットを活用した情報発信を拡充し、また平成22年9月には「国立国会図書館国際子ども図書館 子どもの読書活動推進支援計画2010」を策定するとともに、今後のサービスのあり方について検討を進め、これに必要な施設の拡充に向けた準備を進めてきた。

3. 国際子ども図書館の使命と役割

(1) 国際子ども図書館の使命

すべての子どもにとって、読書活動は、「言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていくうえで欠くことのできないもの」(子どもの読書活動の推進に関する法律第2条)である。真に豊かな社会を実現するうえで、すべての子どもが読書の楽しみを享受できる環境を整備することは、社会全体の責務である。

国際子ども図書館は、国立国会図書館法に基づく我が国唯一の国立の児童書専門図書館として、国内外の豊富な資料と情報資源を活用し、子どもの本に関わる活動や調査研究を支援することにより、「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く!」という理念の実現を目指す。

(2) 3つの基本的な役割

上記の使命を実現するため、国際子ども図書館は、国立国会図書館の一翼を担い、以下に掲げる3つの基本的な役割を果たす。

1)児童書専門図書館としての役割
国内外の児童書及び関連資料を広範に収集・保存・提供するとともに、調査研究、研修、情報発信等を通して、児童書や子どもの読書にかかわる多様な活動を支援する。
2)子どもと本のふれあいの場としての役割
国内外の児童書の提供、各種催物、見学、情報発信等を通して、すべての子どもを対象として図書館や読書に親しむきっかけを提供する。
3)子どもの本のミュージアムとしての役割
児童書に関する展示会やそれに関連した講演会、各種イベント等を通して、児童書の持つ魅力を広く一般に紹介する。

上記の3つの役割は、相互に補完的・相乗的に関わりあうものである。

これらの役割を果たすにあたっては、子どもの読書に関連する内外の諸機関と緊密に連携・協力し、効率的かつ効果的なサービスの実施に努めるとともに、地域や利用形態に偏らない幅広い利用者を対象としたサービス展開に留意する。

4. 機能とサービス

(1) 児童書専門図書館としての役割

施設拡充等を機に、100万冊規模の収蔵を可能とする書庫の増床や、既存施設の制約により2室に分断している資料室の統合・拡充、研修室の新設、国立国会図書館全体の情報システム基盤の活用等により、児童書に係る資料・情報センターとしての機能の一層の高度化を図り、子どもの読書に関わる多様な活動の支援を強化する。

(ア) 資料・情報センター機能の高度化

1)蔵書構築
  • 国立国会図書館法に基づく納本制度によって収集した国内刊行児童書や教科書等を保存、提供する。また、納本制度開始以前に刊行された、定評のある児童書の積極的な収集に努める。
  • 外国の児童書について、世界各国の児童文学史上主要な作品を幅広く収集するほか、日本の児童書の翻訳作品を収集する。専門家や関係諸機関との連携・協力による効率的な選書・収集に努める。
  • 上記児童書のほか、児童文化、伝承文学、子どもの読書・児童図書館等を主題とする資料及び調査研究に必要な基本的な一般参考図書等を収集する。
  • 所蔵資料の保存と利用の両立を目的とする資料のデジタル化を推進する。
  • 現在国立国会図書館東京本館(以下「東京本館」という。)等の所管となっている児童書(児童用点字・大活字資料を含む)については、資料のデジタル化状況や利用者ニーズ等を勘案し、必要に応じて移管する。
2)情報サービス
  • 国内関連機関の児童書所蔵情報やあらすじ等の専門情報を含む児童書総合目録の利便性の向上を図る。
  • 児童書等に係るレファレンス事例や調べ方案内などのレファレンス情報の発信を拡充する。特に、外部情報へのナビゲーションを強化する。
3)利用者サービスの向上
  • 国内外の児童書を一体的に利用できる児童書研究図書室(仮称。以下同じ)において、調査研究に有用な和洋の参考資料を中心に開架資料を拡充する。
  • 閲覧席を増やし、デジタル化資料、データベースなどの各種電子情報やインターネット情報を提供するための端末を配備するなど、閲覧環境を向上させる。
  • 利用者登録、入退室管理、閲覧・複写のオンライン申込みなど、東京本館・関西館と共通のシステム及びサービスを導入する。
  • 電子情報のプリントアウトサービス等、複写サービスの利便性を向上させる。
  • 児童書研究図書室内に遮音性の高いグループ研究室を設け、グループでの利用や、障害のある人へのサービスに対応する。
4)国会サービス及び行政・司法の各部門に対するサービス
  • 東京本館の担当部門と連携し、所蔵資料の提供やレファレンスに正確、迅速に対応する。

(イ) 調査研究支援

  • グループ研究室において、最大20名程度のグループによる所蔵資料を活用した共同選書作業や調査研究を可能にする。
  • 国内外の研究員や研修生の一定期間の受入れを積極的に行う。
  • 関係諸機関や外部の有識者と連携・協力して、子どもの読書活動推進の現場に還元できるような調査研究プログラムを企画・実施する。
  • 児童書や児童サービスに関する国内外の情報を積極的に収集・提供し、情報共有を促進する。

(ウ) 子ども読書活動推進に係る支援

1)子どもの読書に関する情報発信の強化及びネットワークの構築
  • 児童サービスの事例や調査研究の成果など、全国の公共図書館、学校図書館、文庫等で子どもへのサービスを担当している人(以下「児童サービス関係者」という。)の活動に有用な情報を提供する。
  • 児童サービス関係者を対象とした集合型の交流プログラムを拡充するとともに、インターネット等を通じた交流・情報交換の場を提供する。
  • 児童書研究図書室内に、子どもの読書活動の推進に関する国内外の資料や情報を集めたコーナーを設置する。
2)人材育成支援
  • 児童サービス関係者の資質向上及び幅広い知識のかん養に資するため、ネットワーク環境等を整備した研修室において、豊富な資料・情報を活用した集合研修や催物を企画・実施する。
  • より多くの児童サービス関係者が必要に応じて知識を得ることができるように、情報提供や派遣・遠隔研修を整備、拡充する。
3)学校図書館支援
  • 学校図書館セット貸出しについては、公共図書館と学校図書館との連携モデルとして継続し、活用事例の紹介等の情報提供に重点を置く。
  • 公共図書館と学校図書館との連携協力の促進に資するため、学習支援のためのモデル事業を企画・実施し、その内容と成果を広く公開する。
  • 学校図書館における選書や整理を支援するため、新着図書や国際子ども図書館が選定した児童書の書誌情報を提供する。
  • 学校図書館からの複写申込、レファレンス依頼については、国立国会図書館全体で、それぞれの所管資料に基づいて対応する。

(2) 子どもと本のふれあいの場としての役割

読書に対する関心や意欲の向上、身近な図書館の活用を促進することに主眼を置き、子どものためのスペースを拡大するとともに、インターネットを通じたサービスを拡充する。障害や日本語を母語としないなど様々な要因により読書に困難がある子どもへのサービスにも配慮しつつ、子どもの年齢や目的に応じたサービスを展開する。

1)子どもの成長段階に応じた館内サービス
  • 「子どものへや」では、乳幼児から小学生くらいまでの子どもを対象に選定を行った絵本・読み物・知識の本による蔵書の構築に努めるとともに、乳幼児が寛いで本に親しめる環境を整備する。
  • 「調べものの部屋」(仮称。以下同じ)では、中学校の学校図書館における蔵書構築モデルの提示という観点から、中学生程度の調べ学習に役立つ蔵書や電子情報提供環境を整備し、グループによる調べ学習を行えるスペースを設けるほか、教科書に掲載された作品等を提供する。
  • 読書に親しむきっかけとなる催物として、定期的に開催するおはなし会や、科学の本への興味を誘う科学あそびのほか、本の世界への興味につながる音楽会など芸術に関する催物等を開催する。実施にあたっては、外部機関との連携等により、専門家の知見を積極的に活用する。
  • 飲食や授乳・休憩スペースとして乳幼児ケアコーナー(仮称)(救護室・休養室を含む)を設け、子どもや子ども連れの利用者の利用環境を向上させる。
2)資料を活用した学びの場のモデル提示
  • 子どもに身近なテーマや国際理解等に関する調べものを体験できるプログラムを企画・実施し、学習への図書館の活用や身近な図書館の利用につなぐ契機とする。
  • 文化施設が集中する上野公園の立地を活かし、修学旅行や校外学習等の団体による来館利用を積極的に受け入れ、図書館の魅力や活用法などに触れる契機とする。
3)本や読書、図書館に関する情報の発信
  • 国立国会図書館キッズページや中高生向けのウェブページを通じて、子どもが図書館に興味を持ち、身近な学校図書館や地域の図書館を利用する契機となるようなコンテンツや、自然科学や社会科学分野を含む幅広い読書に興味を喚起するようなコンテンツを作成・提供する。
  • 子どもにとって適切な語彙と分かりやすい操作による児童向けOPACを公開し、国際子ども図書館が選定した児童書の情報を発信する。

(3) 子どもの本のミュージアムとしての役割

多角的で魅力的な展示を行うとともに、歴史的建造物としての建物の魅力を国際子ども図書館の広報に活用し、子どもの本や図書館への関心に結び付ける。

1)館内展示
  • 本のミュージアム及びホールにおいて、児童文学の流れ等を概観する総合的な内容の展示のほか、コレクションの紹介や時宜に応じたテーマによる展示を行う。
  • 展示会の企画にあたっては、近隣機関や関連機関との連携や、電子展示との連携に留意する。また、資料管理や資料に負担の少ない展示環境に配慮しつつ、資料を直接手に取ることが出来るような形式による展示を可能な限り実現する。
  • 展示に関連し、講演会等の多様で魅力的な催物をホールや研修室で開催する。
  • 展示解説本やギャラリートークのほか、各種機器を活用した展示解説により、展示内容への理解を促す。
2)展示支援
  • 国際子ども図書館で実施した展示の資料リストや解説パネル等の情報提供や、資料の展示会貸出等により、他機関における展示の企画等を支援する。
3)電子展示
  • 「絵本ギャラリー」の利用を促進するとともに、過去の企画展示の活用等により、新たな電子展示を追加作成する。
  • 企画にあたっては、子どもが楽しめる内容のものや、日本の児童書を海外に向けて紹介するような内容のものにも留意する。
  • 音声の活用など、アクセシビリティに配慮する。
4)国際子ども図書館の建物と活動の紹介
  • 旧帝国図書館特別閲覧室の原装が保存されている現在の第二資料室を「国際子ども図書館を知る部屋」(仮称)とし、国際子ども図書館の事業に関連する資料やパネル、文物等の展示や電子展示を行う。
  • ホールにおいて、国際子ども図書館の建物を紹介するパネルや文物、映像等を展示し、建物の魅力を図書館の活動への関心につなげる。
  • 見学ツアーや広報の機会を捉え、各種機器を効果的に活用し、国際子ども図書館の活動の周知に努める。

5. サービス展開のための基盤の整備

(1) 施設の拡充再編

上記の機能を実現するため、新たに約6,200m2規模・地上3階地下2階の新館を建設するとともに、既存棟について所要の改修を行う。

1)設計にあたっての基本的な考え方
  • 保存図書館としての機能を長期にわたり維持するとともに、図書館サービスの拡充や効率化等に柔軟に対応できる汎用性の高い仕様とする。
  • 各種セキュリティの保持に留意しつつ、来館利用者の安全性・利便性を高め、ユニバーサルデザインの手法を取り入れる。
  • エコロジー、省エネルギー等の環境に配慮したグリーン建築とする。
  • 可能な限り現存の施設を利用しつつ、建設コスト・維持管理コストの節減を図る。
2)各フロアの機能及び各室の概要

新館は、主に児童書専門図書館としての機能を担う。既存棟は、大人も子どもも共に楽しめる場とする。(詳細は、別表を参照のこと。なお、各棟・各室の名称はいずれも仮称とし、それぞれの機能を表現する名称を別途定める。)

(2) 組織整備

国立国会図書館全体での業務・サービス最適化および財政状況等を踏まえ、効率的かつ効果的な組織運営を実現するため、国際子ども図書館の果たすべき役割に応じた組織体制に再編・整備する。各部門の主な業務は、以下のとおり想定する。

1)総務・企画担当部門
  • 国際子ども図書館の業務の総合調整を行う。
  • 国内外の関係諸機関との連携・協力関係の推進、渉外、研究員や研修生の受入れを担当する。
  • 国際子ども図書館に関する広報を行う。
  • 各種展示(常設、企画、電子)の総括を行い、各展示の事務局となる。
  • 国際子ども図書館の施設の管理を行う。
2)資料・情報担当部門
  • 東京本館等との連携のもと、蔵書構築を図り、国内外の児童書に関する情報を収集し、各種検索ツールや電子情報を整備する。
  • 豊富な資料と児童書に関する情報の蓄積を基に、児童書及び関連資料等に関する閲覧・複写及びレファレンス(来館及び遠隔)を行うとともに、調査研究に有用な情報の発信を行う。
3)子ども読書活動推進支援担当部門
  • 国内外の子どもの読書活動に関する情報の収集・発信や調査研究、児童サービス関係者への各種研修や交流の場の提供、学校図書館支援等を通じて、児童サービス関係者の活動を支援する。
  • 子どもへの直接サービスは、その成果を情報発信など子ども読書活動推進に係る支援に生かすなど、波及効果の高いものとするよう留意する。

6. スケジュール

新館設計 ~平成23年度
埋蔵文化財調査 平成23年度
情報基盤(LAN、システム)の統合 平成23年度
新館建設・既存棟改修工事 平成23年度~27年度(予定)
移転~新装開館 平成27年度(予定)

新装開館後の図書館サービスの詳細については、この計画に基づいて別途各種実施計画を策定し、必要な準備を進める。

なお、国立国会図書館全体の業務・システム最適化に関連するもの等、情報発信に関わるサービスの拡充については、その実施条件が整ったものから順次実施する。

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