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国際子ども図書館主催の展示会のお知らせです。

国際子ども図書館開館記念国際シンポジウム 抄録

ジュヌビエヴ・パット

ジュヌビエヴ・パット

フランスでは多くの児童書が出版されていて、各出版社は 児童図書部門を設けています。児童書専門の書店も増えており、子ども用の図書館もあります。これらの図書館は新しいテクノロジーの導入によって、メディアライブラリと呼ばれるようになっています。大型の図書館も多くの都市の中心地に建設されて、一見理想的な状況だといえるかもしれません。

しかし、いくつかの図書館を見てみると、子どもの図書館利用は減っています。なぜならば、その子ども用の図書館員の訓練が行われていないからです。また、公共の図書館、図書館員用の訓練もほとんど行われていないからです。そしてほとんどの図書館では運営や新しい技術に力点が置かれていて、私たちの職業の文化的な側面、人間的な側面が忘れられがちとなっているのです。 しかし医者、心理学者、精神科医、ソーシャルワーカーといった人たちが図書館の重要性をよく理解し、また図書館員の注意を促してくれています。彼らは読書、物語、文化にアクセスを持つことが、社会からの除外者を出さない方法であると考え、また周辺に追いやられた人を呼び戻す方法だと認識しているのです。そして図書館というのが特別な空間であり、そして個人的な対話をするために重要な所であり、責任感を育成し、どのようにしたらいっしょに生活していくことができるのかということを学び、希望をもつために重要な空間だとしているのであります。私たちの職業のこの人間的な側面は彼らが言うようにますます重要になっていくでしょう。読書というのは非常に個人的な体験を得ることができるのであり、特に大人と共有することができるすばらしい経験であるからこそ、彼らは図書館をできるだけ広く開放しようとしています。そして周辺に追いやられて、自発的には図書館へやってこない人々のために青空図書館というものができたのです。

私たちの図書館は、パリ郊外の貧困層が比較的多い地域にあり、そこでは青空図書館を開設しています。天候の悪いときには出張図書館を設け、各家庭を本が入ったバスケットを持って回ったりしています。この経験からわかったことは、親も子も本や物語が好きであり、そして子どもにとって読む喜びがどういうものか、私たちにとってもどういうものかということをもう一度認識したことです。子どもは優等生のみならず、自分達のためにも本が存在するということをそこで発見し、本物の図書館へ行くようになるのです。これによって今までとはまったく違う状況が生まれるのです。そして彼らは自分達にも注意が払われていると気付くのです。

一方で、豊かな国ではあまりに物や情報が多すぎて、子どもに質問や好奇心の芽が出てくる前に与えられてしまい、本当に必要な情報に触れることができないという問題があります。この現象はコンピュータ、インターネットといった新しい技術の台頭によってますます増えているのです。子ども達は情報の氾濫にのみ込まれ、知りたいという気持ちをなくしてしまうのです。私がここで言いたいのは、情報が氾濫しているこの世界において、子どもに多くの本や情報を与えるのではなく、まず選ぶということであります。子ども達が自ら知りたいと思う気持ちを育むような魅力的でベストな本を与えるということです。それによって、子ども達の記憶に長く残り、自分との対話や本当の感情、他の子どもとの対話を引き出し、興味深い関係を育むことができるようになるのです。今の時代というのは皆があまりに急ぎ、多くのものに囲まれています。その中での我々の役目とは、家庭で、図書館で、学校で子ども達に対して読書という個人的な経験を正しくさせ、お互いに読書の経験を交流し、考え方を実現する方法を教えることであり、それによって我々の社会は正しく機能することができるのだと思います。