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国際子ども図書館主催の展示会のお知らせです。

※こちらの展示会は終了しました

「絵本の黄金時代 1920~1930年代 −子どもたちに託された伝言」

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アメリカの絵本 −多文化を映し出す鏡−

1920~1930年代のアメリカでは、第一次世界大戦後の空前の繁栄のもと、世界各地から大量の新しい移民層を受け入れるなかで、多様な担い手により多文化社会のための絵本が模索されました。

絵本ギャラリー「アメリカの絵本‐黄金期への幕開け」でも紹介しているように、アメリカの絵本は、20世紀初頭までイギリスやフランスの強い影響を受けていたといわれています。

「絵本の黄金時代 1920~1930年代 −子どもたちに託された伝言」

“Taxis and toadstools” (タクシーときのこ) R.フィールド作 1926 <ミュゼ・イマジネール所蔵>

第一次大戦を経て国力に自信を深めてきた1920年前後には、アメリカ独自で生み出した良い本を子どもたちに届けようとする児童図書館員や児童書編集者の積極的な取組みが、「子どもの本への情熱」ともいうべき状況を生み出します。
大手出版社はこぞって児童書部門を設立し、そこに集まったルイズ・シーマン(・ベクテル)(1894~1985)やメイ・マッシー(1881~1966)などの優れた編集者が、作家とともに良質な子どもの本を次々と世に送り出します。
また、アニメーションの影響もあり、それまでの絵本とは一線を画する商業的な大衆絵本が台頭します。

「絵本の黄金時代 1920~1930年代 −子どもたちに託された伝言」

“Millions of cats”(100まんびきのねこ) W.ガアグ作 1928 <請求記号 Y17-B11624>

この時期の絵本作家には、『100まんびきのねこ』(1928年)の作者ワンダ・ガアグ(1893~1946)のように元々芸術家を志していた人々や、レナード・ワイズガード(1916~2000)など広告デザイナー出身者など、さまざまな業界から子どもの本の世界に転身してきた人物の多いことが特徴です。
また、戦乱や革命のヨーロッパから逃れ、海を渡ってきたミシュカ・ピーターシャム(1888~1960)、フェードル・ロジャンコフスキー(1891~1970)など、祖国の文化を作風に反映した作家、彼らの挑戦を受ける形となったマージョリー・フラック(1897~1958)など、その作品からハリウッド映画の影響がうかがえる生粋のアメリカ人作家といった、多彩な出自がみられます。アメリカ絵本の黄金時代は、まさに多文化・多民族社会アメリカを反映したものであったといえます。

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