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ギャラリー
童謡
「コドモノクニ」の画家たち
「コドモノクニ」の子どもたち
この展示について

 絵本ギャラリー・第二展示室は、1922年に創刊された「コドモノクニ」の初期の10年間に掲載された約300枚の絵を中心に、日本の幼児教育の観点から、文学、音楽に次いで美術を子どもの芸術の中心に据えた絵雑誌の初めての取組みを示そうとして構成した。
 この時代、東京は、都市計画法および市街地建築物法の公布(1919年)に加え、創刊翌年の1923年、関東大震災に見舞われ加速した住宅建設や交通網の整備が進み、新都市時代を迎えていた。「コドモノクニ」は都市の中流階級の子どもたちを主たる購読者として編集されていた。
 ヨーロッパでも1919年、ドイツのワイマールに国立バウハウスが創設され、家具や生活用品における工業デザインの先駆的成果をあげ、世界にその影響を及ぼしていた。1925年パリの国際装飾美術展覧会は、アール・デコと呼ばれる生活様式上の様々なスタイルの総称を生み出し、そのうねりの中で創られた西洋のインテリアやファッションは情報時代の波にのって、日本の市民生活に広範囲な影響を及ぼし始めていた。「コドモノクニ」の誌面には当時の都会の最先端の子どもたちの様子が、夢と憧憬を交えて多く描かれていった。
 当時、機械技術の発達は広く都市社会の日常に反映し、テクノロジーは未だ幸福な未来を約束するものとして、世界の子どもの本の主題となって登場してきていた。「コドモノクニ」における最新の画題の一つは、機械のもたらす生活の豊かさであった。
 一方、田舎や農村の子どもたちについては、夏の畑の収穫を手伝う子どもや、田植えの見習をする小学校のクラスなどが登場するが、田園風景とそこで働く人々の姿は、都会と対照的な郷愁の趣が強く、「コドモノクニ」の特徴的な画題とならなかった為、今回は画面の限定上、割愛した。
 芸術が子どもの自由自在の想像力を養い、その人間性の完成のために貢献しうる最高の美術を提供するということが、「コドモノクニ」の編集方針であった。ギャラリーでは「コドモノクニ」の代表的な画家たちが、どのように子どもたちを見つめ、芸術家として子どもたちのために、どのような自由な表現をしようと試みたか展示する意図をもつ。
 第二展示室は、ギャラリーのほかに、「コドモノクニ」のこの時期に掲載された童謡44篇と、その中で作曲された歌のなかから10曲を収録、また、童話2篇とキシベ・エンチョウのお話7篇を朗読、および時代背景のなかの「コドモノクニ」を捉えるために年表と解説を掲載している。
 「コドモノクニ」は、幼児教育の大きな展望を、一般市民向けの商業市場を基盤に展開させた世界的にも珍しいケースであった。芸術が教育の最も重要な役割を担う領域を持つことを信じた当時の編集者と芸術家による、日本都市文化の発祥の記録としても貴重な資料がここにある。


プログラムの素材について

 このプログラムは、「絵本」というジャンルの誕生から現在までの流れをデジタル画像で紹介する国際子ども図書館の「絵本ギャラリー」事業の一環として作成したものであり、『コドモノクニ』に収録された作品を複製・デジタル変換し、これを編集して仮想展示として公開するものです。
 プログラムの作成・公開にあたっては、著作権者の皆様に使用の許諾(文化庁長官の裁定を含む)をお願いいたしました。『コドモノクニ』の原資料については、ほぼすべての巻号を所蔵されている大阪府立国際児童文学館から主としてお借りしたほか、神奈川県立神奈川近代文学館、東京都立日比谷図書館(現在は都立多摩図書館が所蔵)から一部の巻号をお借りし、また武蔵野美術大学図書館からも解説に必要な資料をお借りして、これらを撮影・デジタル変換することにより素材となる画像を作成いたしました。
 著作権者ならびに資料をお貸し下さった上記各機関のご理解とご協力によってはじめて、このプログラムの作成公開が可能となりましたことをここに記して厚く感謝申し上げます。

永井一郎(朗読・ナレーション) 朝田由香里(朗読)
川口京子(歌) 河野春美(ピアノ伴奏)

叶紀美子、ジェームズ・フレーザー(調査)
荒木瑞子、石川晴子(資料・解説協力)
リン=リグス、武智學 (翻訳協力) 市河紀子(データ入力協力)
東京子ども図書館(資料・調査協力) 堀切保郎・北川英雄(解説資料撮影)
平野甲賀(アートディレクション・題字)
田中直子(デザイン) 翡翠(演出・オーサリング) 新澤健一郎(音楽)
福原正博(童謡録音)
片山中藏(Web制作) 進麻衣子(編集) 北村礼明(構成・プロデュース)

総合監修:小野かおる
構成・監修:島多代
製作:国際子ども図書館