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この展示について
| 大昔から人類が絵を刻み、それは絵文字となり記号化を重ねる一方で、絵はまた礼拝の対象や人間の物語を題材に寓話として描かれ、手書きの時代から印刷の時代を経て現在に至ってきました。この数千年に及ぶ人間の記録は、すべての文化の流れを形成していきますが、「世界絵本ギャラリー」では、この長い人間の記録に絵本の歴史を重ね、絵本が実際に子どもたちの手に渡された約150年の短い記録に限定して振り返ってみることにしました。
その最初の企画展「絵本は舞台」では、絵入り雑誌や絵本が市民生活の中に積極的にとり入れられた19世紀後半の英国の絵本の世界をご紹介します。 当時の英国では木版による美しい多色印刷が可能になり、絵本制作は画期的な時代を迎えていました。製版師エドマンド・エヴァンスは、優れた木版師でしたが、才能あるイラストレーターの中から絵本作家としてふさわしい人材を求め、育て、芸術的に質の高い絵本の普及を可能にした功労者でした。彼は18世紀末に木口木版を創始したビュイックの孫弟子で、木口木版での色彩印刷に成功し、子どもにも楽しい読み物を与えようという運気に満ちていた当時の英国社会に、絵本をポピュラーな知的商品として提供することに成功したのです。 ここではその中でも、長く英国で語り継がれてきた物語や歌を題材に華やかに絵本の舞台が開幕したこの時代を代表する作家の絵本を観ていただきます。紹介するのは、エドマンド・エヴァンスが最も信頼した線と活写力で物語を躍動させたランドルフ・コルデコット、憧憬の世界に遊ぶ永遠の子どもたちを描いたケイト・グリーナウェイ、美意識を市民の日常生活へ導入したデザイナーの先駆者ウォルター・クレインの三人です。彼らは産業革命の経済発展、新しい芸術運動、木版印刷の技術革新という時代背景の中に登場した絵本の創始者たちでした。 展示は、当時お母さんやおばあさんたちが子どもたちに絵本を見せながら、お話を読んだり、唄ったりしたそのままをページを繰りながら展開します。言葉は英語ですが、語られるものがたりやうたを絵と共に聞くことは、内容の理解を総合的に助けると同時に、外国語との自然な出会いとしても、重要な体験となることと確信します。 私たちは今後も「世界絵本ギャラリー」を通して、日本の子どもたちを海の向こうの世界と結び、また、時間を超えて人類が伝承してきた知恵の宝庫へと導く企画を続けて参りたいと思います。 |