2016年国際アンデルセン賞受賞者決定

【2016-054】

2016年4月4日、国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)は、2016年国際アンデルセン賞(Hans Christian Andersen Awards)受賞者を発表した。作家賞は中国の曹文軒(Cao Wenxuan)、画家賞はドイツのロートラウト・ズザンネ・ベルナー(Rotraut Susanne Berner)が受賞した。授与式は、8月にオークランド(ニュージーランド)で開催されるIBBY世界大会で行われる。

選考委員による講評は以下のとおりである。

曹文軒は、自身の子ども時代の経験から、簡単に答えの出ない難しい問題や、困難に直面した子どもの生きる姿を美しく描く作家である。曹の作品は、「人生ではときに痛ましい出来事も起きるが、子どもは生まれつき、また最も救いを必要としているときに受けた親切によって、人を愛することができる」と伝え、文化大革命や障がい等、テーマの難しさにもかかわらず多くの人に読まれ、子どもの世界のリアリティを尊重する中国文学の伝統をつくってきた。

ベルナーの挿絵は特徴的だが、文章に合わせて自在に変わり、愉快かつ感動的である。子どもの読者に向けて語ることを常に意識しながらも、子どもの理解力を信じ人生の暗い面や難しい問題も描いている。ベルナーの作品には人間味があり、描かれる感情にリアリティがあり、非常に魅力的である。

作家賞にノミネートされた28名のうち、最終選考まで残ったのは、曹文軒に加え、デンマークの Louis Jensen、ドイツのミリヤム・プレスラー(Mirjam Pressler)、オランダのテッド・ファン・リースホウト(Ted van Lieshout)、米国のロイス・ローリー(Lois Lowry)の5名。画家賞には29名がノミネートされ、最終選考まで残ったのは、ベルナーに加え、イランの Pejman Rahimizadeh、イタリアの Alessandro Sanna、韓国のスージー・リー(Suzy Lee)、オランダのマリット・テルンクヴィスト(Marit Törnqvist)の5名。

(敬称略。作者のカタカナ読みは、判明した場合のみ記載した。)

Ref:

曹文軒(Cao Wenxuan)

北京大学教授。 『草房子』(邦訳『サンサン』)が第四届(1995-1997)全国优秀儿童文学奖に選ばれた。

所蔵情報

曹文軒(Cao Wenxuan)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

ロートラウト・ズザンネ・ベルナー(Rotraut Susanne Berner)

ユルク・シュービガー(Jürg Schubiger)が文章を手がけた “Als die Welt noch jung war”(邦訳『世界がまだ若かったころ』)で、1996年にドイツ児童文学賞児童書部門を受賞した。又これまでの全業績に対し、2006年に同賞特別賞を受賞した。

所蔵情報

ロートラウト・ズザンネ・ベルナー(Rotraut Susanne Berner)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

(2016.05.22 update)