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「壁のない読書を」プロジェクト(米国)

【2017-028】

米国の第5代目児童文学大使(National Ambassador for Young People’s Literature)であるGene Luen Yangが、4月10日、米国議会図書館(Library of Congress: LC)のイベントで「壁のない読書を」(Reading Without Walls)プロジェクトを開始した。イベントは一般に無料公開され、Gene Luen YangとLCの館長であるCarla Haydenとの対談や地元の生徒との質疑応答の様子が、LCのFacebookページやYou Tubeでライブ配信された。

「壁のない読書を」(Reading Without Walls)は、2016年1月にYangが児童文学大使に就任した際に掲げたコンセプトで、若者に、本を通して自分の慣れ親しんだ場所から出て世界を知ってもらうことが目的となっている。特に、登場人物が自分とは異なる外見や暮らしをしている本やよく知らないテーマを扱った本、普段娯楽のために読んでいる本とは異なった形態の本(例えば低学年向け読みものであるチャプターブック、オーディオブック、長編漫画等のグラフィックノベル、詩の本等)を読むよう勧めている。

同イベントにおいてHaydenは、「本は、さらなる場所・文化・体験へと続く窓となる。児童文学大使Yangはこのプロジェクトを通じて、読者を慣れ親しんだ場所から連れ出し、異なる世界を体験させてくれる。」と述べた。またYangは、「読書は、心を開き、新しい人々・場所・考え方へと気持ちを導いてくれるすばらしいものだ。私自身、読書を通して新しい友人に出会い、新しいことを学び、よりよい人間へと成長してきた。」と述べている。

児童文学大使は、2008年に創設された。米国民、または米国在住の作家・画家で、児童文学に大きな貢献をしただけでなく、読書推進のために、積極的かつ定期的な活動を行える者の中から、選定委員会の推薦に基づき、米国議会図書館長が隔年で指名する。Gene Luen Yangは中国系米国人の漫画家として、多様な文化の尊重をテーマに創作しており、“American Born Chinese”では、2007年、漫画として初めて、優れたヤングアダルト作品に贈られるマイケル・L・プリンツ賞を受賞した。Yangは現在、第5代目児童文学大使として、国中であらゆる年齢の読者に、多様な立場から書かれた本や多様なジャンル、形態の本を読んでもらうべく活動している。

Ref:

(2017.04.25 update)