家庭における子どもの読書調査 “Kids & Family Reading Report”(米国)

【2017-056】

2017年1月31日、Scholastic社が第6回 “Kids & Family Reading Report” の調査結果を発表した。2016年は児童書の多様性に関する項目をはじめて盛り込み、0~5歳の子どもの親、6~17歳の子どもとその親の計2,718人を対象に実施した。主な調査結果は以下のとおりである。

  • 0~17歳の子どもがいる一般家庭には、平均104冊の児童書がある。しかし年収35,000ドル以下の家庭は平均69冊、ヒスパニック系は平均91冊、アフリカ系は平均67冊しか持っていない。
  • 41%の子どもが、「自分が読みたい本を見つけられない」と述べているが、自分の子どもがそうした問題を抱えていると思っている親はわずか29%である。このように回答したのは、1週間のうち5~7日読書をする子どもが26%であったのに対し、1週間のうち読書をするのが1日に満たない子どもは57%であった。
  • 「児童書における多様性」と聞いて何を思い浮かべるか、0~17歳の子どもをもつ親に聞いたところ、73%が「自分の子どもとは異なる人々や体験」、68%が「様々な文化、習慣、宗教」、51%が「障がいのある人々」、47%が「有色人種の人々」、21%が、「LGBTの人々」と答えた。「有色人種の人々」と答えたのは、アフリカ系では62%だったのに対し、そうでない家庭では45%だった。
  • 12~17歳の子どもの13%が「障がいのある人々」、11%が「文化的・人種的に多様な人々」や「ステレオタイプではない人々」が出てくる本を求めている。多様な登場人物を求める割合は、子どもより親の方が高い。文化的・民族的に多様な登場人物の本を求める割合は、アフリカ系やヒスパニックの家庭の方が、そうでない家庭より高かった。
  • 0~5歳の子どもへの読み聞かせは増えており、より早い時期から行われている。子どもが3ヶ月を迎える前から読み聞かせをしている親は40%(2014年の30%から10%増加)、1歳前から読み聞かせをしている親は77%であった。
  • 1週間に5~7日読み聞かせをする割合は、3~5歳の親では62%(2014年は55%)だが、5~8歳になると激減する。
  • 読み聞かせを楽しむ理由として、6~11歳の子どもの72%、親の77%が、「親子で過ごす時間だから」と述べた。
  • 6~17歳の子どもの62%が、夏休みの読書を楽しんでおり、80%が、「夏休みの読書は学校の学習に役立つ」と述べた。
  • 子どもたちは平均して夏休みに8冊の本を読んでいるが、12~17歳の子どものうち5人にひとり、低所得家庭の子どものうち5人にひとりは、夏休みに一冊も本を読んでいない。
  • 6~17歳の子どもをもつ親のうち48%は、夏休みの学力低下について聞いたことがあるが、低所得の家庭では38%しか知らなかった。

Ref:

(2017.06.25 update)