理髪店が子どもの読書を支援(米国)

【2017-096】

本を朗読した子どもの散髪代を無料にする、理髪店に本を置く等、米国で、理髪店が子どもの読書を支援する取組が広まっている。

アイオワ州で理容師として働いていたCourtney Holmesは、理髪店はコミュニティの中心となる場所であるとして、散髪をしているあいだに本を朗読した子どもには、散髪代を無料にするというサービスをはじめた。地域のイベントにボランティアで参加した際、子どもに無料で本を手渡すブースが近くにあったことから思いつき、当初はイベント時のみのサービスとして実施した。しかし、希望する子どもが大勢いたことから、店舗でもサービスを続けた。この取組により、子どもが本に触れる機会が増え、夏のあいだに読書量が減り学力が低下する現象“summer slide”の防止にもつながった。有色人種の子どもや低所得家庭の子どもたちは、本に触れる機会が少ないことから、読み書きができない場合も多い。読書が大きな役割を持つなかで、だれもが髪を切りにやってくる理髪店が本と触れ合う場所になることは、子どもと読書をつなげる有効な手段となっている。

また、テキサス州ヒューストンでは、2016年9月、あらゆる年齢層の識字率向上を目的とする団体Barbara Bush Houston Literacy Foundationが、ヒューストン公共図書館と協力し、Pre-K(3~5歳)から高校までの児童・生徒を対象にしたGroomed for Literacy(髪を切って読み書きを)とよばれるプログラムをたちあげた。無料で本を借りることができるLittle Free Library(小さな図書館)を理髪店に設置するという取組で、9,000ドルの資金からスタートした。これは、約30の店舗にLittle Free Libraryを設置できる額であったが、2017年末までに60か所への設置を目指している。Barbara Bush Houston Literacy Foundation の代表であるBaker Finckは、設置にあたって、本を更新していく長期の計画が必要であり、「新しい取組であるため、理髪店を継続して指導、支援し、見守っていく必要がある。子どもの理解力や能力を高め、読書をより楽しんでもらうためにはどうすればいいのかわからない、というおとなもいるため、実現させて終わるのではなく、包括的な計画を立てねばならない。」と述べる。

理髪店が地域の読書振興において重要な役割を果たすという流れは、アイオワ州から、イリノイ州、テキサス州、ミシガン州と、米国中に広がりをみせている。

Ref:

(2017.10.23 update)