「デジタル世界における子どもの読書習慣」に関する調査(デンマーク)

【2018-098】

デンマークのシンクタンクFremtidens Biblioteker(未来の図書館)が、「デジタル世界における子どもの読書習慣」に関する調査結果を発表した。Fremtidens Biblioteker は、図書館の役割について知ってもらい、議論を深めるため、2012年、Danish Library Association(デンマーク図書館協会)によって創設された機関である。

子どもの日常生活や文化、メディアの利用状況、読書のあり方が、デジタル機器によって急激に変わる中、子どもの読書習慣における公共図書館の役割もまた変わりつつある。そうした現状を踏まえ、Fremtidens Biblioteker は2017年、Lærermiddel.dk、National Centre for Readingといった機関とともに、子どもの読書習慣に関する調査を実施した。この調査は、7歳から14歳までの約9,000人の子どもを対象とし、メディアや図書館の利用、読書習慣について質問した。

主な調査結果は以下のとおりである。

  • 1週間に何回か読書をする子どもの割合は、2010年は61%だったが、2017年は56%に減少した。属性別で見ると女の子と5年生の減少率が高く、女の子は、2010年は68%だったが、2017年は59%であった。
  • 子どもは読書を学校での活動として捉えており、家ではなく学校で読書をしている。学校での読書経験が、学校外での読書量に影響を与えている。
  • 57%の子どもが、親に言われたからという理由で読書をしている。
  • 子どもは、長い文章を読むのは難しいと感じている。
  • 70%の子どもが、毎日デジタル機器でテキストメッセージを読んでいる。
  • 79%の子どもは、一度も電子書籍を読んだことがない
  • 紙媒体の小説を読んでいる子どもは全体の28%で、読まれているジャンルとしてはファンタジーが最も多い。
  • 子どもは、友人、映画、母親の影響で読書をする。公共図書館に影響を受けた子どもの割合は最も低い。
  • 子どもは何かしらのデジタル機器を見て過ごす時間が最も多く、7年生の子どもの49%が、一日に1~3時間、動画や音楽のストリーミングサービスを利用している。
  • 35%の男の子が、一日に最低4時間、デジタル機器でゲームをしている。
  • 19%の女の子が、一日に最低4時間、ソーシャルメディアを利用している。

こうした調査結果を受け、豊かな読書文化を築くため、Fremtidens Biblioteker は以下の提案を行った。

  • 読み書きの力を備えた次世代を育てることは、学校、図書館、親の共通の課題である。
  • よく本を読む子どもであっても、7~14歳の子どもが優れた読書文化を築くためには、大人の積極的な支援が必要である。
  • 学校と図書館の協力は不可欠である。
  • 子どもが図書館を訪れるように、公共図書館は子どもたちへサービスや情報をより積極的に提供するべきである。
  • デジタル機器を見て過ごす時間が多い子どもたちにあわせて、電子書籍の数を増やすことが必要である。

Ref:

(2018.09.25 update)