• トップ
  •  > 児童文学者コーナー 宮沢賢治

児童文学者コーナー 宮沢賢治

作家・画家紹介

宮沢賢治肖像

宮沢賢治

1896-1933 著作一覧

宮沢賢治は、現在の岩手県花巻市に生まれました。賢治が生まれ、亡くなるまでをすごした当時の岩手県は、地震や津波が多く、くわえて天候不順で周期的に不作、凶作をくりかえす土地でした。賢治は、岩手の農業を救うために設立された盛岡高等農林学校で農芸化学を学び、のちに農学校の教師にもなります。

賢治が短歌や詩の制作をはじめたのは盛岡中学の時代、童話は、高等農林に在学中の1918年ごろに書きはじめています。

1920年、賢治は、田中智学の主宰する宗教団体「国柱会」に入会します。翌年1月には、無断で上京して布教活動にくわわりますが、この時期に、たくさんの童話を書きます。8月に、妹トシの病気の知らせをうけて帰郷したときには、大きなトランクいっぱいの童話の原稿を持ち帰りました。1924年には、詩集『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』を出版します。

「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃色のうつくしい朝の日光をのむことができます。/またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石入りのきものに、かわっているのをたびたび見ました。」―これは、童話集『注文の多い料理店』の序の書き出しです。

童話集は「イーハトヴ童話」と銘打たれていましたが、童話集が刊行されたときの広告ちらしには、「イーハトヴは一つの地名である。」「実にこれは著者の心象中に、この様な状景をもって実在したドリームランドとしての日本岩手県である。」とありました。賢治のころの岩手県は、とてもドリームランドとはいえない状況でしたが、それでも、賢治は、「日本岩手県」にかさねて、ドリームランドとしての「イーハトヴ」を幻視したのです。

「日本岩手県」を「イーハトヴ」と見る、「ひどいぼろぼろのきもの」を「いちばんすばらしい」きものと見る想像力によって書かれた宮沢賢治の作品は、今日の私たちにも大きな喜びと、人間としてのあり方について考えるヒントをあたえてくれます。

「春と修羅 : 心象スケッチ」のサムネイル

「春と修羅 : 心象スケッチ」の全文画像を新しいウィンドウで開きます
「春と修羅 : 心象スケッチ」の拡大画像を開きます

児-4-1春と修羅 : 心象スケッチ
宮沢賢治 著
日本近代文学館 1972(昭和47)
(近代文学館 : 名著複刻全集 精選 [20])
当館請求記号 KH6-58 (初版 522-198)
自費出版で出された、賢治の初めてのそして生前唯一の詩集。これを読んだ詩人草野心平は感銘を受け、賢治を詩誌『銅鑼』の同人に誘った。1924(大正13)年関根書店刊の復刻版。画像は箱と表紙。

「風の又三郎」のサムネイル

「風の又三郎」の拡大画像を開きます

児-4-2風の又三郎
宮沢賢治 著 小穴隆一 画
ほるぷ出版 1971(昭和46)
(日本児童文学館 : 名著複刻 29)
当館請求記号 KH6-23
1939(昭和14)年羽田書店刊の復刻版。表題作のほか「貝の火」「蟻ときのこ」「セロひきのゴーシュ」「やまなし」「オッペルと象」を収録。巻末の「この本を讀まれた方々に」を坪田譲治が執筆。画像は表紙と標題紙。

「グスコーブドリの伝記 : 童話」のサムネイル

「グスコーブドリの伝記 : 童話」の全文画像を新しいウィンドウで開きます
「グスコーブドリの伝記 : 童話」の拡大画像を開きます

児-4-3グスコーブドリの伝記 : 童話
宮沢賢治 著
ほるぷ出版 1974(昭和49)
(日本児童文学館 : 名著複刻 第2集 30)
当館請求記号 KH6-23 (初版 児935-23)
1941(昭和16)年羽田書店刊の童話集の復刻版。表題作のほか「注文の多い料理店」など7作品を収録。装幀と挿絵を手がけた横井弘三があとがきを書いている。

「銀河鉄道の夜」のサムネイル

「銀河鉄道の夜」の拡大画像を開きます

児-4-4銀河鉄道の夜
宮沢賢治 著 野間仁根 絵
新潮社 1941(昭和16)
(日本童話名作選集)
当館請求記号 児935-42
6編を収めた童話集。あとがきを坪田譲治が書いている。表題作は賢治の代表的な童話作品。異空間である銀河世界の旅の物語は亡き妹トシへの思いが根底に流れているとも言われている。

「どんぐりと山猫」のサムネイル

「どんぐりと山猫」の全文画像を新しいウィンドウで開きます
「どんぐりと山猫」の拡大画像を開きます

児-4-5どんぐりと山猫
宮沢賢治 著 中尾彰 絵
中央公論社 1949(昭和24)
(ともだち文庫 ; 1)
当館請求記号 児93-M-3
山猫から葉書をもらった一郎が、どんぐりたちの裁判をかたづける。本書では、方言に註をつけて読みやすくしてある。中尾彰の素朴な挿絵が、収録の全6編にそえられている。

「カイロ団長」のサムネイル

「カイロ団長」の拡大画像を開きます

児-4-6カイロ団長
宮沢賢治 著 野間仁根 え
桜井書店 1947(昭和22)
(少年のための純文学選)
当館請求記号 Y7-4548
ウィスキーを飲んだアマガエルたちが、その代金と引き換えに、トノサマガエルのカイロ団長に労働者として虐使されるが…。装幀は里見勝蔵。ほか6編収録。

児-4-7二十六夜
宮沢賢治 著 佐藤義郎 絵
日本書院 1948(昭和23)
当館請求記号 児乙部48-M-66
「宮沢賢治動物童話集2」として刊行。表題作は、旧暦の6月24日から26日の晩に集まり、説法をきくフクロウたちの話。本書の編者は実弟の宮沢清六。童話5編を収録。

「ふたごの星」のサムネイル

「ふたごの星」の拡大画像を開きます

児-4-8ふたごの星
宮沢賢治 著 川上四郎 え
大日本雄弁会講談社 1948(昭和23)
(宮沢賢治童話選集 ; 第1巻)
当館請求記号 Y7-4552
本書の掲載作品選出や文字遣いに、高村光太郎、賢治実弟の宮沢清六が協力。

「イーハトーヴォ物語」のサムネイル

「イーハトーヴォ物語」の全文画像を新しいウィンドウで開きます
「イーハトーヴォ物語」の拡大画像を開きます

児-4-9イーハトーヴォ物語
宮沢賢治 著 赤松俊子 絵
小山書店 1948(昭和23)
(梟文庫 ; 9)
当館請求記号 児93-M-1
「よだかの星」「気のいい火山弾」「畑のへり」「まなづるとダリヤ」「かしわばやしの夜」「カイロ団長」「さるのこしかけ」「貝の火」の8編からなる。物語にあわせた赤松俊子の絵が印象的である。

「風の又三郎」のサムネイル

「風の又三郎」の拡大画像を開きます

児-4-10風の又三郎
宮沢賢治 著 高橋忠弥 絵
あかね書房 1950(昭和25)
(世界絵文庫 ; 2)
当館請求記号 児913.8-M674ka
あとがきに「子供さん方にわかりやすいように、方言などをあらため、絵物語にしたもの」とある。宮沢賢治と親交のあった高橋忠弥の素朴なさし絵が随所にそえられている。

「セロひきのゴーシュ : 現代日本童話」のサムネイル

「セロひきのゴーシュ : 現代日本童話」の拡大画像を開きます

児-4-11セロひきのゴーシュ : 現代日本童話
宮沢賢治 著 堀文子 絵
講談社 1954(昭和29)
(世界名作童話全集 ; 50)
当館請求記号 児913.8-M674sd
「宮沢賢治童話選集」全3巻から、5編を選んだ童話集。

「風の又三郎」のサムネイル

「風の又三郎」の拡大画像を開きます

児-4-12風の又三郎
宮沢賢治 著 中尾彰 絵
河出書房 1955(昭和30)
(ロビン・ブックス ; 1)
当館請求記号 児913.8-M674k
3編からなる童話集。表題作「風の又三郎」は、「日常」と「ふしぎ」が重なり合った物語で、賢治の想像力がもっともよくあらわれた童話といえる。

「宮沢賢治全集 第6巻」のサムネイル

「宮沢賢治全集 第6巻」の拡大画像を開きます

児-4-13宮沢賢治全集 第6巻
宮沢賢治 [著]
筑摩書房 1956(昭和31)
当館請求記号 918.6-M674m3-t
全11巻。草野心平・高村光太郎・宮沢清六編。賢治没後に刊行された、いくつかの全集を発展させた初の本格的な全集。賢治は、上京の折にたびたび帝国図書館(現・国際子ども図書館)を訪れており、掲載の「図書館幻想」は、普通閲覧室(現・国際子ども図書館 本のミュージアム)のイメージが投影されているといわれる。

「定本宮沢賢治」のサムネイル

「定本宮沢賢治」の拡大画像を開きます

児-4-14定本宮沢賢治
中村稔 著
七曜社 1962(昭和37)
当館請求記号 910.28-M674Nm2
宮沢賢治についての評論を収録。『宮沢賢治』(ユリイカ新書、1955(昭和30)年)収録の評論及び雑誌「ユリイカ」に1958(昭和33)年に連載された「宮沢賢治ノート」をもとに編まれた。

「宮沢賢治名作集」のサムネイル

「宮沢賢治名作集」の拡大画像を開きます

児-4-15宮沢賢治名作集
宮沢賢治 [著] 遠藤てるよ 絵
偕成社 1963(昭和38)
(少年少女現代日本文学全集 ; 16)
当館請求記号 児909-Sy9572-[16]
少年少女期に読ませたい明治以来の代表的な作品を作家別に収録し、国語教科書の副読本として役立たせることを企図した全集の第16巻。詩をふくむ18編を収録。滑川道夫ほか編。

「宮沢賢治童話全集 1(花と鳥の童話集)」のサムネイル

「宮沢賢治童話全集 1(花と鳥の童話集)」の拡大画像を開きます

児-4-16宮沢賢治童話全集 1(花と鳥の童話集)
宮沢賢治 [著] 桜井誠 絵
岩崎書店 1964(昭和39)
当館請求記号 Y7-15
子ども向けに出版された全7巻の童話全集。67編の童話を類別収録している。第1巻の収録作品は、賢治が《花鳥童話集》として列挙していた童話作品と星の話など16編。宮沢清六、堀尾青史編。

「子どもと文学」のサムネイル

「子どもと文学」の拡大画像を開きます

児-4-17子どもと文学
石井桃子等 著
福音館書店 1967(昭和42)
当館請求記号 909-I583k-h (初版 909-I583k)
石井桃子, いぬいとみこ, 鈴木晋一, 瀬田貞二, 渡辺茂男共著。初版は1960(昭和35)年中央公論社刊。宮沢賢治の章では、「彼は空想の正体のなかにいつも真実をすえて」いた子どものための作家であったと評している。

「宮沢賢治の彼方へ 新増補改訂版」のサムネイル

「宮沢賢治の彼方へ 新増補改訂版」の拡大画像を開きます

児-4-18宮沢賢治の彼方へ 新増補改訂版
天沢退二郎 著
思潮社 1987(昭和62)
当館請求記号 KG567-118 (初版 910.28-M674Am、増補改訂版 KG567-35)
雑誌『凶区』に連載した評論を中心とした1968(昭和43)年の初版に『校本宮沢賢治全集』に基づく増補改訂を施した「増補改訂版」(1977(昭和52)年)の新装版。新装にあたり「宮沢賢治論素描」(初出は1963(昭和38)年)を加えた。

「新版宮沢賢治童話全集 1 (ツェねずみ)」のサムネイル

「新版宮沢賢治童話全集 1 (ツェねずみ)」の拡大画像を開きます

児-4-19新版宮沢賢治童話全集 1 (ツェねずみ)
岩崎書店 1978(昭和53)
当館請求記号 Y7-6743
全12巻の第1巻。11巻までに79編の童話を、12巻に短歌、詩、書簡などを収録している。挿絵を多くして、各巻毎に多彩な童話を収録するなど、旧版より親しみやすさを増すための工夫がなされている。

児-4-20風の又三郎 : 賢治に一番近い風
ますむらひろし 著 宮沢賢治 原作
朝日ソノラマ 1983(昭和58)
当館請求記号 Y16-6626
猫が登場する漫画を数多く描いている漫画家による作品。セリフや情景描写は、比較的原作に忠実になっている。監修は天沢退二郎。

児-4-21銀河鉄道の夜 : 賢治に一番近い光
ますむらひろし 著 宮沢賢治 原作
朝日ソノラマ 1983(昭和58)
当館請求記号 Y16-6642
登場人物がほぼ全員猫という設定の作品。監修は天沢退二郎。1985(昭和60)年、この漫画をもとにしたアニメーション映画が公開された。

「<新>校本宮沢賢治全集 第8巻 (童話 1) 本文篇/校異篇」のサムネイル

「<新>校本宮沢賢治全集 第8巻 (童話 1) 本文篇/校異篇」の拡大画像を開きます

児-4-22<新>校本宮沢賢治全集 第8巻 (童話 1) 本文篇/校異篇
宮沢賢治 [著] 宮沢清六 [ほか] 編纂
筑摩書房 1995(平成7)
当館請求記号 KH361-E15
原稿変遷の推移を記録した全集。1973~77(昭和48~52)年に出版された旧版(全14巻)を見直し、本文と校異を分冊刊行。全16巻。

「やまなし」のサムネイル

「やまなし」の拡大画像を開きます

児-4-23やまなし
宮沢賢治 作 川上和生 絵
三起商行 2006(平成18)
(ミキハウスの絵本)
当館請求記号 Y17-N07-H507
川上和生の絵は、青を基調とした柔らかで繊細な色使いで、賢治の言葉をていねいに表現する。「幻燈が写した」「小さな谷川の底」にくりひろげられる生命の巡りが、詩情豊かに描かれている絵本。

「やまなし」のサムネイル

「やまなし」の拡大画像を開きます

児-4-24やまなし
宮沢賢治 作 はやしほじろう 絵
ペンギン社 1985(昭和60)
当館請求記号 Y18-2361
多色木版画で描かれた絵本は、その色彩と躍動感で、小さな蟹の兄弟が川底で体験する自然の美しさや激しさを表現し、賢治の世界に読者をひきこむ。

「やまなし」のサムネイル

「やまなし」の拡大画像を開きます

児-4-25やまなし
宮沢賢治 作 末崎茂樹 絵
チャイルド本社 1999(平成11)
(チャイルド絵本館 日本の名作 / 西本鶏介 責任編集 ; 7)
当館請求記号 Y17-M99-1186
谷川の底の世界が透明感のある静かな絵で描かれ「かわせみ」や「やまなし」の場面が効果的に挿入される。2部構成の幻燈の舞台を見るかのような絵本。

「セロ弾きのゴーシュ」のサムネイル

「セロ弾きのゴーシュ」の拡大画像を開きます

児-4-26セロ弾きのゴーシュ
宮沢賢治 文 佐藤国男 画
福武書店 1992(平成4)
当館請求記号 Y18-6579
画家は建設業の傍ら、賢治の世界を木版画で作成し評価された。版画独特の太い線は素朴で力強い。最初に印刷した際に絵が反転し左利きになったが、仏語でゴーシュが左の意なのでそのままにしたという。

「セロひきのゴーシュ」のサムネイル

「セロひきのゴーシュ」の拡大画像を開きます

児-4-27セロひきのゴーシュ
宮沢賢治 文 司修 画
冨山房 1986(昭和61)
当館請求記号 Y18-1837
スクラッチボードに描かれた繊細なモノクロの絵本。版画特有の鋭角的な線は、チェロの研ぎ澄まされた音を喚起する。画家が自分とゴーシュを重ねる作品。

「セロ弾きのゴーシュ」のサムネイル

「セロ弾きのゴーシュ」の拡大画像を開きます

児-4-28セロ弾きのゴーシュ
宮沢賢治 原作 天沢退二郎 監修 Roger Pulvers 英語 司修 絵
ラボ教育センター 1998(平成10)
(Sounds in kiddyland ; series 27)
当館請求記号 Y17-M99-1098
装丁はピンクの上に原色の油彩で描かれ、色彩豊か。奔放なタッチで動物が誇張されている。この絵本は、英語教育のために作成された。

「セロ弾きのゴーシュ : 画本宮澤賢治」のサムネイル

「セロ弾きのゴーシュ : 画本宮澤賢治」の拡大画像を開きます

児-4-29セロ弾きのゴーシュ : 画本宮澤賢治
宮澤賢治 作 小林敏也 画
パロル舎 1989(平成元)
当館請求記号 Y18-4569
小林敏也は印刷技術や装丁まで意識した絵本作家として評価されている。ゴーシュの視点から描く場面が特徴的。画像は表紙とカバー。

「セロ弾きのゴーシュ」のサムネイル

「セロ弾きのゴーシュ」の拡大画像を開きます

児-4-30セロ弾きのゴーシュ
宮沢賢治 作 赤羽末吉 絵
偕成社 1989(平成元)
(日本の童話名作選)
当館請求記号 Y18-4392
ページを囲む特徴的な文様と淡い色彩の水彩画で、赤羽末吉の世界に引き込む。赤羽末吉は1980(昭和55)年に国際アンデルセン賞画家賞を受賞。

「グスコーブドリの伝記」のサムネイル

「グスコーブドリの伝記」の拡大画像を開きます

児-4-31グスコーブドリの伝記
宮沢賢治 [著]
『児童文学』[第]2冊 複製版
アリス館 1984(昭和59)
当館請求記号 Z12-628
賢治が生前、1932(昭和7)年3月に雑誌『児童文学』第2冊に発表した作品。挿絵は棟方志功による。賢治の思想を象徴したような、人々への献身と精進に生きた主人公ブドリの物語。『児童文学』は、詩人佐藤一英により純粋童話・詩的童話を主張し1931(昭和6)年7月に創刊されたが第2冊で廃刊。賢治は第1冊に「北守将軍と三人兄弟の医者」も発表している。