科学あそびは、子どもが科学実験や工作を通じて科学に親しむイベントとして、図書館や学校、科学館や児童館などさまざまな場所で行われています。図書館での科学あそびは、科学だけでなく、科学の本に親しむことを目的としています。
国際子ども図書館では、全面開館した平成14(2002)年からほぼ毎年、夏休み期間に科学あそびを実施しています。ここでは、平成23年7月30日、31日に行った「科学あそび2011 宇宙ってどんなとこ?~月の形がわかる早見盤をつくろう~」についてご紹介します。
「科学あそび2011」では、講師を科学読物研究会の坂口美佳子先生にお願いしました(コラム参照)。
科学あそびの企画は講師と職員が協同で行います。子どもに身近なテーマや素材であることが前提で、国際子ども図書館ではさらに、参加者の年齢、大量の水や火は使えないことなどを考慮しています。この10年間で風船、磁石、電気、ドライアイスなどをテーマに多様な科学あそびに挑戦してきました。今回は、小惑星探査機「はやぶさ」が話題になったこともあり「宇宙」をテーマとして、月齢早見盤を作成することにしました。また、職員が本を紹介する「ブックトーク」を行い、じっくり読書したい子どものためにブックリストを作成して配布することにしました。当日は器具を使った実験を行うので、事前に安全上の注意点などを把握しておきます。
2日間のイベントには多くの応募があり、抽選で各日約40名の参加者が決まりました。小学校1年生から中学生まで、年齢はさまざまです。
「科学あそび2011」の内容は下のプログラムのとおりです。事前に子どもに結果を予想させてから実験を試みるのが特徴です。
まず子どもたちは「宇宙はどんなところかな?」と考えて、思いついたことを書き出してみました。少し難しかったようですが、高学年では空気が無いことを書く子もいました。そして、地球や土星などの模型を持ってみて、惑星の大きさ、並び方、構成物質などについて講師の説明を聞きました。
次に、地球から国際宇宙ステーションや太陽などへの距離を予想してみました。これはかなり難しかったようです。講師がアメリカやロシアの月面着陸や宇宙飛行士の話をすると、「アポロ」や「はやぶさ」など、知識の豊富な子が手を挙げて発言する場面もありました。
それから、真空がどのような状態なのか、密閉容器を使った実験をしました。容器に①菓子袋、②温度計、③音が鳴っているブザーをそれぞれ入れて、容器から空気を抜いていくと、中身はどのようになるのか、結果を予想し、容器の中身の変化を観察しました(結果は下)。
(実験結果 ①ふくらむ ②温度が下がる ③音が小さくなる)
次は月齢早見盤の工作です。早見盤ができると、自分の生まれた日などの月の形を調べました。それから、地球の周りを月が公転する様子がわかる「3Dコマ」をフィルムケースで作りました(長さ10.5cm)。
職員によるブックトークでは、月のクレーターの見え方を取り上げました。日本では月にうさぎがいるといわれますが、世界のいろいろな地域で、月のクレーターの見え方は違うようです。『月をみよう』では、月のクレーターをカニや女の人に見立てる国のあることが紹介されています。『月へミルクをとりにいったねこ』はスウェーデンのお話で、月の模様をおじいさんとおばあさんがミルクの桶を運んでいるように見立てた絵本です。本の紹介とともに、自分で作った月齢早見盤で満月の日を調べて月の模様も観察してみては、と案内しました。終了後、子どもたちは本を熱心に見ていました。当日配布した、宇宙に関する子ども向けのブックリストは「よんでみよう、本」をご覧ください。


【月をテーマにした本】
【星をテーマにした本】
【宇宙をテーマにした本】
【原子をテーマにした本】
<ブックトークで紹介した本>
参加した子どもたちにアンケートをとったところ、「おもしろかった」「また参加したい」という答えがほとんどでしたが、2時間という開催時間の長さについては回答が分かれ、「ちょうどよい」が6割、「長い」が3割、「短い」が1割でした。子どもは年齢によって集中力や手先の器用さが大きく異なります。さまざまな年齢の子どもがそれぞれに楽しめる工夫が必要です。
日常のなかには、子どもに身近な科学の素材がたくさんあり、またそれらをわかりやすく説明している子どもの本も多くあります。これからも科学あそびを通して、子どもと科学、科学の本を結びつけていきたいと思います。
※この文章は『国立国会図書館月報』610号(2012年1月)にも掲載しています。