2013年科学あそび:見えない音をたしかめよう~音の実験~

当日

当日のプログラムは、以下の通りです。

<プログラム>

  1. 1.どんな音が聞こえるかな?
  2. 2.実験1:音を触ってみよう
  3. 3.音の出るもの、いろいろ
  4. 4.実験2:鳴き声コップを使って
  5. 5.工作1:鳴き声コップ
  6. 6.実験3:音の伝わり方
  7. 7.実験4:スプーンの鐘
  8. 8.工作2:おどるヘビくん
  9. 9.工作3:エコーマイク
  10. 10.本の紹介、ブックトーク

1.どんな音が聞こえるかな?

まず、席に着いた子どもたちに、講師が「目をつぶって耳を澄ませてごらん。何が聞こえるかな?」と問いかけました。「セミの声」「誰かが歩いている音」など、様々な答えが返ってきます。
その答えを受けて、講師が今回のテーマ「見えない音をたしかめよう~音の実験~」を紹介し、科学あそびがスタートしました。

2.実験1:音を触ってみよう

見えない音を確かめる方法として、自分の喉に手を当てて声を出してみるという実験を行いました。
声を出した時と、息だけを吐き出した時の違いも比べてもらいます。喉に当てた手に振動が伝わるのを感じることができました。

実験の様子

3.音の出るもの、いろいろ

講師が用意した音の出るおもちゃを紹介しました。セミ笛、ウグイス笛など動物の鳴き声に似た音が聞こえるもの、振り回して音を出すサウンドチューブや雷のような音が出るサンダードラム、擦ると声が聞こえるトーキングテープなど、様々な形状のおもちゃで音を鳴らします。
音を出すには、叩いたり擦ったり吹いたりする必要があることがわかりました。

4.実験2:鳴き声コップを使って

鳴き声コップとは、紙コップの底にタコ糸を取り付けたものです。その糸をウェットティッシュで擦ると、動物の鳴き声のような音が聞こえました。
次に講師が、高さや底の広さが異なる3つの紙コップを用意し、音が高い順に並べるというクイズを出しました。何人かの子どもが前に出て、悩みながらコップを並べていきます。見事に正解した子どももいて、とても得意そうな様子でした。

鳴き声コップの実験の様子

5.工作1:鳴き声コップ

子どもたちに小さな紙コップとタコ糸を配り、鳴き声コップを作りました。みんなで一斉にタコ糸を擦ると、まるで動物園のような賑やかさになりました。
ひとしきり鳴き声を楽しんでから、講師が「外から入ってきた音は、鼓膜を通じて耳の中の小さな骨に伝わっていき、音として聞こえる」と耳の仕組みを紹介しました。

6.実験3:音の伝わり方

オルゴールを使って、音が空気中に伝わる仕組みを確かめました。
講師が「箱に入ったままのオルゴールと、箱から出したオルゴールでは、どちらが大きな音に聞こえるか」というクイズを出します。箱から出した方が大きく聞こえる、と答える子どもも多かったですが、実際には箱に入った状態の方が大きく聞こえました。
その後、テーブルやホワイトボードなどにオルゴールを当てて鳴らす実験を行いましたが、大きなものに当てるとより大きな音が聞こえました。
オルゴールの振動が箱やテーブルなどに伝わり、空気を震わせて耳に届くことがわかりました。

7.実験4:スプーンの鐘

長いタコ糸の中心にスプーンを結び付け、両端に輪を作って人差し指に通してから、左右の耳の中にその指先を入れます。その状態でスプーンをテーブルにぶつけると、高い金属音ではなくお寺の鐘のような音が聞こえます。これが「スプーンの鐘」で、鼓膜を通して聞く音と骨を伝わって聞く音の違いがわかる実験です。
子どもたちには、準備しておいたタコ糸付きのスプーンを配って実験してもらいました。
普段使っているスプーンから不思議な音が聞こえるこの実験は大人気で、終了後にもう一度、保護者と一緒に音を聞いている子どももいました。

スプーンの鐘の音を聞く様子

8.工作2:おどるヘビくん

「おどるヘビくん」は、さかさまにした紙コップの上で、モールのヘビが回転するという工作です。
紙コップに太いストローを刺し、その端をくわえて声を出すことで、紙コップの底面に振動が伝わってヘビが動きます。モールのヘビは、丸め方によって回転が速くなったり遅くなったりするため、子どもたちは一生懸命にモールを丸めていました。

「おどるヘビくん」の実演の様子

9.工作3:エコーマイク

いよいよメインの工作です。プラスチックのコップを2つ用意して底をバネで繋ぎ、工作用紙で作った筒の両端に留めます。コップに向かってしゃべると、反対側からはエコーがかかったように聞こえます。
まずは工作用紙に好きな絵を描いてもらい、その後、筒状に丸めてコップを取り付けました。
子どもたちは、エコーマイクから聞こえる面白い響きに夢中になったようで、お互いにエコーマイクを向けあいながらおしゃべりしていました。

子どもたちがエコーマイクを使う様子 子どもたちがエコーマイクを使う様子

10.本の紹介、ブックトーク

職員によるブックトークは、シナリオを2種類用意し、科学あそびの両日で異なる本を紹介しました。
一つは、楽器をキーワードにしたもの、もう一つは耳をキーワードにしたものです。

(1)「楽器」をキーワードにしたブックトーク
まず、『どうぶつなんでも世界一』という本から、耳の大きい動物(ゾウやウサギ)を紹介しました。たとえば、世界中で耳がいちばん大きいのはアフリカゾウで、1.8mもあると書いてあります。

人間の耳の仕組みについては、『暮らしのしくみがわかるなるほど!科学実験ブック 第1巻』に図が掲載されています。ここに、音の聞こえ方には、外耳から鼓膜を通って聞こえるものと、骨の中を通ってくる骨伝導の2種類があることも書かれています。このような2種類の聞こえ方があるため、自分の声を録音して聞くと、いつもと違う声に聞こえるそうです。

それでは、その声はどうやって出るのでしょうか。『音のふしぎ百科2』には、なぜ声が出るのかが書かれています。
「実験1:音を触ってみよう」で喉に手をあてて振動を確かめましたが、声を出したり歌う時には喉の中で声帯が震えます。この震えの回数によって声の高さや音程が決まり、女の人は男の人の2倍も震えるそうです。

ブックトークの様子

人間は歌うこともできますが、楽器を使って音を出すこともできます。最初にできた楽器は何だと思いますか。それは、太鼓です。太鼓は、最も古くから使われてきた楽器だと説明しているのが、『続 打楽器のはなし』です。
大昔に人が聞いていた音は、動物の鳴き声や雷のとどろき、川の流れる音でした。それを真似て手を叩いたり、足を踏み鳴らしたり、石を打ったりして音を出しました。これが音を出す楽器の始まりで、打楽器といいます。やがて、木をくり抜いたものに皮を張るなどして太鼓ができました。

最後に、太鼓をたたきながら歌って踊る不思議なお客様が出てくる絵本『ねこのくにのおきゃくさま』の読み聞かせを行いました。

(2)「耳」をキーワードにしたブックトーク
まず『なるほど!科学実験ブック』で、見えない音を確かめる方法を一つ紹介しました。
水の中にトライアングルや音叉(おんさ)などを半分沈めて鳴らし、水面に波ができるのを観察する方法です。この方法で、音の正体が振動だということを、目で見て確かめることができます。

『なるほど!科学実験ブック』は実験が中心の本なので、音についての説明は少しだけですが、音について詳しく書いてあるのが『音のふしぎ百科』1、2です。
たとえば、「こだまはなぜ返ってくるの?」といった「音のふしぎ」や、「外から入って来た音が鼓膜に伝わり、次に小さい骨へと順番に振動が伝わって…」という音の伝わり方についての説明も、耳の図と一緒に書いてあります。

では、耳を大きくして、音がよく聞こえるように工夫している動物はなんでしょうか?
『どうぶつなんでも世界一』の中の「大耳くらべ」では、いろいろな耳の大きい動物が紹介されています。ウサギは耳が長いことで知られていますが、一番長い耳を持つのは「アンテロープジャックウサギ」というウサギで、身長の4分の1が耳だと書かれていました。

ウサギの長い耳の秘密について書いてある本が、『ウサギのかいかたそだてかた』です。
ウサギの耳には、まず、音を良く聞くという役割があります。もう一つ、長い耳にはたくさんの血管が通っていて、体温を逃がすラジエーター(冷却器)の役割も果たしていると書いてあります。しかし、ずっと昔のメキシコの人は、ウサギの耳が長いのには別の理由があると考えていたようです。
最後に、その理由が書かれている絵本『うさぎのみみはなぜながい』の読み聞かせを行いました。

ブックトークの様子

終了後、子どもたちは、紹介した本を熱心に見ていました。国際子ども図書館の本は貸出をしていないため、近所の公共図書館でも本を探してもらえるように、当日紹介した本をまとめたブックリストを配布しました。ブックリストの内容は、「よんでみよう、本」をご覧ください。