2014年科学あそび:のびてちぢむだけじゃない!~実験で広がるゴムの世界~
当日
当日のプログラムは、以下の通りです。
プログラム:ゴムってどんなもの?
- ゴムはどこに使われている?
- ゴムの性質:実験でたしかめてみよう
- のびちぢみする
- 音を吸収する、あたりをよくする
- 水を通さない
- 電気を通さない
- ゴムであそぼう!
- 輪ゴムぬけ
- ゴムでヒンヤリ、ヌクヌク
- 指鉄砲あそび
- じたばたカップを作ろう
- ブックトーク、絵本の読み聞かせ
1. ゴムはどこに使われている?
まず、講師が子どもたちに、「みのまわりのもので、ゴムをつかっているのはどんなところでしょう?」と問いかけました。すると「消しゴム」、「タイヤ」、「髪どめ」など、様々な答えが返ってきました。その答えを受け、講師が今回のテーマ「のびてちぢむだけじゃない!~実験で広がるゴムの世界~」を紹介し、科学あそびがスタートしました。
2. ゴムの性質:実験でたしかめてみよう
ゴムの性質を、以下の様々な実験を行って確かめてみました。
- のびちぢみする
同じ大きさで種類の違う輪ゴムを実際に手にとって伸ばし、定規で測ってみることで、よく伸びる輪ゴムと伸びにくい輪ゴムがあることを確かめました。 - 音を吸収する、あたりをよくする
割りばしにゴムを巻いて、机をたたいてみることで、ゴムがある時とない時とでの音の違いを聞き比べてみました。 - 水を通さない
講師が、割りばしにゴムを巻いたものを墨汁に浸し、その後、墨汁から割りばしを取り出しゴムをはずしてみます。割りばしが墨汁に染まったかどうかを確認しました。 - 電気を通さない
講師が、電池と豆電球につないだ電線の間にゴムをつなぐと、豆電球はどうなるかを確かめました。
3. ゴムであそぼう!
ゴムを使って、色々な遊びを体験することで、ゴムの性質を体で感じることができました。
- 輪ゴムぬけ
輪ゴムの「わ」を通りぬけます。小さな輪ゴムに足を通していくと、ゴムがどんどん伸びて、胴から頭まですり抜けて、通り抜けに成功しました。 - ゴムでヒンヤリ、ヌクヌク
今度は、ゴム風船を一気にひっぱったり縮めたりし、それをあごに当ててみて、ゴムが伸び縮みする時の温度の変化を確かめてみました。その変化を自分の肌で直に体験した子どもたちの目は、とても生き生きと輝いていました。その後、講師から、ゴムは細長い分子と分子が寄せ集まった高分子という物質で、その分子がどのように動くかによって、熱エネルギーに変化が起きるという内容の説明がありました。 - 指鉄砲あそび
指鉄砲あそびは、人指し指の爪に輪ゴムをひっかけ、小指からゴムを放すとでゴムが飛ぶあそびですが、初めてやったという子どもが多く、指に輪ゴムをひっかけるのが大変そうでした。
4. じたばたカップを作ろう
「じたばたカップ」は、中のおもりを回すことでねじれたゴムが元にもどろうとする力を利用したおもちゃです。ゴムが元にもどろうとする際に、カップがカタカタといきおいよく飛び跳ね、まるでじたばたしているように見える様子が楽しめます。
主な材料
輪ゴム2本、A:六角ナットを3個つなげたもの、B:底のまん中に穴をあけた紙コップ2個、輪ゴムを通すための針金、綿棒を2つに切ったもの、ビニールテープ
作り方
- Aの六角ナットの穴2ヶ所にそれぞれ輪ゴムを通し、穴に輪ゴムを結びます。
- 輪ゴムの先端をそれぞれ、2個の紙コップBの穴に通し、底から引っ張り出します。
- Bの底からひっぱり出たゴムが抜けないように、半分に切った綿棒を輪ゴムの先端に通してセロハンテープで横に止めます。
- 最後に、Bの口のところどうしをビニールテープでつなぎ合わせれば、本体のでき上がりです。
- でき上がった本体に、フェルトペンで思い思いに絵や模様を描きいれます。仕上げに厚紙で羽をつけたり、色紙を好きな形に切って、飾りをつけたりします。
本体の上の方を持ち、手首をグルグルまわすようにしてまわすと、六角ナットのおもりの揺れでゴムがねじれ、そのゴムが戻ろうとする力の反動でおもりの重心が繰り返し移動し、紙コップがじたばたと動き出します。うまく出来た子もいれば、なぜかうまく動いてくれない子もいます。うまくいかなかった場合は、もういちど、紙コップを開いてみて中のゴムがうまくつなげられているか原因をつきとめます。このうまくいかなかった時に、なぜうまくできないのかを自分自身で考えることこそ、科学的な目を養うことにつながっていきます。
5. ブックトーク、絵本の読み聞かせ
職員によるブックトークは、まず、ゴムに関する基本となる知識の本を何冊か紹介し、そこから、読み聞かせにつながるよう、お話の中にゴムが出てくる絵本を組み合わせました。シナリオを2種類用意し、科学あそびの両日で異なる本を紹介しました。
7月26日(土)のブックトーク
1冊目には、『わゴムのふしぎ工作』という本を紹介しました。この本の中には、輪ゴムをつかった工作が、ねじったり、のばしたり、はじいたりというあそび方別に13種類載っています。それぞれの工作のページには、どうしてこうなるかという解説もついています。
2冊目には、『できるまで大図鑑』という本を紹介しました。この本は、食べ物や建物、身の回りのものなど、いろいろなものができるまでのことを紹介している本です。輪ゴムが、どんな原料を使って、どのように作られているか、イラストや写真をたくさん用いてわかりやすく書いてあります。
3冊目には、ゴムの歴史について詳しく書いてある『ゴムのはなし』という本を紹介しました。この本の中には、ヨーロッパ人でゴムというものをはじめて見たのは、アメリカ大陸を発見したことで知られる「クリストファー・コロンブス」だということ。その後、ゴムは、消しゴムや長靴などにも使われるようになりますが、温度によってやわらかくなったりかたくなったりして使いにくいという性質があったため、ゴムが広く利用されるまでに長い年月がかかったこと。それをアメリカのグッドイヤーという人が、研究中の失敗から、ゴムを強く丈夫にする方法を見出したこと。以来、靴底やタイヤなど、いろいろなものに使われるようになったということが書いてあります。この本の中にはほかにも、その後のゴムの研究や、ゴムの木を育てるための苦労など、ゴムについて、いろいろなことが書いてあります。
4冊目に紹介した『力の事典』という本は、いろいろな力について説明している本です。その中には、ゴムに力を加えて、のばしたり、縮めたりしたときに、元にもどろうとする性質を「弾性」といい、そのときにはたらく力を「弾性力」ということが書いてあります。
最後に、硬いゴムでできたゴムチューブを使って、昔、意外な仕事をしていた人のことが書いてある『メアリー・スミス』という絵本を読み聞かせしました。
7月27日(日)のブックトーク
3冊目までは、前日と同じ内容のブックトークを行い、4冊目に『くつ:はじめはなにでできてたの?』を紹介しました。この本には、ゴムを使った特別な機能をもった靴がいくつか紹介されていて、人類が月面ではじめてはいた靴の写真が出ています。そして、最後の読み聞かせでは、ゴムでできた長ぐつが出てくる『ターちゃんとペリカン』という絵本の読み聞かせを行いました。
両日とも、子どもたちは、実験の後の疲れを見せることもなく、よく絵本に見入っていました。
最後に、国際子ども図書館の本は貸出をしていないため、近所の公共図書館でも本を探してもらえるように、当日紹介した本をまとめたブックリストを配布しました。ブックリストの内容は、「よんでみよう、本」をご覧ください。