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国際子ども図書館主催の展示会のお知らせです。

国際子ども図書館開館記念国際シンポジウム 抄録

第二部 国際子ども図書館開館にあたって−報告と討議− その3

<国際子ども図書館への願い>

ヤーグシュ:私の願いは亀田さんにかけたいと思います。亀田さんが、非常に大変な官僚主義に立ち向かうとき、しばしば落ち込むことがあるでしょう。官僚主義というのはゆっくり遅いものですが、一方で、今おっしゃったようなこと、いろいろな遺産を受け継いで保存するというようなことをしてくれるわけであります。だから、大変な時には、私に電話して下さい。官僚主義もいいことはやってくれるのだと覚えていてほしいのです。

パット:今やっていらっしゃる作業、アジアの出版物に対して力点をおいているということですが、すばらしいと思います。昨日宋先生に連れられて、すばらしい展示物を見せていただきました。だから国際的な図書館になっていただきたいと思います。そして国際子ども図書館がそのようなさまざまなアジア各国の美しいものを広めてくださればと思います。フランスではアジアについてよく知られていないからです。特に子どものことに関して。我々の図書館でも、すばらしい児童書のコレクションをさまざまな国から集めるという試みを学べて嬉しかったです。インドのことのことなども話が聞けて嬉しかったです。この国際子ども図書館が特に西欧社会に対して、アジア地域での美しい出版物を広めて伝えてくれればと思います。

シャリオット:今おっしゃったように、私もまったく同感です。どのようにしてこの国際子ども図書館の国際化をサポートしていけばいいかと考える場合には、このよう考えてください。本を図書館にもたらす、あるいは海外旅行をしているような時はそこの本屋さんへ行って、買って、この国際子ども図書館に持ってくる、それだけでもいいと思います。私たちの図書館ではドアの前に置き去りにされている本を見かけます。戸口のところに置かれている、多くの失われ、置き去りにされた本が世界中から入ってくるのです。そういうことも役に立つのではないでしょうか。

ダス:我々の置かれている状況ですが、たくさんのいい本が必要です。児童文学は、我々の国では口伝が行われてきました。そして書き言葉、文学に関してはまだまだ学んでいる、発展途上の状況にあります。だから、皆様のほうからより多くの情報をいただきたいと思います。国際子ども図書館から、良質の本についての情報を頂けたらと思います。私どもがそれを、再版できるような、そして持ち込めるようなアドバイスがあれば、私どもの代わりの目や耳となってさまざまなアドバイスを頂ければと思います。我々が習練する、協力していく非常に重要なきっかけになると思うのです。

ソンブン:私の願いは皆様方全員が国際子ども図書館に来られることです。そして世界のさまざまな物語を読んでほしいのです。そして皆さんの口から次の人へとお話を広めてほしいのです。

宋 :日本の国際子ども図書館が花火のように空高く照って、そのいくつかが韓国に照るように、アジアの国に影響を与えるように祈っています。ひとつの地球のなかで皆が仲良くしていけるようにお祈りしています。

島 :松岡さんが平和についての質問をなさって、すごくいい言葉を思い出しました。平和は寛容によってのみもたらせるのだと。子どもの本の平和と寛容の展示会「ハロー・ディア・エネミー!」。これはシャリオットさんが作られて、今、日本に来ています。ぜひお子さんを連れて、この「ハロー・ディア・エネミ−!」展を見に行ってください。

松岡:たくさんのよい願い事をしていただいてありがとうございます。亀田さん最後に何か一言お願いします。

亀田:遠くの国々から皆様すばらしいお話をしに来てくださり、ありがとうございました。知らない国のこと、遠くの国のこと、さまざまなことを教えていただきました。子どもと本と読書というテーマが、皆さんの期待していたような中身となったでしょうか。励ましや提案など今日うかがったことを糧に今後、国際子ども図書館が、あそこに本をあげようと言っていただけるようなすばらしい図書館になるために、私たち職員は努力したいと思います。最後に、大変恐縮ですが、皇后陛下がご講演の中で子どもの読書に関することをおっしゃっておられる部分をここで、もう一度ご紹介させていただきます。

「今振り返って、私にとり、子ども時代の読書とは何だったのでしょう。何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。そして、その後に来る、青年期の読書のための基礎を作ってくれました。それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました。読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした。」

これは皇后陛下のIBBYインド大会での基調講演の一部ですが、私はまさに子どもにとっての読書の意味の本質的なことが、この言葉の中にあると思います。こういうことのために、本日のシンポジウムが国際子ども図書館も、ここに集まった、子どもと本に関わっている会場の皆様も含めて、皆が、何か自分たちができることを一生懸命になってやっていけるような、一つのきっかけになったらと思います。今日は皆さん、本当にありがとうございました。