国際子ども図書館開館20周年記念展示会「平成を彩った絵本作家たち」小冊子 (表紙) 国際子ども図書館開館20周年記念展示会「平成を彩った絵本作家たち」 Japanese Picture Book Authors of the Heisei Era (1989-2019) (5点の書影を上記展示会タイトルの下に配置) (各資料の書誌情報は裏表紙に記載) (書影の配置) 『こんとあき』(左上に配置) 『そらまめくんのベッド』(中央上に配置) 『だるまさんが』(右上に配置) 『りんごかもしれない』(右下に配置) 『ユックリとジョジョニ』(左下に配置) (国際子ども図書館シンボルマーク) 国立国会図書館国際子ども図書館 International Library of Children's Literature (国際子ども図書館開館20周年記念ロゴマーク) (1ページ) 平成は、1989年1月8日から2019年4月30日までの約30年です。この時代の子どもの本を彩り豊かにしたものの一つとして、絵本作家、特に文と絵の両方を手掛けることで、作品表現に磨きをかけた作家たちの存在を挙げることができます。国際子ども図書館開館20周年記念展示会「平成を彩った絵本作家たち」では、平成に活躍した日本の絵本作家35名を紹介し、それぞれの作家が生み出した絵本とともに、平成という時代を振り返ります。 昭和の影響を受けつつ、平成ではより一層新たな表現が追求され、絵本作家の個性や活動、それぞれの作品も、多種多様なものになりました。この展示会を通して、現在の令和にもつながる、平成の絵本の世界を感じ取ってみてください。 *紹介する絵本作家は、おおむね、活躍を始めた時期の順に並んでいます。 【昭和の名作絵本】 現代の日本の絵本は、戦後の復興が進む中、1950年頃から発展してきました。いわゆる「絵本ブーム」が起こった1960年代から1970年代には、『ぐりとぐら』を始め、ロングセラーとなる名作が数多く生まれるとともに、それまでは分業されることが多かった文と絵を一人で手掛ける絵本作家が登場しました。昭和の名作絵本は、今日に至るまで、世代を超えて多くの読者を獲得してきただけでなく、現在活躍する絵本作家たちにも影響を与え、平成の絵本文化の土台となりました。 (3点の書影を上記文章の下に配置) 『ぐりとぐら』なかがわりえこ, おおむらゆりこ [著] 福音館書店 2010(初版:1967)(左に配置) 『だるまちゃんとてんぐちゃん』加古里子 さく/え 福音館書店 1995(初版:1967)(中央に配置) 『きんぎょがにげた』五味太郎 作 福音館書店 1982(右に配置) (2ページ) 【林明子】 イラストレーターとして活動中、当時の同僚で絵本作家の五味太郎の紹介により絵本に携わり始めました。『はじめてのおつかい』(筒井頼子 作)など多くの物語の世界を鮮やかに描くとともに、ストーリーの創作も手掛けるようになりました。丁寧な取材と多彩な画法で、幅広い年齢層に親しまれる絵本を作り出しています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『こんとあき』林明子 さく 福音館書店 1989 【片山健】 1969(昭和44)年に文と絵の両方を担当した初の絵本『もりのおばけ』を発表後、しばらくはモノクロの鉛筆画の制作を中心に活動しました。息子の誕生を機に絵本作りを再開して以降は、油彩や水彩なども取り入れ、力強く色鮮やかな作風、淡く温かみの感じられる作風など、印象の異なる絵本をいくつも生み出しています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『タンゲくん』片山健 [著] 福音館書店 1992 【武田美穂】 大学で油彩を学び、図書館勤務などを経て、1987(昭和62)年に絵本作家としてデビューしました。マーカーによる鮮やかな色遣いや、コマ割りや吹き出しなどの漫画的な技法を用いて、子どもへの共感に満ちたユーモアあふれる作品を数多く手掛けています。子ども向け番組のキャラクターデザインやワークショップにも携わっています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『となりのせきのますだくん』武田美穂 作・絵 ポプラ社 1991 (3ページ) 【いとうひろし】 保育士の姉の影響で絵本に興味を持つようになり、大学在学中から絵本作りを始めました。1987(昭和62)年に絵本作家としてデビューして以降、絵本や幼年文学を中心とした創作活動を続けています。家族や友達、動物など、子どもに身近な存在を題材に、独自のユーモアを交えて展開される作品世界が魅力です。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『ルラルさんのにわ』いとうひろし さく ほるぷ出版 1990 【宮西達也】 1983(昭和58)年に初めて絵本の絵を手掛け、その後、優しさと思いやり、愛と正義、生と死をテーマとした絵本を次々と発表してきました。太い輪郭線とカラフルな色彩で平面的に描いたり、パステルクレヨンや色鉛筆による短い線を丹念に重ねたり、絵本の内容によって描き分けています。近年は、国内外で読み聞かせや講演会なども行っています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『おまえうまそうだな』宮西達也 作絵 ポプラ社 2003 【あべ弘士】 北海道旭川市にある旭山動物園で、25年間飼育係を務めました。在職中にタウン誌に連載していた動物絵日記が評価され、絵本作家としてデビューしました。動物園を退職した後は、飼育してきた動物たちの生息地を訪ねながら絵本を制作しています。様々な動物の命に関わってきた経験から描かれる、生き生きとした絵が特徴です。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『新世界へ = To The New World』あべ弘士 [作] 偕成社 2012 (4ページ) 【駒形克己】 グラフィックデザイナーとして日米で活躍後、娘の誕生を機に、絵本を制作し始めました。赤ちゃんとコミュニケーションをとる手段として、紙の色、形、質感などにこだわった、視覚や触覚に訴えかける独創的な絵本を数多く生み出してきました。そのデザイン性の高さから、造本作家として世界的に高い評価を得ています。 (資料の一ページを上記文章の右に配置) 『Yellow to red = Du jaune au rouge』Katsumi Komagata [著] One Stroke 2014(初版:1994) 【新宮晋】 日本の美術大学を卒業後、イタリアの美術学校で絵画を学びました。帰国後は絵画から離れ、風や水によって動く彫刻を数多く手掛けるようになり、「風の彫刻家」として世界各地で個展やアートプロジェクトを行っています。表現手法は彫刻にとどまらず、生物や地球の美しさを通して自然や環境について考えさせる絵本も数多く発表しています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『じんべえざめ = WHALE SHARK』新宮晋 著 文化学園文化出版局 2013 【スズキコージ】 独学で絵を描き続け、アートディレクターの堀内誠一との出会いを機に、絵本作りを本格的に始めました。極彩色の絵が特徴で、斬新な発想とダイナミックかつ緻密なタッチから生み出される作品は、見る者に強烈なインパクトを与えます。創作活動は多岐にわたり、ライブペインティングやワークショップなども展開しています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『サルビルサ』スズキコージ作 ほるぷ出版 1991 (5ページ) 【荒井良二】 フリーのイラストレーターとして活動する中、編集者の土井章史と出会い、1991(平成3)年に商業出版としての初の絵本『ユックリとジョジョニ』を発表しました。明るく鮮やかな色遣いと、斬新、大胆、奔放な作風で、国内外で高く評価されています。アニメーション、舞台美術、ライブペインティングなど、幅広く手掛けています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『ユックリとジョジョニ』荒井良二 作 ほるぷ出版 1991 【たむらしげる】 デザインの専門学校で学び、印刷会社のパッケージデザイナーとして菓子のおまけの絵本を制作した後、自作絵本も手掛けるようになりました。印刷の知識や経験をいかし、インクや発色にこだわった、美しい色合いの絵本作りが特徴です。イラスト、アニメーション、漫画など、多様なジャンルで作品を発表しています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『よるのおと』たむらしげる 著 偕成社 2017 【小林豊】 世界各地を訪れた経験を基に、異国の文化や紛争地域の現実などを伝える絵本を数多く生み出しています。特に1970年代から1980年代にかけて旅した中東・アジア諸国での体験は、『せかいいちうつくしいぼくの村』を始め、多くの絵本のテーマとして描かれています。絵本制作のほかにも、子どもの本に関する活動を精力的に行っています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『せかいいちうつくしいぼくの村』小林豊 作・絵 ポプラ社 1995 (6ページ) 【降矢なな】 画家である母親に絵を習い、絵本編集者をしていた叔母の紹介で絵本作家になりました。1992(平成4)年にスロバキアに渡り、「色彩の魔術師」とも呼ばれる版画家のドゥシャン・カーライに版画を学んで以来、スロバキアで暮らしています。繊細な色遣いと、和洋の要素をあわせ持つ画風が特徴です。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『ちょろりんととっけー』降矢なな さく 福音館書店 1999 【出久根育】 1994(平成6)年、月刊誌に発表した「おふろ」で絵本作家としてデビューしました。版画家のドゥシャン・カーライに学び、グリム童話の絵本の絵を描くなど、活躍の場を広げていきました。銅版画による繊細な作品や、油彩やテンペラなどによる重厚な作品を発表しています。現在はチェコで暮らし、スラブ民話の絵本なども手掛けています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『おふろ』出久根育 作 学習研究社 1996 【酒井駒子】 デザイン事務所勤務などを経て、絵本のワークショップ「あとさき塾」に通い、1998(平成10)年に絵本作家としてデビューしました。当初は明るい色彩で淡く優しい雰囲気の作風でしたが、2000年以降は、黒を基調とし、明確な輪郭を持たない線描を特徴とする、叙情的でミステリアスな作風となりました。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『金曜日の砂糖ちゃん』酒井駒子 [著] 偕成社 2003 (7ページ) 【逆輸入絵本】(コラム) 平成の時代には、絵本作家のデビューの舞台は海外にも広がりました。絵本作家の登竜門として知られるボローニャ国際絵本原画展での入選などを機に、海外で外国語版の絵本が出版され、デビューを果たす日本人作家が増えてきました。海外での活躍を経て日本に紹介さ れ、国内で日本語版が出版されるという「逆輸入」型の絵本も珍しくありません。 資料紹介 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『くつやのねこ』今井彩乃 文・絵 BL出版 2010 【どいかや】 美術大学在学中から装丁教室に通い、自作の絵本を制作し、公募展に応募していました。卒業後、公募展での入選をきっかけに、ワークショップ「あとさき塾」に参加し、『チップとチョコのおでかけ』で絵本作家としてデビューしました。色鉛筆や鉛筆による、やわらかく温かい色彩と繊細な絵が特徴です。 資料紹介 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『チリとチリリ』どいかや作 アリス館 2003 【工藤ノリコ】 編集者の土井章史に見出され、1999(平成11)年に『コバンツアーかぶしきがいしゃ』で絵本作家としてデビューしました。デフォルメされた愛らしいキャラクター、やわらかな色彩で丁寧に描き込まれた背景、それらが織りなす穏やかでユーモアあふれる作品世界が特徴です。漫画家としても活躍し、幅広く人気を集めています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『ノラネコぐんだんパンこうじょう』工藤ノリコ 著 白泉社 2012 (8ページ) 【島田ゆか】 デザイン会社勤務などを経て、ワークショップ「あとさき塾」に通い、1994(平成6)年に『バムとケロのにちようび』を発表しました。脇役のキャラクターなども細かく描き込み、絵の中でサイドストーリーを展開させる手法が特徴です。〈バムとケロ〉シリーズのほか、〈ガラゴ〉シリーズなども刊行されています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『バムとケロのおかいもの』島田ゆか 作/絵 文溪堂 1999 【なかやみわ】 企業のキャラクターデザイナーを経て、時代を超えて人々に愛され続けるものを作りたいという思いから絵本作家を志し、絵本作家の川端誠や編集者の松田素子に学びました。個性豊かで愛らしいキャラクターを生き生きと描き、1997(平成9)年のデビュー作に始まる〈そらまめくん〉シリーズなど、多くの作品がシリーズ化されています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『そらまめくんのベッド』なかやみわ さく・え 福音館書店 1999 【いわいとしお】 大学在学中からコンピューターを駆使した映像作品を制作し、メディアアーティストとして注目を集めていました。娘の誕生を機に、紙や木といった素材の良さに気付き、娘を楽しませるための遊びから絵本を作り始めました。縦に開く〈100かいだてのいえ〉シリーズなど、独自のアイデアが詰まった絵本を制作しています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『100かいだてのいえ』いわいとしお [作] 偕成社 2008 (9ページ) 【三浦太郎】 ボローニャ国際絵本原画展で入選後、シンプルな図形で構成された作風で海外の出版社に注目され、スイスで絵本作家としてデビューしました。子育ての経験から、アイデアと工夫に富んだ絵本を創作するようになりました。赤ちゃん絵本『くっついた』、コラージュを取り入れた『ちいさなおうさま』などの人気作はシリーズ化されています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『ちいさなおうさま』三浦太郎 [作] 偕成社 2010 【かがくいひろし】 特別支援学校の教員を務めながら絵本を制作し、2005(平成17)年に50歳で絵本作家としてデビューしました。教員時代の経験を基に、読者を元気付けるような絵本作りを追求し、2009年に急逝するまでに16冊の絵本を発表しました。代表作である『だるまさんが』のだるまを始め、もち、布団など、日本的なモチーフが数多く描かれています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『だるまさんが』かがくいひろし さく ブロンズ新社 2008 【ブックスタートと赤ちゃん絵本】(コラム) イギリスで誕生した、赤ちゃんと保護者が絵本を介して心を通わせることを支援する「ブックスタート」が、2000(平成12)年の「子ども読書年」を機に日本に広まりました。専門家などによる選考会議で選ばれた絵本を各自治体が赤ちゃんと保護者に手渡すという事業で、現在では全国の1,000以上の自治体で実施されています。活動の広がりとともに、赤ちゃん向け絵本の刊行はますます活発になっています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『もこ もこもこ』たにかわしゅんたろう さく もとながさだまさ え 文研出版 1995(初版:[1977]) (10ページ) 【高部晴市】 『きんぎょのかいすいよく』などのナンセンスなものから、『あんちゃん』などの人間味あふれるものまで、幅広い内容の絵本を手掛けています。原画の多くは茶色のボール紙にガリ版で印刷されており、レトロで温かな独特の雰囲気を醸し出しています。絵本が国際的に高く評価されているだけでなく、デザインやイラストの分野でも活躍しています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『あんちゃん』高部晴市 作 童心社 2013 【田中清代】 美術大学で油彩と版画を学び、大学在学中から絵本の制作を始めました。子ども時代の体験を基に、子どもの気持ちに寄り添う絵本を制作しています。銅版画の力強くも繊細な線、絵の具の温かな色遣い、動植物をモチーフとした独特の世界観が特徴です。版画のワークショップや読み聞かせなども精力的に行っています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『くろいの』田中清代 さく 偕成社 2018 【伊藤秀男】 絵画教室で子どもに絵を教えながら、個展や展覧会で絵を発表していました。過去の作品を絵本出版社の編集者に見せたことがきっかけで、絵本制作にも携わるようになりました。濃い赤や青を好んで使い、鮮烈な色彩と力強い筆致で、小さな祭りや伝統行事といった日本の原風景を描いた絵本を数多く手掛けています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『海の夏』伊藤秀男 作 ほるぷ出版 1991 (11ページ) 【西村敏雄】 インテリアデザイナーとして活躍していた頃、息子の誕生を機に絵本の面白さに触れ、絵本作家に興味を持つようになりました。2003(平成15)年に初めて絵本制作に携わって以降、流行に左右されない、長く愛される絵本作りを目指しています。アクリル絵の具を塗り重ねて描かれる、脱力感のあるキャラクターが特徴です。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『もりのおふろ』西村敏雄 さく 福音館書店 2008 【長谷川義史】 平和について考えさせる『ぼくがラーメンたべてるとき』のような、メッセージ性の強い絵本を手掛ける一方、『だじゃれ日本一周』のように、ユーモアにあふれた絵本も数多く発表しています。絵本制作のみならず、海外作品の翻訳や、絵本の読み聞かせに音楽や即興のパフォーマンスを交えた絵本ライブなども行っています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『ぼくがラーメンたべてるとき』長谷川義史 作・絵 教育画劇 2007 【鈴木のりたけ】 新幹線の運転士やグラフィックデザイナーなどを経て絵本作家になり、様々な仕事の現場をポップで緻密な絵で紹介する〈しごとば〉シリーズなど、遊び心あふれるユニークな絵本を次々と手掛けてきました。子ども時代に強烈な印象を受けたという加古里子の科学絵本を参考に、絵だけで楽しめる絵本を制作しています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『しごとば』鈴木のりたけ 作 ブロンズ新社 2009 (12ページ) 【tupera tupera】 亀山達矢と中川敦子の夫婦によるユニットです。布雑貨制作から始まった活動が広がり、 2004(平成16)年から絵本も手掛けるようになりました。主に貼り絵の手法で制作し、様々な紙を組み合わせ、さらに上から絵の具を塗ることで、独自の色合いやデザインを生み出しています。読者との交流を重視したワークショップも全国で開催しています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『パンダ銭湯』tupera tupera さく 絵本館 2013 【みやこしあきこ】 大学在学中から絵本を制作し始め、 2009(平成21)年に『たいふうがくる』で絵本作家としてデビューしました。現実と空想との間を自由に行き来する物語を木炭や鉛筆によるモノクロの絵で描き、光と影を巧みに表現しています。登場人物の服のひだまで細かく描き込まれた画面が、空想の世界に現実感を与えています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『たいふうがくる』みやこしあきこ 作・絵 BL出版 2009 【荒井真紀】 虫や草花の細密画で有名な画家、熊田千佳慕に16歳の頃から師事し、ボタニカルアートを学びました。自然科学系の書籍の編集者やイラストレーターを経て絵本作家になり、身近な植物の生長を紹介する絵本を数多く手掛けています。植物をできる限り自分で栽培して描 かれる、細部にまでこだわった緻密な水彩画が特徴です。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『たんぽぽ』荒井真紀 文・絵 金の星社 2015 (13ページ) 【ミロコマチコ】 2012(平成24)年に『オオカミがとぶひ』で絵本作家としてデビューしました。力強く大胆な筆致で、動植物のあふれんばかりの生命力を描き出し、高く評価されています。国内外で展覧会を開いているほか、子ども向けのテレビ番組のアートディレクターを務めたり、ワークショップを開催するなど、幅広く活動しています。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『オレときいろ』ミロコマチコ 作 WAVE出版 2014 【震災に思いを寄せて】(コラム) 2011(平成23)年3月11日に発生し、社会に甚大な被害を及ぼした東日本大震災は、絵本の分野にも大きな変化をもたらしました。被災体験を題材とした絵本だけでなく、不安や喪失感に寄り添う絵本、生きる希望を伝える絵本、平穏な日常のかけがえのなさに気付かせる絵本が数多く生み出され、読者の側も、荒々しい筆致や強烈な色彩など、感情に直接訴えかけるような表現を求める傾向が強まりました。東日本大震災での経験が、これまでの絵本の主題や表現を振り返り、絵本だからこそ伝えられることを問い直すきっかけとなったといえるでしょう。 (2点の書影を上記文章の下に配置) 『希望の牧場』森絵都 作 吉田尚令 絵 岩崎書店 2014(左に配置) 『ハナミズキのみち』淺沼ミキ子 文 黒井健 絵 金の星社 2013(右に配置) (14ページ) 【きくちちき】 個展で発表していた手製本の絵本が編集者の目に留まり、2012(平成24)年に絵本作家としてデビューしました。出身地である北海道の豊かな自然や、息子の成長を見守る中でのエピソードなどを題材として、躍動感のある筆遣いと鮮やかな色彩が印象的な絵本を制作しています。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『もみじのてがみ』きくちちき 作・絵 小峰書店 2018 【ヨシタケシンスケ】 大学卒業後、ゲーム制作会社勤務などを経てイラストレーターとして活躍する中、2013(平成25)年に刊行した最初の絵本『りんごかもしれない』が好評を博しました。日常の中のありふれた出来事をユニークな視点でとらえ、発想を飛躍させて面白さやおかしさを見出しています。読者の共感を引き出すような、クスッと笑える作風が特徴です。 (1点の書影を上記文章の右に配置) 『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ 作 ブロンズ新社 2013 【ヒグチユウコ】 美術大学在学中から個展などで作品を発表し始め、子育てを経て、近年では画家や絵本作家として活躍しています。愛猫をモデルとした猫がモチーフの作品を中心に高い人気を得ているほか、グッズのデザインやファッションブランドとのコラボレーションなどでも注目を集めています。美しさとグロテスクさをあわせ持つ繊細な絵が特徴です。 (1点の書影を上記文章の左に配置) 『ふたりのねこ』ヒグチユウコ 著 祥伝社 2014 (裏表紙) (国際子ども図書館開館20周年記念ロゴマーク) 国立国会図書館国際子ども図書館は2020年に開館20周年を迎えました。 表紙の資料 左から時計回りに 『こんとあき』林明子 さく 福音館書店 1989 『そらまめくんのベッド』なかやみわさく・え 福音館書店 1999 『だるまさんが』かがくいひろし さく ブロンズ新社 2008 『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ作 ブロンズ新社 2013 『ユックリとジョジョニ』荒井良二 作 ほるぷ出版 1991 ISBN 978-4-87582-867-9 発行 国立国会図書館 2020年9月29日 編集 国立国会図書館国際子ども図書館 〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49 TEL 03-3827-2053(代表) URL https://www.kodomo.go.jp/ (国立国会図書館ロゴマーク) (リサイクル適性マーク)