展示会「スポーツと子どもの本」小冊子 (表紙) 展示会「スポーツと子どもの本」 Sports and Children's Books (4点の書影を上記展示会タイトルの下に配置) (書影の配置) 1.『リリース』(左に配置) 2.『ぞうの金メダル』(右上に配置) 3.『フラダン』(右中央に配置) 4.『バッテリー』(右下に配置) 1.『リリース』 草野たき 著 中島梨絵 装画 ポプラ社 2010  2.『ぞうの金メダル』 斉藤洋 作 高畠那生 絵 偕成社 2004 3.『フラダン』 古内一絵 作 今中信一 装画 小峰書店 2016  4.『バッテリー』 あさのあつこ 作 佐藤真紀子 絵 教育画劇 1996 (国際子ども図書館シンボルマーク) 国立国会図書館国際子ども図書館 International Library of Children's Literature (1ページ) 国立国会図書館国際子ども図書館展示会「スポーツと子どもの本」では、国際子ども図書館の所蔵資料から、日本で出版されたものを中心に、スポーツを描いた子どもの本をご紹介します。また、1964(昭和39)年に開催された東京オリンピックの様子を、当時出版された子ども向け雑誌などを通して振り返るほか、近年注目度が高まっているパラリンピックについて扱った子どもの本も取り上げます。 第1部 スポーツ絵本のさまざま スポーツを主題とする絵本には、からだを動かす楽しみを表現した作品や、運動会のように子どもたちに身近な場面を描いたものが数多く存在し、人間だけでなく、動物、虫、野菜のような様々なキャラクターが登場します。 また、視覚表現を中心とするメディアとしての特徴をいかして、動きの一瞬を切り取り、その場面を読者に印象付ける絵本の手法は、スポーツを描く際にも効果を発揮します。画面いっぱいに広がる鮮烈な表現からは、スポーツの魅力があらためて伝わってきます。近年では、絵本の表現の幅が一層広がってきたことにともない、よりユニークな作品も登場しています。 『おやおや、おやさい』(石津ちひろ 文 山村浩二 絵 福音館書店 2010) くりんとした目に手足のはえた野菜たちが、マラソン大会に参加します。「ラディッシュ だんだん ダッシュする」などの言葉遊びが織り交ぜられ、リズミカルに進む一冊です。 (資料の一見開きを上記文章の左に配置) (2ページ) 『さかさことばでうんどうかい 新版』(西村敏雄 作 福音館書店 2015) 動物たちの運動会が、上から読んでも下から読んでも楽しめる、逆さ言葉と一緒に進んでいきます。掲載ページは、うさぎとかめによる騎馬戦のシーンです。 (掲載ページの逆さ言葉:「たっくる くった いたいよ いたい」) (資料の一見開きを上記文章の右に配置) 『せん』(スージー・リー 作 岩波書店 2018) 氷上をのびやかにすべる女の子を、スケート靴によって刻まれる線を通じて描きます。スピンのシーンでは、加速していく回転が幾重もの曲線となり、スピード感が伝わります。 (書影と資料の一見開きを上記文章の下に配置) 『スタシスさんのスポーツ仮面』(スタシス・エイドリゲーヴィチュス 絵 中川素子 文 岩崎書店 2018) 現在主にポーランドで活躍するアーティスト、スタシス・エイドリゲーヴィチュスが、様々なスポーツをテーマに考案した仮面を描いています。自転車を表現した仮面は、車輪部分が目になるなど、強烈なインパクトを与えます。 (資料の一見開きを上記文章の右に配置) (3ページ) 第2部 スポーツを描いた児童文学 スポーツを扱った児童文学は、時代ごとに変化しています。戦争の影響が残る1950年代には、苦しい日常の中で、野球などに打ち込み、成長する子どもたちの姿を描いた作品が見られました。1960年代からはいわゆる「スポ根」漫画が流行を見せる一方、児童文学におけるスポーツを扱った作品の出版は活発でない時代が続きました。スポーツをテーマとする児童文学の刊行が盛んになるのは1990年代からです。その後2000年代にかけて、取り上げるスポーツの種類、描き方、読者層を広げながら、多彩な作品が発表されています。 『バッテリー』(あさのあつこ 作 佐藤真紀子 絵 教育画劇 1996) ピッチャーの巧は、引っ越し先でキャッチャーの豪と出会い、バッテリーを組みます。高い実力ゆえに我が強い巧と、巧の速球も性格も受け止め支えようとする豪を中心に、野球にひたむきな少年たちを描くシリーズ第1巻です。 (書影を上記文章の左に配置) 『リリース』(草野たき 著 中島梨絵 装画 ポプラ社 2010) 中学2年生の明良は、亡き父と同じ医者になることを身内から期待されていますが、バスケットボール選手への憧れを胸に秘めています。そこへ部活動や家庭でのトラブルが重なり、ある日、不満が爆発してしまいます。 (書影を上記文章の左に配置) (4ページ) 『白をつなぐ』(まはら三桃 著 K. タエコ 装画 小学館 2015) 全国都道府県対抗男子駅伝の福岡県代表である、中学生から社会人までの選手たちは、それぞれの事情を抱えながら、レースに臨みます。レースの展開とともに、選手一人ひとりのドラマが語られます。 (書影を上記文章の左に配置) 第3部 社会とスポーツ スポーツには人々を一つにする力があります。多様性を尊重する社会の構築や、社会的に困難な状況の打開など、スポーツは社会の様々な場面で大きな役割を果たしてきました。障害、災害、差別、戦争の4つのテーマに沿って、社会とスポーツの関わりを描いた子どもの本を紹介します。 【障害】 『みどパン協走曲』(黒田六彦 作 長谷川義史 絵 BL出版 2007) いつも緑色の短パンをはいているため「みどパン」と呼ばれている瞬平太の家で、目が不自由な少年、拓斗を預かることになります。瞬平太の伴走でロードレース大会に出場することになった二人は…。 (書影を上記文章の左に配置) (5ページ) 【災害】 『フラダン』(古内一絵 作 今中信一 装画 小峰書店 2016) 女子メンバーだけのフラダンス愛好会に入った4人の男子。東日本大震災から5年後の福島で、それぞれの事情や心の痛みを抱えながら、大会出場を目指し、フラダンスに打ち込む高校生たちを描きます。 (書影を上記文章の左に配置) 【差別】 『ジェミーと走る夏』(エイドリアン・フォゲリン 作 千葉茂樹 訳 沢田としき 画 ポプラ社 2009) 12歳のキャスの隣家に、同い年の黒人の少女ジェミーが引っ越してきます。二人は走るのが大好き。キャスは黒人を嫌う父親に内緒でジェミーと一緒に走り、友情を育んでいきます。 (書影を上記文章の右に配置) 【戦争】 『かこいをこえたホームラン』(ケン・モチヅキ 作 ドム・リー 絵 ゆりよう子 訳 岩崎書店 1993) 第二次世界大戦中の日系人強制収容所。周囲に仲間はずれにされたり、心ない言葉を投げかけられたりする中、野球を心の支えにして強く成長していく少年の姿を描きます。 (書影を上記文章の左に配置) (6ページ) 第4部 子どもの本に見る1964年東京オリンピック 1964年の東京オリンピックは、大会の前後を通して日本中が大変な盛り上がりを見せました。その興奮は、子どもの本にも表れています。当時、子どもたちに向けて書かれたオリンピックに関する書籍や、学年誌を中心とする雑誌の記事を通して、その頃の様子を振り返ります。 『キンダーブック. 観察絵本』19集6編 フレーベル館 1964 東京オリンピック開催に先立って、オリンピックへの理解を深めるために企画された号です。 (書影を上記文章の左に配置) 『東京オリンピック(少年少女20世紀の記録22)』織田幹雄 著 岸本健 写真 あかね書房 1965 表紙の写真は、開会式の際に航空自衛隊のブルーインパルスがスモークで大空に描いた五輪のマークです。 (書影を上記文章の右に配置) 第5部 パラリンピックを知るために 1964年に開催された東京パラリンピックは、日本でも障害を持つ人々が社会に進出するきっかけとなりました。それから約50年を経て、パラリンピックの規模は拡大し、社会の関心も一層の高まりを見せ、子ども向けに様々な解説書が出版されるようになっています。 (2点の書影を上記文章の下に配置) 『パラリンピック大事典』和田浩一 監修 堀切功 監修協力 金の星社 2017(左に配置) 『決定版! パラリンピック大百科 1 パラリンピックがやってくる!』小峰書店編集部 編 小峰書店 2019(右に配置) (裏表紙) <名作の中のスポーツ> 長い間世界中の子どもたちに読まれてきた、名作とされる児童文学や絵本の中にも、様々なスポーツが登場します。「スポーツ」という観点で改めてこうした作品をとらえ直すと、今までとはまた印象が変わり、新たな発見があるかもしれません。 ・不思議の国のアリス アリスは「不思議の国」で、ゲートボールの原型でもあるスポーツ、クロッケーをします。クロッケーは女性もできるスポーツとして19世紀後半、イギリスで流行しました。 (書影を上記文章の左に配置) 『Alice's adventures in Wonderland and Through the looking glass』by Lewis Carroll [pseud.] with eighty-nine illustrations by John Tenniel and four color plates by Edwin John Prittie John C. Winston Co. 1923 ・あしながおじさん 孤児院育ちの主人公ジュディは、大学でバスケットボールや短距離走などを楽しんだことを、絵入りの手紙であしながおじさんに報告します。 (資料の一見開きを上記文章の左に配置) 『あしながおじさん』ウェブスター 作・絵 松本恵子 訳 ポプラ社 1966 ・〈ハリー・ポッター〉シリーズ シリーズを通して、架空のスポーツ「クィディッチ」が登場します。クィディッチは魔法使いの世界の人気競技で、主人公ハリー・ポッターも選手として活躍しています。 (2点の書影を上記文章の左に配置) 『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング 作 松岡佑子 訳 ダン・シュレシンジャー 画 静山社 1999(左に配置) 『クィディッチ今昔 新装版』J.K.ローリング 著 松岡佑子 訳 静山社 2017(右に配置) ISBN 978-4-87582-872-3(枠外右上に記載) 発行 国立国会図書館 2021年3月9日 編集 国立国会図書館国際子ども図書館 〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49 TEL 03-3827-2053(代表) URL https://www.kodomo.go.jp/ (国立国会図書館ロゴマーク) (リサイクル適性マーク)