【1ページ】 # 展示会 絵探し絵本となかまたち "Search and Find Books" and Their Friends ミニガイド 【2ページ】 ## はじめに  画面いっぱいに人物等が描かれ、読者が目的の人物や物を指示に従って探す「絵探し絵本」が多数出版されています。このような絵本を典型的な「絵探し絵本」と呼んでみると、その周辺にも魅力的な絵本があることに気づきます。国際子ども図書館の所蔵資料から、「絵探し絵本」をはじめとして、類似した絵本、周辺領域の絵本などのなかまたちを集めて紹介します。 ・展示会会期 前期:2025年10月7日~12月21日 後期:2026年1月20日~4月19日 ## 序章  「絵探し絵本」と聞いて誰もが思いつくのが、1987年に英国で出版された『ウォーリーをさがせ!』でしょう。1992年にアメリカで出版された『ミッケ!』も人気です。しかし、それより前の日本にも「絵探し絵本」と言える作品があります。1970年の『とこちゃんはどこ』と1977年の『旅の絵本』です。 『新ウォーリーのふしぎなたび』 マーティン・ハンドフォード 作・絵, 唐沢則幸 訳 フレーベル館 2000(前期) 『チャレンジミッケ ! 11(へんてこりんなおみせ)』 ウォルター・ウィック 作, 糸井重里 訳 小学館 2021(後期) 『とこちゃんはどこ』 松岡享子 作, 加古里子 絵 福音館書店 1970(前期) 『旅の絵本』 安野光雅 著 福音館書店 1977(前期) 【3ページ】 ## 1章 眺める  探す指示は無いけれどもついつい探してしまいたくなる絵本を紹介します。読者は絵をじっくりと眺め、細部の描写を楽しむことができます。 ### 「見ること」「表現すること」  ドイツには「ヴィンメルブーフ」(wimmeln =うようよしている、 Buch =本)という絵本のジャンルがあります。その元祖とも言われるアリ・ミットグッチュの作品を中心に紹介します。16世紀ネーデルラントの画家ボスやブリューゲルをその源流と考える人もいます。 『おねえちゃんは、どこ?』 スヴェン・ノルドクヴィスト 作, 石井登志子 岩波書店 2009(後期) ### 地図と学び  地図上に事物をマッピングした絵本や、構造を輪切りにして解説した絵本など、見ることと学びが深く結びついている本を紹介します。 『ヨーロッパの古城(輪切り図鑑クロスセクション)』 リチャード・プラット 文, スティーブン・ビースティー 画, 赤尾秀子 訳 あすなろ書房 2020(後期) 『マドレンカ』 ピーター・シス 作, 松田素子 訳 BL 出版 2001(前期) 【4ページ】 ### いくつもの物語  一画面にたくさんの要素が詰め込まれ、細部まで豊かに描かれた絵本を紹介します。数多くの人物や出来事が同時に捉えられた画面構成が特徴です。いくつもの物語を見つけることができます。 『絵巻えほんびっくり水族館』 長新太 著 こぐま社 1990(後期) 『おふろやさん』 西村繁男 作 福音館書店 1983(前期) 『ぎょうれつ』 中垣ゆたか [作] 偕成社 2013(前期) 『Michi』 junaida 作 福音館書店 2018(後期) 【5ページ】 ### ものづくし  テーマに沿って事物を集め、密度を持って一場面に配置した作品を紹介します。図鑑にも似ていますが、美しい絵や工夫されたレイアウトからは、単に知識を与えるだけではなく、一つの世界観を作り上げることを目指したことがうかがえます。 『いきものづくしものづくし1』 松岡達英 絵, 田中豊美 絵, 大田黒摩利 絵, 廣野研一 絵, 角愼作 絵, 河井いづみ 絵, 鈴木周作 絵 福音館書店 2021(前期) 『言葉図鑑:ことばがいっぱい1(うごきのことば)』 監修・制作:五味太郎 偕成社 1985(前期) 〔コラム 開始〕 ### 浮世絵にも絵探し?  日本では江戸時代後期から明治時代にかけて「おもちゃ絵」という浮世絵が子どもの間で親しまれ、その中には一つの題材を取り上げ、一枚の絵に様々な図柄を並べた「ものづくし絵」がありました。また、名所を描いた浮世絵は、俯瞰《ふかん》の視点でたくさんの人が描かれ、それぞれに物語が感じられます。 『東都名所 上野東叡山全図』 一立斎広重 蔦屋吉蔵(パネル展示) 『新板かつて道具尽』 芳虎 万治 安政4(パネル展示) 〔コラム 終わり〕 【6ページ】 ## 2章 探す  密度高く描かれた絵の中から何かを探す指示がある、典型的な「絵探し絵本」を紹介します。多くは俯瞰《ふかん》の視点で描かれ、探す対象は人物のほか、動物、宝物などさまざまです。読者は、画面をくまなく「探す」というゲームによって、絵本の中に能動的に入り込んでいくことができます。 ### 犯人・迷子・無くし物  自分が探偵になって犯人を捜し出したい、親や飼い主として大切な子どもやペットを見つけたい、無くした物を取り戻したい。主人公になったつもりで探し始めると、最後に対象を見つけられたときの喜びはひとしおです。 『ケーキをさがせ!』 テー・チョンキン 作・絵 徳間書店 2008(前期) 『シモンのおとしもの』 バーバラ・マクリントック 作, 福本友美子 訳 あすなろ書房 2007(前期) 『ぼくのねこはどこ?』 ヘンリー・コール 著 岩崎書店 2017(後期) 『アヒルちゃんまって!:ミミププペペのだいぼうけん』 マグナス・ウェイトマン 作, のざかえつこ 訳 ひさかたチャイルド 2022(後期) 【7ページ】 ### いろいろな場所  近所、森や海、世界の都市、おとぎ話や架空の世界。行けたとしても、その場所にあるものすべてを見ることはできませんが、「絵探し絵本」の中では、そこに住む人々や動物、建物や名産品をくまなく見て、探すことができます。 『さがしえ12つき』 なかざわくみこ 著 白泉社 2014(前期) 『あそぼうクマクマ:なにしているかな?森のどうぶつたち:春・夏・秋・冬225のさがしもの: Brown Bear Wood 』 レイチェル・ピアシー 文, フレイヤ・ハルタス 絵, 広松由希子 訳 河出書房新社 2021(後期) 『きいろいふうせん:地球一周』 シャルロット・デマトーン 作 西村書店東京出版編集部 2013(後期) 『のぞいてごらんおとぎのせかい』 青山邦彦 作 フレーベル館 2022(後期) 【8ページ】 ### いろいろな探し方  かくし絵、間違い探し、迷路絵本など、探し方に特徴のある絵本を集めました。 『時の迷路:恐竜時代から江戸時代まで』 香川元太郎 作・絵 PHP 研究所 2005(前期) ### 絵探し絵本への期待  「絵探し絵本」は文字の読めない子どもでも楽しめるため、子どもが絵本に親しむきっかけになることがあります。 『チリメンモンスターをさがせ!』 きしわだ自然資料館, きしわだ自然友の会, 日下部敬之 監修 偕成社 2009(前期) 〔コラム 開始〕 ### サイレント・ブックス  サイレント・ブックス (Silent Books) とは、文字のない絵本のことです。絵探し絵本の多くが、文字のない絵本です。  地中海の小島ランペドゥーサには、海を渡って移民や難民が多数おしよせています。彼らのために、2012年、国際児童図書評議会 (IBBY) は図書館を作り、さらに、サイレント・ブックスを集めました。言葉がわからなくても読めるからです。  ここでは、 IBBY により隔年で選ばれるサイレント・ブックスのリストの2023年版から、当館所蔵資料で本展示会のテーマに沿ったものを展示しています。 『ぼくのひみつのともだち』 フレヤ・ブラックウッド 作, 椎名かおる 文 あすなろ書房 2024(後期) 〔コラム 終わり〕 ・発行 国立国会図書館 2025年10月7日 ・編集 国立国会図書館国際子ども図書館 ・〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49 ・03-3827-2053(代表) ・https://www.kodomo.go.jp/