【1ページ】 # 展示会 色の引き算―白・黒・いろいろ― Picture Books with Limited Coloration ミニガイド 【2ページ】 ## はじめに  この展示会では、色数を抑えて制作された絵本を、いわば色が引き算されたものと考え、「色の引き算」というタイトルのもとに集めてみました。色数が少ないからこそできる表現や、カラフルな絵本とは異なる特徴にはどんなものがあるでしょうか。そしてその作品から私たちは何を感じるのでしょうか。 ## 序章  白と黒、そしてそれらの中間のグレーのみを用いて制作された作品をご紹介します。ひとくちに白と黒とグレーと言っても、何を描くか、どのように描くかによって、画面の表情は大きく異なります。そこには、色彩を用いた作品と変わらず多種多様な世界が広がっています。 『よるのびょういん』 谷川俊太郎 作, 長野重一 写真 福音館書店 1985(前期) 『月夜の森で』 アントワーヌ・ギヨペ 作, 青木恵都 訳 タムラ堂 2018(後期) 【3ページ】 ## 第1章 作り手  色数を抑えた絵本を制作してきた作家たちを、その代表的な作品と一緒にご紹介します。 ### ワンダ・ガアグ(1893-1946) 『100まんびきのねこ』 ワンダ・ガアグ 文・絵, いしいももこ 訳, 家庭文庫研究会編 福音館書店 1961(前期) ### マリー・ホール・エッツ(1895-1984) 『もりのなか』 マリー・ホール・エッツ 文・絵, まさきるりこ 訳 福音館書店 1963(前期) ### ガース・ウィリアムズ(1912-1996) 『おやすみなさいフランシス』 ラッセル・ホーバン 文, ガース・ウィリアムズ 絵, まつおかきょうこ 訳 福音館書店 1966(前期) ### 滝平 二郎(1921-2009) 『花さき山』 斎藤隆介 作, 滝平二郎 絵 岩崎書店 1969(後期) 【4ページ】 ### ガブリエル・バンサン(1928-2000) 『アンジュール』 ガブリエル・バンサン 作 BL出版 1986(前期) ### 木下晋(1947-) 『ハルばぁちゃんの手』 山中恒 文, 木下晋 絵 福音館書店 2005(後期) ### クリス・ヴァン・オールズバーグ(1949-) 『ジュマンジ』 クリス・ヴァン・オールズバーグ 作, 村上春樹 訳 あすなろ書房 2019(前期) ### 石川 えりこ(1955-) 『ボタ山であそんだころ』 石川えりこ さく・え 福音館書店 2014(前期) 【5ページ】 ### アイナール・トゥルコウスキィ(1972-) 『月の花』 アイナール・トゥルコウスキィ 著, 鈴木仁子 訳 河出書房新社 2010(後期) ### スージー・リー(1974-) 『かげ』 スージー・リー 作 講談社 2010(後期) ### みやこし あきこ(1982-) 『もりのおくのおちゃかいへ』 みやこしあきこ 著 偕成社 2010(前期) ### しおたに まみこ(1987-) 『やねうらべやのおばけ』 しおたにまみこ[作] 偕成社 2020(後期) 〔コラム 開始〕  このほか、ロバート・マックロスキー(1914-2003)、太田 大八(1918-2016)、アン・ジョナス(1932-2013)、手島 圭三郎(1935-)、五味 太郎(1945-)、長谷川 集平(1955-)、田中 清代(1972-)、とうごう なりさ(1987-)の絵本も展示しています。 〔コラム 終わり〕 【6ページ】 ## 第2章 効果  色の引き算が作品にもたらしている効果にスポットを当てます。色数を抑えた絵本は、何を伝えようとしているのでしょうか。色の少ない世界に突如現れる鮮やかな色にはどのような意味があるのでしょうか。 ### 恐怖・悲しみ・不安  「目の前が真っ暗になる」という言い回しがあるように、ネガティブな感情や状況は黒い色で表現されることが多くあります。 『戦争は、』 ジョゼ・ジョルジェ・レトリア 文, アンドレ・レトリア 絵, 木下眞穂 訳 岩波書店 2024(前期) 『くまとやまねこ』 湯本香樹実 ぶん, 酒井駒子 え 河出書房新社 2008(後期) ### 抽象化  シンプルさを追求し、黒い線だけの絵にしたことで、読者に深く考えさせる作品を紹介します。 『ぼくを探しに』 シルヴァスタイン 作, 倉橋由美子 訳 講談社 1977(前期) ### ダイナミック・躍動感  色数が少なくても、むしろ少ないからこそ力強い構図や筆致、光と影の使い方などで躍動感を表した作品を紹介します。 『ヤクーバとライオン.1(勇気)』 ティエリー・デデュー 作, 柳田邦男 訳 講談社 2008(前期) 【7ページ】 ### 私/あなた/出会う  白黒の画面の中で、主人公、また、主人公と出会う人物だけに色がついている作品があります。 『おとなりのだれかさん』 カーシャ・デニセビッチ さく, おがわひとみ やく 評論社 2024(前期) ### 静寂・内省  白黒やその他の単彩によって、ろ過された感情やひらめき、悟りの境地を効果的に表現した作品を紹介します。 『パパとわたし』 マリア・ウェレニケ 作, 宇野和美 訳 光村教育図書 2012(後期) ### 明るさ・暗さの対比  モノクロームの画面と鮮やかな色を用いた画面とのコントラストが効果的に用いられている作品をご紹介します。 『はなをくんくん』 ルース・クラウス 文, マーク・サイモント 絵, きじまはじめ 訳 福音館書店 1967(前期) ### ノスタルジック  色数を抑えて描かれた絵は、遠い昔の物語や、過去の記憶を思い起こさせるような作品でもしばしば用いられます。 『なんかひとりおおくない?』 うめはらまんな 作 BL出版 2023(後期) 【8ページ】 ### ファンタジー  現実にあるカラーの世界とは異なる、色の少ない世界。そこはこの世のものではない、不思議がいっぱいの物語の舞台です。色が引き算された幻想世界の冒険をお楽しみください。 『アライバル』 ショーン・タン 著 河出書房新社 2011(前期) 『わたしのバイソン』 ガヤ・ヴィズニウスキ 作, 清岡秀哉 訳 偕成社 2021(後期) 〔コラム 開始〕 ### はじめての絵本  意外かもしれませんが、乳幼児向け絵本の中には白黒絵本が数多くあります。色数を抑え、シンプルなデザインで描かれたものが作られる要因の一つには、視覚発達の研究が進み、色をはっきりと識別できない乳児も白と黒のハイコントラストは認識しやすいとわかったことがあります。  絵本を制作する際に、実際に保育の現場に赴き、反応を調査する作家もいます。多様な形状やインタラクティブに参加できる仕掛けからは、乳幼児の感覚に響く表現の探索を垣間見ることができます。 『くろねこかあさん』 東君平 さく 福音館書店 1990(前期) 〔コラム 終わり〕 # 原本奥付 ・ISBN 978-4-87582-964-5 ・発行 国立国会図書館 2026年10月6日 ・編集 国立国会図書館国際子ども図書館 ・〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49 ・03-3827-2053(代表) ・https://www.kodomo.go.jp/