本で巡る世界の国々
世界のさまざまな国・地域に関する翻訳作品を、もとの言語で書かれた版や英語版と一緒に紹介します。 (ここにあげた以外にも複数の翻訳が出ている本もあります。読み比べてみてください。)
国・地域 : オーストラリア
アボリジニー神話
1788年にイギリスが入植を始めた時、オーストラリアには狩猟採集をしながら季節性の移動生活を営む先住民が居住していました。先住民は「アボリジニーズ」、「アボリジナル」という言葉で総称[?]されますが、地域集団ごとに独自の言語体系や神話をもち、居住する地域環境に適応した生活を送っていたといわれています。
本書は、オーストラリア南東部の先住民ナーラン族が、語り伝えてきた伝承をまとめた本です。作者は、植民開拓者の家庭に生まれ、先住民を遊び相手に育った女性で、文字文化をもたない先住民から伝承を聞き取り、英語で再話しました。
万物の父バイアーメがカーリアー(ワニ)から妻たちを救い出し、その結果として湖が生まれる「ナーラン湖の始まり」や、ブートゥールガー(鶴)とグーナー(カンガルーネズミ)の夫婦が火の起こし方を発見する「火の創造者」など、先住民の世界観を象徴するさまざまな物語を読むことができます。
英語版
Australian Legendary Tales: Folklore of the Noongahburrahs as Told to the Piccaninnies
by Parker, K. Langloh (Katie Langloh)
D. Nutt 1896 等
オーストラリアの先住民を表す言葉として、「アボリジニー(アボリジニ)」が用いられてきましたが、言語や文化の多様性を踏まえて「アボリジナル」「アボリジナル・ピープル」、「アボリジニーズ」などの言葉を用いることが望ましいとする指摘があります。
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