2016年IBBY朝日国際児童図書普及賞、受賞団体発表

【2016-061】

国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People : IBBY)は2016年4月4日、IBBY朝日国際児童図書普及賞(IBBY-Asahi Reading Promotion Award)の受賞団体が、イランが推薦した同国の「いっしょに読もう」(Read with Me)と、スイスが推薦し、デンマーク、フランス、ドイツの支持を得たラオスの「兄さんねずみ」(Big Brother Mouse)に決定したと発表した。IBBY朝日賞は、1986年に東京で開催された第20回IBBY世界大会を記念して、朝日新聞社がスポンサーとなり創設された。青少年の読書推進のために優れた活動を行い、永続的な貢献をした二つの団体・専門機関が、各国支部からの推薦を受けて隔年で選出され、賞金1万ドルが贈られる。授与式は、8月にオークランド(ニュージーランド)で開催されるIBBY世界大会で行われる。

「いっしょに読もう」(Read with Me)

貧困問題を抱える地域の子どもや、学校に行かずに働いている子ども、孤児やストリートチルドレンに良質の本を手渡すことを目的として、音読を推進し、劇を取り入れた読み聞かせや工作活動、教員・図書館員・ボランティア向けのワークショップを実施している。また配布した本をもとに図書室を設置している。地域のニーズに合わせて柔軟に行える取組として、都市部の15カ所、都市周縁地域6カ所、農村部の75カ所で実施し、2010年から2015年までに13,000人の子ども、500人を超す教員やボランティアを支援してきた。資金は寄付に頼り、主にボランティアによって運営されている。

「兄さんねずみ」(Big Brother Mouse)

ラオスには「読書は楽しいものであり、人は読書によって学び、情報を得て生活の質を向上できる」という考えが浸透しておらず、また、就学児童数は少しずつ増えているものの、生活のために就学を途中であきらめる子どもも多い。「兄さんねずみ」は、「子どもが読書を楽しむことが、ラオスにおける読書推進と識字率の向上につながる」という信念の下、首都ビエンチャンと主要都市の一つであるルアンパバーンを拠点に活動している。特に農村部で本が不足し、多くの子どもは教科書しか読んだことがないため、2006年からラオス語、又はラオス語・英語併記の本を制作し、子どものほかラオス語や英語を学習中の大人に提供している。

Ref:

(2016.05.23 update)