中国における絵本の翻訳出版の状況

【2017-020】

言論統制を強める中国政府が、西側諸国のイデオロギーを排し中国の作品を保護する目的で、外国で刊行された絵本について、中国での翻訳出版の刊行数を大幅に削減するよう指示したと報じられている。3月10日には、中国でインターネット通販サイトを手がけるアリババが、自社のサイト淘宝網(Taobao.com)で、外国の出版物の販売を禁止すると発表した。

雑誌を含む外国の出版物は、以前から中国本土への輸入が制限されており、外国の作品を読みたい人は台湾や香港まで買いにいったり、インターネットで購入したりしてきた。現在でも日本や韓国の絵本が出版されることはほとんどなく、さらに今後は、その他の国の本の出版も大幅に制限される可能性がある。

中国では急激な経済成長にともない、2016年には40,000冊を超える児童書が出版された。一人っ子政策が廃止され、二人目の子どもを持てるようになったことから、早期教育に関心を寄せる家庭が多く、児童書の市場は成長を続けると予想されている。現在、amazonの中国語サイト、亚马逊(amazon.cn)で最も売れている10冊のうち6冊、中国のネット通販サイト、京東(jd.com)で最も売れている絵本の上位3冊は翻訳作品である。外国で刊行された児童書に対する需要が高い中、今後どのように対応して行くのかが注目される。

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(2017.03.27 update)