第16回国際グリム賞

【2017-038】

2017年4月27日、大阪国際児童文学振興財団は、第16回国際グリム賞の受賞者が、アメリカ・イリノイ州立大学教授のロバータ・シーリンガー・トライツ氏(Dr. Roberta Seelinger Trites)に決定したと発表した。

同財団は授賞理由として、トライツ氏が、国際的に活躍している児童文学、特に思春期文学の優れた研究者であり、思春期文学研究、ジェンダー研究、歴史的視野からの文学研究を理論的なアプローチによって行い、児童文学研究の分野を開拓したことをあげている。また、アメリカ児童文学協会の機関誌“Children’s Literature Association Quarterly”(季刊児童文学協会誌)の編集長やアメリカ児童文学学会の会長を歴任したことや、イリノイ州立大学における研究者の育成、書評活動等、子どもの本の普及に関連した多方面での活躍が、今回の受賞につながった。
邦訳された著書には、アメリカ児童文学協会の選定図書に指定された『ねむり姫がめざめるとき フェミニズム理論で児童文学を読む』(1997)、アメリカ児童文学協会の図書賞を受賞した『宇宙をかきみだす 思春期文学を読みとく』(2000)がある。

国際グリム賞は、児童文学や絵本の研究にすぐれた業績をあげた者、または児童文学や絵本の研究・紹介等の振興に顕著な功績のあった者を顕彰する目的で、1986年に大阪府立大手前高等学校創立100周年記念事業として、同校の同窓会である金蘭会の基金により設置された。その趣旨を推進する大阪国際児童文学振興財団との共催事業として、隔年で実施されている。設立された1986年がグリム兄弟の生誕200年にあたったために、「国際グリム賞」と名付けられた。

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(2017.05.22 update)