2018年ニューベリー賞およびコルデコット賞受賞者発表

【2018-022】

米国図書館協会児童図書館サービス協会(Association for Library Service to Children, a division of the American Library Association: ALSC, ALA)は、2月12日、2018年のニューベリー賞(Newbery Medal)受賞者は、“Hello, Universe” の著者 Erin Entrada Kellyコルデコット賞(Caldecott Medal)の受賞者は、“Wolf in the Snow” の著者マシュー・コーデル(Matthew Cordell) に決定したと発表した。同賞は、前年に発表された英語の児童書を対象とし、すぐれた作品を発表した作家及び画家に与えられる。

“Hello, Universe” にはフィリピンや日本にルーツをもつ4人の子どもたちが登場し、巧みに視点を変えながら、ユーモアをまじえ、行方不明の少年を探す物語が語られる。登場人物はいきいきと描かれ、心の動きにリアリティがある。審査委員長の Cecilia P. McGowan は、「受賞作及びオナーブックは、2017年にアメリカで出版されたすばらしい作品の中から選ばれた。」と述べた。

次点作品に当たるニューベリー賞オナーブック(Honor Books)には、Derrick Barnes の “Crown: An Ode to the Fresh Cut”(Gordon C. James 絵)、Jason Reynolds の “Long Way Down”、Renée Watson の “Piecing Me Together” が選ばれた。

コルデコット賞を受賞した “Wolf in the Snow” は、吹雪の中迷い、助けあう少女とオオカミの子の姿を捉えた、おとぎ話のような趣の物語である。この絵本にはほぼ字がなく、挿絵は鋭敏な色彩・空間感覚で描かれている。審査委員長の Tish Wilson は、「シンプルな作品に見えて、ドラマチックなサバイバル物語であることに驚いた。」と評価した。

コルデコット賞オナーブックには、エリシャ・クーパー(Elisha Cooper)の “Big Cat, little cat”、Gordon C. James の “Crown: An Ode to the Fresh Cut”(Derrick Barnes 文)、Thi Bui の “A Different Pond”(Bao Phi 文)、ジェイソン・チン(Jason Chin)の “Grand Canyon” が選ばれた。

また、米国図書館協会の一部門であるヤングアダルト図書館サービス協会(Young Adult Library Services Association : YALSA)は、ヤングアダルト作品を対象とするプリンツ賞(Michael L. Printz Award)の受賞者が、Nina LaCour の “We Are Okay” に決定したと発表した。“We Are Okay” では、深い悲しみの中にいる主人公が親友と会うことになり、心を蝕んでいた孤独と対峙する。プリンツ賞オナーブックには、Jason Reynolds の “Long Way Down”、アンジー・トーマス(Angie Thomas)の “The Hate U Give”(邦訳『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』)、レイニ・テイラー(Laini Taylor)の “Strange the Dreamer”、Deborah Heiligman の “Vincent and Theo: The Van Gogh Brothers” が選ばれた。

(作者の日本語読みは、判明した場合のみ記載した。)

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所蔵リスト

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Erin Entrada Kelly

セブ島のビサヤ族の母親をもち、ルイジアナ州で育つ。フィリピン系米国人として、自らの文化的背景に基づく作品を執筆している。

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マシュー・コーデル(Matthew Cordell)

シカゴ郊外に住み、児童書の絵や文章を手がけている。

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(2018.03.27 update)