ローラ・インガルス・ワイルダー賞の名称変更

【2018-080】

2018年6月25日、米国図書館協会(American Library Association: ALA)の児童図書館サービス部会 (The Association for Library Service to Children: ALSC)は、ローラ・インガルス・ワイルダー賞(Laura Ingalls Wilder Award)を児童文学遺産賞(Children's Literature Legacy Award)に改称することに決定したと発表した。

ローラ・インガルス・ワイルダーは米国を代表する児童文学作家であり、『大草原の小さな家』に代表される「小さな家」(Little House books)シリーズなどの作者として知られている。その名を冠したローラ・インガルス・ワイルダー賞は1954年に創設され、米国で作品を出版し、長年にわたって児童文学に多大な貢献をした作家もしくは画家に贈られてきた。

ALSCは、ワイルダーの作品は児童文学史上、また個々の読者にとっても大変意義深いものであるとした上で、ワイルダーの作品は自身の人生経験や1800年代当時の開拓移民としての視点をもとに書かれており、現代の価値観から見ると人種差別的な表現が含まれていることから、人種や思想を超えた包摂性や統合、互いへの敬意や配慮といったALSCの根幹をなす価値観に鑑み、改称に至ったと説明した。ALSCはまた、今回の改称について、個人や団体がワイルダーの作品に触れることを制限したり、過去のローラ・インガルス・ワイルダー賞受賞者とその業績について否定したりする意図はないとコメントしている。

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(2018.08.21 update)