国際連合“SDG Book Club” が子ども向けブックリストを毎月公開

【2019-039】

2019年4月2日、国際連合(UN)のSDG Book Clubは、6歳から12歳の子どもたちに国連の「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)について学んでもらい、行動を促すことを目的として、ブックリストを発表した。SDGsとして掲げられる「目標1」(Goal 1)から「目標17」(Goal 17)までを順番にとりあげ、2020年9月まで、1か月毎に1つの目標に関するブックリストが発表されていく予定である。

4月2日の「国際子どもの本の日」にあわせ、ボローニャ・ブックフェア開催中に最初のリストとして発表されたのは1つ目の目標 “No poverty”(貧困をなくそう:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ)に関する本のリストである。リストには国連の公用語6言語(英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語)の書籍が、各国語とも数冊ずつ挙げられている。これらの書籍は、国連のほか、国際出版連合(The International Publishers Association: IPA)、国際図書館連盟(The International Federation of Library Associations and Institutions: IFLA)、国際児童図書評議会(The International Board on Books for Young People: IBBY)、European and International Booksellers Federation: EIBF、ボローニャ・ブックフェア(The Bologna Children’s Book Fair: BCBF)等のメンバーにより構成される選考委員会により選ばれたものである。

今回、英語のブックリストに掲載された書籍は、以下の4冊である。

Goal 1 “No poverty”(貧困をなくそう:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ)

“Serafina’s Promise”
Ann E. Burg 文、ショーン・クウォールズ(Sean Qualls)絵
医者になりたいと熱望する少女を描く、愛の力にあふれた希望の物語。彼女の生きるハイチでの悲しく容赦ない貧困を描写している。

“Last Stop on Market Street” (邦訳『おばあちゃんとバスにのって』)
マット・デ・ラ・ペーニャ(Matt de la Peña)文、クリスチャン・ロビンソン(Christian Robinson)絵
バスに乗った男の子と祖母、そして乗り込んでくる人々とのやりとりを描いた絵本。物質的には貧しくとも、見方を変えれば人生は豊かさにあふれているということに気付かせてくれる。

“A Chair For My Mother” (邦訳『かあさんのいす』)
ベラ・B.ウィリアムズ(Vera B. Williams)作
火事ですべてを失った一家が希望を捨てずに生活再建を目指す物語。小さな女の子が、人生において重要なこと、他人に何かをしてあげることの大切さを教えてくれる。

“The Happy Prince”
オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)文、Maisie Paradise Shearring 絵
町に高くそびえ立つ「幸福な王子」の銅像とつばめが、自らを犠牲にして貧しく苦しんでいる人々に宝石や金箔を分け与える、思いやりと慈悲を描いた感動的な物語。

SDG book clubは、子どもたちがこれらの本に触発され、ともに生きやすい世界をつくっていけることを望むと述べている。

Ref:

所蔵リスト

ショーン・クウォールズ(Sean Qualls)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

マット・デ・ラ・ペーニャ(Matt de la Peña)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

クリスチャン・ロビンソン(Christian Robinson)による児童書著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

ベラ・B・ウィリアムズ(Vera B Williams)による児童書著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

(2019.04.23 update)