子どもと家庭の読書に関する報告書の第7版が公開(米国)

【2019-040】

2019年3月14日、児童向けの出版・教育などを手掛ける米国のScholastic社が、隔年で実施している子どもと家庭の読書状況に関する全国調査の報告書 “Kids & Family Reading Report”の第7版を一部公表した。

本調査は、6歳から17歳までの子どもとその保護者1,040組と、0歳から5歳までの子どもの保護者678組を対象に2018年9月6日から10月4日にかけて実施されたものである。調査結果は「子どもの読書に関する傾向」(Finding Their Story)「読み聞かせの普及」(The Rise of Read-aloud)「夏休み期間中の読書」(Summer Reading)の3つのテーマに分けて公開される(このうち、「夏休み期間中の読書」は近日公開予定)。

「子どもの読書に関する傾向」「読み聞かせの普及」の概要は以下のとおり。

子どもの読書に関する傾向

・読書が好きな子ども、読書を重要と思う子ども、よく本を読む子どもの割合は、いずれも9歳を境に大幅に減少する。

・親と子どものいずれも半数以上が、本が困難な状況を乗り切る助けになったと回答した。

・本を選ぶ際、子どもは「笑えること」「新しい世界に導いてくれること」「知りたいことを教えてくれること」を本に求める傾向がみられた。親もこれらの傾向が増加しているほか、「子どもが他の人の生活について学べること」「子どもが自ら考えたり感じたりできること」についても重視する傾向がある。

・物語の筋や舞台、登場人物に多様性があったほうがよいと答えた割合は、親と子どものいずれについても、2016年より上昇した。また、子どもが登場人物に求めるものの上位三つとして「こうなりたいと思えること」「困難に立ち向かい乗り越えること」「自分に似ていること」が挙げられた。一方、親を対象とした調査でも、95%もの親が、本の登場人物は子どもたちの望ましい資質をはぐくむ助けになりえると回答した。

・本をよく読む子どもの周囲には、読書の手本となるロールモデルがいる傾向がある。

・学級文庫(Classroom libraries)は非常に重要なものであり、しっかりした学級文庫がある学級の子どもは本をよく読む傾向があるが、学級文庫の設置や整備は十分に進んでいるとはいえない。

・過去13年間の調査を通じて、「子どもは自分で選んだ本は読む」という結果が一貫して得られている。89%の子どもが、自分の好きな本について、自分で選んだものだと回答した。

読み聞かせの普及

・乳幼児に読み聞かせをする親は、過去2回(2014年、2016年)の調査と比較して増加しており、また家庭での読み聞かせを0歳から始める家庭も増加している。

・大人も子どもも、読み聞かせが好きだと回答した割合は80%を超えている。調査結果から、読み聞かせは親と子どものどちらにとっても特別な時間であり、強い結びつきを感じさせてくれる経験であるということが分かった。

・前回の調査と比較して、家庭での読み聞かせの頻度は上がっているが、子どもが大きくなるにつれ、その頻度は下がり、8歳を超えると急速に低下する。この理由について親に尋ねたところ、「子どもが自分で読めるようになったから」という回答が最も多かった。

Ref:

(2019.04.23 update)