第17回国際グリム賞

【2019-085】

2019年6月20日、大阪国際児童文学振興財団は、第17回国際グリム賞の受賞者が、梅花女子大学名誉教授で同財団特別顧問の三宅興子氏に決定したと発表した。

国際グリム賞は、児童文学や絵本の研究にすぐれた業績をあげた者、または児童文学や絵本の研究・紹介等の振興に顕著な功績のあった者を顕彰する目的で、1986年に大阪府立大手前高等学校創立100周年記念事業として、同校の同窓会である金蘭会の基金により設置された。大阪国際児童文学振興財団との共催事業として、国際アンデルセン賞と交互になるように隔年で実施されている。設立された1986年が、昔話の蒐集者・再話者であり、すぐれたメルヒェン研究者でもあったグリム兄弟の生誕200年にあたったために、「国際グリム賞」と名づけられた。

発表によれば、三宅興子氏の受賞理由は、国際的な児童文学、絵本のすぐれた研究者であり、多様で国際的な児童文学研究活動を積極的に組織・運営してきたことである。児童文学史、比較児童文学、英語圏の児童文学研究、日本における世界の児童文学の受容、国内外の絵本研究、子どもの本の読者研究等の学術的な研究によって、児童文学研究の促進と発展に多大な貢献をしたこと、また、多くの研究プロジェクトを立ち上げ、日本の研究者に世界への目を開かせる指導を行ってきたこと、長年にわたる大学、大学院での児童文学研究指導等が今回の受賞につながった。

現在、梅花女子大学名誉教授である三宅氏は、環太平洋児童文学者会議実行委員長、絵本学会会長、日本イギリス児童文学会会長、大阪国際児童文学振興財団理事長を歴任してきた。

主な著書には、日本児童文学学会賞奨励賞を受賞した『児童文学はじめの一歩』(1983)、日本初のイギリス絵本の通史であり日本児童文学学会賞を受賞した『イギリスの絵本の歴史』(1993)、英国の雑誌「パンチ」と児童文学の関わりを明らかにした『もうひとつのイギリス児童文学史』(2004)等がある。

2019年秋に、贈呈式および記念講演会が開催される予定である。

Ref:

(2019.07.23 update)