子どもの本の画家による壁画が、ブルックリン公共図書館に誕生(アメリカ)

【2019-088】

子どもの本の画家が、ブルックリン公共図書館中央図書館ユース・ウィングの壁画を制作した。

2018年の初め、同館が館内に飾る絵の購入を検討したところ、新たに絵を描きたいという申し出が複数の画家からあり、壁画の制作が始まった。長年、同館と親交のあるソフィー・ブラッコール(Sophie Blackall)が美術監督を務めた。白いカンバスではなく、暖房の吹き出し口や火災報知器などがある壁にどのような絵を描くのか、7人の画家が構想を練った。このプロジェクトに携わったのは、ブラッコールのほか、セリーナ・アルコー(Selina Alko)、Yuyi Morales、Christopher Myers、スティーヴン・サヴェッジ(Stephen Savage)、Javaka Steptoe、ポール・O.ゼリンスキー(Paul O. Zelinsky)である。完成した絵はビニールに印刷された後、壁板に貼られ、2019年6月7日、7枚の壁画が誕生した。

サヴェッジの絵には、本を吸い上げるUFOと、それを見つめる人や生き物のシルエットが描かれている。Steptoeの絵には、ブルックリンの文化的多様性を示すような柄の迷路に、人やベビーカーが配置されている。アルコーは、伝統的な褐色砂岩の建物や多様な人々を通して、ブルックリンの雰囲気を表した。Morales は、絵本 “Dreamers” に出てくる母親と赤ん坊、本から飛び出す蝶を描いた。移民としてアメリカに渡ってきた Morales にとって、図書館は家のような場所だったという。ゼリンスキーの絵には、空想の生き物と自作のモチーフが隠れている。ブラッコールの絵では、子どもたちが不思議な生き物の背に乗り、図書館の上を飛びながら本を読み、Myersの絵では、少女が本とともにブルックリンの空を飛ぶ。

どの絵にも一冊の赤い本が描かれており、UFOやベビーカーも多くの絵に共通する。また、アルコーの絵の母親はツタのような模様のスカート、Morales の絵の母親はふくらんだ花のようなスカートをはいているように、他の絵とつながっているモチーフもある。地下鉄の路線や司書のセーターなど、館内や近隣で見つかる色をそれぞれが使ったことで、7枚の絵に一体感が生まれた。ブラッコールとサヴェッジは、同館正面ドアの飾りの動物を作品に取りいれた。

同館は、絵に関連したアート・創作のプログラムや、絵に隠されたものを見つけるゲームの実施も考えている。(作者の日本語読みは、判明した場合のみ記載した。)

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所蔵リスト

ソフィー・ブラッコール(Sophie Blackall)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

セリーナ・アルコー(Selina Alko)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

Yuyi Morales著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

Christopher Myers著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

スティーヴン・サヴェッジ(Stephen Savage)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

Javaka Steptoe著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

ポール・O.ゼリンスキー(Paul O. Zelinsky)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

(2019.07.23 update)