2017科学あそび:グラスでつくる音の世界 -グラスハープの秘密-
概要
「科学あそび2017」は、クリスタルハーモニーの佐々木勝浩先生と佐々木久子先生に講師をお願いし、8月23日(水)に開催しました。グラスハープは、グラスを指で擦って音を出す楽器です。10歳から高校1年生まで、計21人が参加しました。
企画と準備
「面白かった」「楽しかった」で終わりではなく、「なぜこうなるのか」「違うやり方をしたらどうなるのか」など自主的に科学の世界に関わっていくきっかけとなるよう以下のことに重点を置きました。
- 少し難しくとも、経験を積んだ専門家の話を直接聞くこと
- 体験型の実験を取り入れること
- 関連する資料を紹介すること
実演と解説は講師に依頼し、職員はブックトークの準備を行いました。
当日
当日のプログラムは、以下の通りです。
1. 講師によるプログラム
グラスハープの歴史に始まり、その仕組みや音階、和音などについての解説と演奏を交互に組み合わせる形式で進行しました。天文学者ケプラーが、音楽における調和と惑星の動きの間に規則性を見出し、それが「ケプラーの法則」の発見につながったことも紹介されました。
参加者も実験を行いました。まず、持参したグラスに水を入れて、指をぬらして、グラスの縁を擦ります。いつも使っているグラスから思いがけず美しい音が出て、驚く参加者もいました。
次に、講師が用意した調律済みのグラスを使って、6人一組で一人一音を担当し、「キラキラ星」と「ロンドン橋落ちた」を演奏し、実験は終了しました。
2. 職員によるブックトーク
最後に、職員によるブックトークを行いました。知識の本を中心にし、ストーリーテリング(本を読まずにお話を覚えて語る)も取り入れました。
当日紹介した本とプログラム
資料 | ブックトーク内容 |
---|---|
『音を楽しむ : ものと音のひびき』 板倉聖宣, 小林光子 著 小峰書店 2014 |
グラスハープに関するクイズを出題しました。講師が、実験した内容だったので、すぐに答えが出ました。 |
『音のすがたをみつけよう』 杉木優子 文 ; 伊知地国夫 写真 ポプラ社 1999 |
グラスハープと同じ原理の楽器として、中国で古くから伝わる「魚洗鍋(ぎょせんなべ)」のページを読みました。 |
『「音」のふしぎ きこえる・きこえない』 ジャック・チャロナー 著 ; 佐々木勝浩 日本語版監修; 今西大 訳 鈴木出版 1999 |
「音が振動から生まれること」を確かめるため、資料に出ている実験をしました。喉に手をあて、低い声と高い声で声を出します。全員で実際に声を出し、喉が振動していることを確認しました。 |
『摩擦のしわざ』 田中幸, 結城千代子 著 ; 西岡千晶 絵 太郎次郎社エディタス 2015 |
グラスハープは、グラスの縁を擦ることによって摩擦が起こり、中の水が振動します。そこで摩擦の定義と、摩擦熱を利用したニホンミツバチのエピソードを紹介しました。またグラスハープを改良した楽器「アルモニカ」の発明者でもあるベンジャミン・フランクリンの箇所も読みました。 |
『大図説世界の楽器』 小学館 編集 小学館 1981 |
「アルモニカ」の写真を見せました。 |
『フランクリン』 板倉聖宣 著 仮説社 1996 |
フランクリンの業績やグラスを使った楽器の音色を聴いた時のフランクリンの感想を紹介しました。 |
『星の使者 : ガリレオガリレイ』 ピーター・シス 文・絵 ; 原田勝 訳 徳間書店 1997 |
フランクリンよりも100年近く前にグラスハープのことを本に書いた人物として紹介しました。ガリレオの一生を描いた絵本で、一部、読み聞かせしました。 |
北斗七星『おはなしのろうそく25』 東京子ども図書館 編 東京子ども図書館 2004 |
講師の解説で星に関わる話があり、参加者も「キラキラ星」をグラスハープで演奏しました。そこで最後に星に関わる昔話をストーリーテリングで語り、ブックトークを終了しました。 |
3. ブックリスト
「グラスハープ」というテーマに合わせたブックリストを作成し、参加者に配布しました。ブックトークで紹介した資料に加え、ガラスや音、水、科学的な思考方法について書かれた本も掲載しています。
ブックリストの内容は、「ブックリスト」をご覧ください。
おわりに
終了後は、会場に残って講師に熱心に質問する参加者や、ブックトークで紹介した本をじっくり読む参加者もいました。
講師から今回の内容について、「今すぐ全部を理解できなくてもいい。いつか何かのきっかけで、そんな話を聞いたなと思い出し、今日の体験が生きることがあればいい。」とコメントがありました。
今後も、様々な取り組みを通して、子どもたちが科学の本に親しむきっかけ作りをしていきたいと思います。
アンケートから
参加者に当日アンケートをとりました。全員が「良かった」「まあまあ良かった」という答えでした。また、自由記入では、下記のような意見が寄せられました。
- 解説がわかりやすく、グラスハープのしくみがよくわかった。
- 実際に演奏できてよかった。いつもと違った音に出会えた。
- 解説と演奏が交互にあって飽きなかった。
- 自由研究のテーマにしたい。
- 家でも鳴らした。一曲演奏できるようになりたい。