研修・交流

児童文学連続講座 平成20年度

総合テーマ「日本の昔話」

現在、図書館やお話会で昔話が語られることが多くなりました。しかし、ほとんどの語り手は、子どものころ年寄りから昔話を聞いて育った経験はないので、昔話を本から覚えて語ることになります。

そこで、必要なことは、口伝えの昔話とはそもそもどういう語り口であったのか、どういう環境のなかで語られてきたのか、を知っておくことです。

昔話が本や絵本として子どもたちに届けられるとき、昔話らしからぬ加工がされていることが多いので、この講座では、まず昔話の本来の語りの様式についての講義を置きます。

日本の昔話はまた、日本の文学と深いかかわりがあります。中世にも、いろいろな説話文学のなかに現れています。日本文学のなかで昔話を知れば、昔話の世界はぐっと広がることになるでしょう。

昔話は主として農村で伝承されてきました。ですから農村の生活と深く関わってきたのです。本によって昔話を読んでいると忘れがちなその面についても、この講座では聞いていただきたいと思います。

日本は歴史上、隣の中国から強い影響を受けてきました。わたしたちは、昔話を通じて見たとき、日本と中国がいかに密接につながっていたかを、具体的に知ることになります。

監修 小澤 俊夫(小澤昔ばなし研究所主宰)

小澤 俊夫(おざわ としお)

中国長春生まれ。ドイツ文学者。筑波大学副学長、白百合女子大学教授を歴任。口頭伝承による昔話の研究が専門で、文学研究から民俗学にいたる分野で研究を行っている。1998年に小澤昔ばなし研究所を設立。季刊誌『子どもと昔話』を刊行。2007年、ヴァルター・カーン財団のヨーロッパメルヒェン賞を受賞。著書『ろばの子:昔話からのメッセージ』、『昔話の語法』、『昔話が語る子どもの姿』、『グリム童話の誕生』等

平成20年度 児童文学連続講座−国際子ども図書館所蔵資料を使って

テーマ 「日本の昔話」
         監修 小澤 俊夫(小澤昔ばなし研究所主宰)
開催時期 平成20年11月10日(月)~11日(火)
会場 国際子ども図書館 3階 ホール
対象 ・現在、図書館等において児童サービスに従事する方
・1機関1名 (原則として、同一市町村区内から1名)
・定員60名
・2日間連続して受講できること

*応募多数の場合は調整させていただきます。
備考 ○連続講座の全課程を修了した方に対し、国際子ども図書館長名の修了証書を授与します。
○受講に要する経費 受講料は無料ですが、旅費等は、受講者側の負担とします。

講義内容・時間割

総合テーマ 「日本の昔話」

監修 小澤 俊夫(小澤昔ばなし研究所主宰)

1日目 11月10日(月)

時間 講義名 講師・講義紹介 当日配布資料
10:00-10:20 開会の挨拶・諸連絡 国際子ども図書館職員  
10:20-12:00 昔話の語りの様式 小澤 俊夫(小澤昔ばなし研究所主宰)
昔話は口伝えされてきたために、独特の語りの様式を獲得してきました。実例によって解説します。
資料(PDF形式:113KB)
13:00-13:20 国際子ども図書館紹介DVD上映    
13:20-15:00 昔話からのメッセージ 小澤 俊夫
昔話はさまざまなメッセージを発信しています。特に重要なのは、子どもの成長する姿について、人間と自然との関係について、生命のあり方について、の三つのメッセージです。実例を示しながら考察します。
 
15:10-16:00 参考図書の紹介 国際子ども図書館職員 レジュメ(PDF形式:172KB)
ブックリスト(PDF形式:220KB)
16:00-17:00 研修生意見交換会 国際子ども図書館職員  

2日目 11月11日(火)

時間 講義名 講師・講義紹介 当日配布資料
10:20-12:00 日本の昔話の展開 大島 建彦(東洋大学名誉教授)
お伽草子の「一寸法師」などのように、ごく小さいすがたであらわれて、思いがけないしあわせをつかむという、いわゆる「小さ子」の事例を取りあげて、そのような昔話の分布と結びつけながら、その展開の過程をたどってみたいと思います。
資料(PDF形式:920KB)
13:00-14:40 昔話の伝承の実像 武田 正(山形短期大学名誉教授)
主著『日本昔話の伝承構造』(名著出版)、『佐藤家の昔話』(桜楓社)等で、昔話伝承の実態をさぐり、語りの座とそこで語られる昔話のかかわりを考え、可能なら今後の伝承の問題にも触れたいと思います。
資料(PDF形式:123KB)
15:00-16:40 日本昔話のアジア的展望 君島 久子(国立民族学博物館名誉教授)
日本人に親しまれてきた、羽衣や花咲爺、さるかに等、昔話の多くは、その源をたどれば、中国を中心に広くアジアに分布しています。その一方で「九人の兄弟」や「銀のうでわ」のように、アジアでは広く伝承しているのに、日本にはあまり語られていない昔話もあります。今回はこの二つの問題のうち、前者を中心に、後者の謎も考えてみましょう。
資料(PDF形式:168KB)
16:40-17:00 修了証書授与・閉会 国際子ども図書館職員  

(注)大島講師の資料のうち「『小さ子』資料一覧」には、当日配布したものに町村合併による修正を加えました。

平成20年度児童文学連続講座講義録「日本の昔話」

※本講義録「日本の昔話」の印刷版は、社団法人日本図書館協会から発売されています。印刷版の入手に関するお問い合わせは下記までお願いします。

社団法人日本図書館協会
〒104−0033 中央区新川1−11−14
TEL:03−3523−0812(販売直通)

※フルバージョンとライトバージョンの違い
テキスト内容は同じです。掲載写真などがライトバージョンでは圧縮され画質が落ちています。

問い合わせ先

国立国会図書館国際子ども図書館 企画協力課協力係
TEL:03-3827-2053(開館日の9:30~17:00) FAX:03-3827-2043
〒110-0007東京都台東区上野公園12-49

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