児童文学連続講座 平成19年度

総合テーマ「絵本の愉しみ−アメリカ絵本の展開」

絵本好きの人たちには忘れられない絵本『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『アンディとらいおん』『げんきなマドレーヌ』『かもさんおとおり』『ひとまねこざるときいろいぼうし』『ちいさいおうち』『もりのなか』『ぼくのにんじん』。

いずれも第二次世界大戦中[1937(昭和12)年~45(昭和20)年]にアメリカで誕生していた絵本たちです。『100まんびきのねこ』(1928)で独自の絵本芸術の花を咲かせ始めたアメリカは、上記の大戦中から戦後へかけて絶頂期を迎えていました。そして『かいじゅうたちのいるところ』(1963)が出現して、時代は新たな色彩をおび始めました。それを「expansion, exploration, sometimes exploitation (拡張と探求、時に私的利用)の時代」と呼んでいる批評家が出てきました。純金と鍍金を混同せず、皇帝が着衣しているか、はっきり見きわめてほしい、とその批評家は叫びます。ここでは輝かしい発展をとげてきたアメリカ絵本の今日までの歩みを振りかえって、絵本の本質を学ぶ参考にしたいと思います。

監修 吉田 新一(国立国会図書館客員調査員)

吉田 新一(よしだ しんいち)

1931年生まれ。立教大学大学院文学研究科英米文学専攻修士課程終了。立教大学、日本女子大学勤務を経て、立教大学名誉教授。日本イギリス児童文学学会会長、絵本学会初代会長を務める。著書:『イギリス児童文学論』、『絵本の愉しみ』、『絵本の魅力』、『ピーターラビットの世界』、『絵本・物語るイラストレーション』等。訳書:『ランドルフ・コールデコットの生涯と作品』、『宝さがしの子どもたち』等。

平成19年度 児童文学連続講座−国際子ども図書館所蔵資料を使って

テーマ 「絵本の愉しみ—アメリカ絵本の展開—」 総合監修 吉田 新一(国立国会図書館客員調査員)
開催日時 平成19年10月15日(月)~17日(水)
会場 国際子ども図書館 3階 ホール
対象 ・現在、図書館等において児童サービスに従事する方
・1機関1名 (原則として、同一市町村区内から1名)
・定員60名
・3日間連続して受講できること

*応募多数の場合は調整させていただきます。
備考 ○連続講座の全課程を修了した方に対し、国際子ども図書館長名の修了証書を授与します。
○受講に要する経費 受講料は無料ですが、旅費等は、受講者側の負担とします。

講義内容・時間割

総合テーマ 「絵本の愉しみ−アメリカ絵本の展開−」

監修 吉田 新一(国立国会図書館客員調査員)

1日目 10月15日(月)

時間 講義名 講師・講義紹介
9:30-10:00 開会の挨拶・諸連絡 国際子ども図書館職員
10:00-12:00 「草創期(ワンダ・ガァグ以前)」 吉田 新一
アメリカ絵本の黄金時代をもたらした原動力の一つである、19世紀からの子どもの本の普及活動を跡づけながら、この国の黎明期の絵本を見てみましょう。
13:30-15:30 「開花期(第二次世界大戦末まで)」 吉田 新一
1930年代、40年代のいわゆる <May Massee ブックス>を中心に、多彩な才能が生み出した絵本を愉しんでみます。
15:45-16:30 「絵本ギャラリーの紹介」 国際子ども図書館職員

2日目 10月16日(火)

時間 講義名 講師・講義紹介
10:00-12:00 「発展期(第二次世界大戦後)」 三宅 興子(梅花女子大学大学院非常勤講師)
1940・50年代のアメリカの絵本は、今日でも読みつがれている作品を数多く残しています。レオ・レオニやトミー・アンゲラー、マーシャ・ブラウンやバーバラ・クーニーと名前をあげていくと、オリジナリティがあって、しかもわかりやすく深いものを表現できた画家が大勢いたことがわかります。その理由を考えていきます。
13:00-14:00 (1)国際子ども図書館館内見学
(2)講義紹介資料の自由閲覧等
((1)(2)は選択とする)
国際子ども図書館職員
14:00-16:00 「最盛期(モーリス・センダック その1)」 吉田 新一
センダックのこれまでの創作活動の全体を、絵本界に与えた衝撃(インパクト)を視野において、見渡してみます。
16:15-17:00 「参考図書の紹介」(仮題) 国際子ども図書館職員

3日目 10月17日(水)

時間 講義名 講師・講義紹介
10:00-12:00 「最盛期(モーリス・センダック その2)」 灰島 かり(翻訳家)
モーリス・センダックの絵本は、魅力的な細部に満ちています。センダックの代表作の中から一冊を選んで、それをじっくりと見てみましょう。綿密に見るところから、構造や造形の妙に触れることができます。センダックの絵本がなぜ特別なのか、それを知る手がかりを探してみたいと思います。
13:00-15:00 「非日常の世界−物語る手法のからくり」 藤本 朝巳(フェリス女学院大学教授)
アメリカの絵本作家エド・ヤング、D.ウィーズナー、クリス・V.オールズバーグ、デイビッド・スモールなどの作品を用い、その物語る手法、隠し絵、騙し絵などを通し、現代絵本の不思議な魅力について、またエリック・カール、レオ・レオニらのしかけ絵本のおもしろさについて解き明かします。
15:00-15:30 休憩、修了証書授与 国際子ども図書館職員
15:30-17:00 研修生意見交換会 吉田新一、国際子ども図書館職員

平成19年度児童文学連続講座講義録「絵本の愉しみ(2)-アメリカ絵本の展開-」

※本講義録「絵本の愉しみ(2)-アメリカ絵本の展開-」の印刷版は、社団法人日本図書館協会から発売されています。印刷版の入手に関するお問い合わせは下記までお願いします。

社団法人日本図書館協会
〒104−0033 中央区新川1−11−14
TEL:03−3523−0812(販売直通)

※フルバージョンとライトバージョンの違い
テキスト内容は同じです。掲載写真などがライトバージョンでは圧縮され画質が落ちています。

問い合わせ先

国立国会図書館国際子ども図書館 企画協力課協力係
TEL:03-3827-2053(開館日の9:30~17:00) FAX:03-3827-2043
〒110-0007東京都台東区上野公園12-49

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