文部科学省による「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」

【2017-063】

2017年7月5日、文部科学省が、平成28年度委託調査「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」の調査結果を公開した。文部科学省は、「第三次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」をふまえ、各段階(小学生、中学生、高校生)における子どもの読書活動の実態、子どもの読書活動に影響する要因、子どもの読書活動と意識・行動等との関連性を把握することを目的とし、調査研究を行った。児童・生徒向けの質問紙調査では、全国の299 の学校、計15,861 人の児童・生徒から回答を得た。主な調査結果は以下のとおり。

子どもの読書活動の実態

  • 読書時間・読書冊数ともに、学年があがるにつれて減少傾向にある。
  • 不読率(1か月で読んだ本の冊数が「0冊」と回答した生徒の割合)は、小学生が1割未満、中学生が約1~2割、高校生が約3~4割となっている。
  • 小説等の物語、趣味に関する本がよく読まれている。
  • 児童・生徒の多くは、本の内容を楽しむため、気分転換や暇つぶしのために本を読む。
  • 小学生は、家族や学校からのすすめで、高校生は、メディアの宣伝や広告等からの影響で本を読むことが多い。
  • 本を読まない理由としては、「ふだんから本を読まないから」と答えた児童・生徒が多く、高校生では特に、「時間がなかったから」との回答が多い。

子どもの読書活動に影響する要因

  • 教職員に対する研修を実施する学校、学校司書がいる学校、学校図書館が充実している学校、読書週間にイベント等を行っている学校では、総じて本をよく読む児童・生徒の割合が高い。
  • 家庭の蔵書数もまた、児童・生徒の読書量に影響を及ぼす。
  • 小学生では、テレビやゲームの時間、中学生・高校生ではメールの時間、高校生では特に部活動や塾の時間が長いほど、読書時間が短くなる。
  • マンガや雑誌を読む時間、勉強や宿題を読む時間が長い児童・生徒は、読書時間も長い傾向にある。

子どもの読書活動と意識・行動等との関連性

  • 読書活動の度合いが高い児童・生徒の方が、論理的志向等の意識・行動に関する得点は高くなる。
  • 継続的な読書習慣の有無も、子どもの意識・行動に関係してくる。
  • 読書活動推進に関する体制や取組が、在籍している学校で実施されているかということも、子どもの意識・行動に影響する。

同報告書では、今回の調査結果により、読書活動と子どもの意識・行動とあいだには多くの点で関連性があることがわかったとまとめている。また、高校生について、本を読まない理由、本を読むきっかけ等の質問で、小学生・中学生と異なる傾向がみられたことや、不読率の高さから、特性の違いをふまえたうえで、学校としてどのような取組等の実施がありうるか検討することが重要なテーマとなってくると結論付けている。

Ref:

(2017.07.26 update)