子どもの読書傾向に関する調査 “What Kids Are Reading”(英国)

【2018-122】

英国ダンディー大学(University of Dundee)の Keith Topping 教授が、子どもの読書傾向に関する調査 “What Kids Are Reading” の結果を発表した。今回で10回目を迎えるこの調査は、2016年8月から2017年7月まで、英国国内の小中等学校(Primary / Secondary schools)4,364校の児童・生徒約963,678人を対象に行われた。

主な調査結果は以下のとおりである。

  • 小学校低学年では、学年が上がるにつれ多くの本を読む。3年生が最も多く、年間36冊の本を読んでいる。
  • 小学生は、年齢より難しい本を読んでいる。特に、ノンフィクションの本の難易度は著しく上がる。
  • 読む本の難易度は、7年生で急激に下がる。中等学校では、年齢より易しい本を読んでいる。
  • 昨年の調査と比較すると、中等学校の男子はより易しい本を読んでいるが、読んだ本の理解度は上がっていない。
  • 本を読まない子どもは、読んだ本の理解度も高くない。
  • 中等学校で読まれたノンフィクションは、年齢より2歳低いレベルである。スポーツ等、男子が好むテーマが多い。
  • ノンフィクションは、フィクションほど丁寧に読まれていない。
  • ノンフィクションに対する男子の関心は、学年が上がるにつれ高くなっていくものの、男子が読んだノンフィクションは、本全体の内9%、女子はその半分以下にすぎない。男女間の差は昨年より縮まった。ノンフィクションに対する女子の興味は、中学になると下がる。女子は、男子よりノンフィクションを理解して読んでいる。
  • 昨年の調査と比較すると、より語数が多く、長い本が読まれているが、難易度は上がっていない。

この調査結果を受けて、以下の提案が示された。

  • 教員は、各生徒がどんな本を好むかに目を向けるべきである。中等学校で読まれるフィクションとノンフィクションは、性差による違いが明白である。
  • 中等学校では、よく本を読む子どもであっても、難しい本を読むよう働きかける必要がある。
  • 男子はノンフィクションにより興味を示しているが、丁寧に読むためには、周囲の働きかけが必要である。
  • 学校は、子どもの人気を考慮した上で、本を購入することが求められる。
  • より難しい本を中等学校に増やしていくことが望ましい。

Ref:

(2018.11.27 update)