10代の若者がテーマに基づき読書・討論を行うプログラム(米国)

【2019-109】

米国図書館協会(American Library Association: ALA)は、2006年から、図書館サービスを十分に受けられていない10代の若者を対象に、テーマに基づいて読書や討論を行うプログラム “Great Stories Club”を行っている。

2019年8月、ALAは、W. K. ケロッグ財団の取組である “Truth, Racial Healing & Transformation” (TRHT) のフレームワークに基づいた“Great Stories Club”のプログラムに参加する35の図書館等を発表した。TRHTは、変革的で持続可能な変化をもたらし人種差別の歴史的・現代的な影響に対処する、地域を基盤とした全国的な取組である。参加する図書館等の内訳は、公共図書館が29館、大学図書館が2館、学校図書館が3館、図書館協会が1つであり、そのほか、オルタナティブスクール、矯正施設、学童保育施設等、29の若者のための組織が地域パートナーとしてプログラムに参加する。

“Great Stories Club”の参加館では、若者が少人数のグループになり、「困難な状況でも力強く歩む:勇気をもって大人になること」(“Growing Up Brave on the Margins: Courage and Coming of Age”)をテーマに本を読み、討論する。様々な困難に直面している読書嫌いな若者が共感できるように、図書館員や人文学者が選んだ本には、自分を理解してくれない親、信用してくれない仲間、排除しようとしてくるコミュニティ等に立ち向かい、戦う主人公が登場する。イスラム系米国人の女子高生が主人公のグラフィックノベル Ms. Marvel Volume 1: No Normal(邦訳『Ms.マーベル:もうフツーじゃないの』)、白人警官によって射殺された友人のために立ち上がる黒人の少女を描いた The Hate U Give(邦訳『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ:あなたがくれた憎しみ』)といった邦訳も出版されている本のほか、March: Book OneShadowshaperX: A NovelThe Sun is Also a Star 等の本が選定されているという。

それぞれの参加館は、選定された本(最大4タイトルを11冊)、助成金、オリエンテーションワークショップに参加するのための旅費・宿泊費、追加の資料、研修等の支援を受けることができる。

Ref:

(2019.09.24 update)