第37回国際児童図書評議会(IBBY)世界大会サブテーマ発表

【2019-138】

第37回国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)世界大会が、2020年9月5日から7日までロシアのモスクワで開催される。国際アンデルセン賞受賞作家の曹文軒(Cao Wenxuan)とデイヴィッド・アーモンド(David Almond)、国際アンデルセン賞受賞画家ホジェル・メロ(Roger Mello)、リンドグレーン記念文学賞受賞作家のバルト・ムイヤールト(Bart Moeyaert)、ミュンヘン国際児童図書館館長クリスチアーネ・ラーベ(Christiane Raabe)等の講演が予定されている。

本大会は、“Great Big World Through Children’s Books: National and Foreign Literature – Role, Value, Impact on Young Readers in Different Countries”(子どもの本がつなぐ大きな大きな世界:国内外の文学の役割と価値、各国の若い読者に及ぼす影響)をメインテーマとし、2019年12月23日まで発表の要旨を募集している。サブテーマと議題の例は以下のとおりである。

1.子どもの読書の社会学・人類学・心理学

  • ・年齢と読書―実践、課題、解決策
  • ・ジェンダーと読書:伝統と新しさ
  • ・子どもの読書への認知的アプローチ
  • ・児童文学と子どもの読書の社会学
  • ・読書による創造性の育成、文学の中のロールモデル
  • ・教育者・図書館員・心理学者による、子どもの読書に関する専門書
  • ・児童文学における多様性の表象(LGBTQ+をテーマとする様々な国の児童書、障がいやニューロダイバーシティ(脳や神経の違いによる多様性)のある人はどう描かれているか)
  • ・「危険」な本と「安全」な本の基準
  • ・子どもの発達と教育における児童文学の役割:実施した取組みの分析

2.子どもと親に人気の本 子どもと親はどんな本を選ぶのか

  • ・様々な国で人気のある、本の中の登場人物、その他のメディアのキャラクター(子どもや10代の若者向けの本をもとに制作されたアニメ、映画、ゲーム等)
  • ・幼い子どもの読書、幼児向けのノンフィクションとフィクション
  • ・未就学児のグループ読書
  • ・児童の読書
  • ・ヤングアダルト世代の読書―どんな本を好むのか、どんな本を薦めたらいいか
  • ・児童文学の賞:子ども審査員
  • ・児童文学とヤングアダルトの推薦図書リストの特徴、作成するときの戦略
  • ・ジャンル―子ども、ヤングアダルト世代の発達において、ファンタジー、ホラー、ミステリー、漫画が果たす役割
  • ・10代の若者向けの古典的な文学
  • ・子どもの読書という文脈での詩
  • ・親はどんな本を選ぶのか―親への情報提供

3.物語をいかに語るか

  • ・子どもの目を読書に向ける劇、その他の舞台芸術
  • ・ストーリーテリング等、子どもと相互に関わる活動
  • ・紙とデジタルの児童文学:異なる国の文化と歴史を守り、それを子ども、大人、教育者に伝えること
  • ・拡張現実(AR)を備えた児童書
  • ・子どもの読書推進のために、心理学者、教育者、図書館員によって企画された先進的なプログラム
  • ・エデュテイメント(教育的エンターテインメント)、教育的な文学の新たな形
  • ・探し絵の絵本、飛び出す絵本、しかけ絵本、トイブック

4.今の世界と未来の世界 子ども向けのノンフィクション

  • ・小学生のためのノンフィクション
  • ・10代のためのノンフィクション、人気のある科学の本
  • ・生き方の本(現在・未来)
  • ・子どもや若者のための現代のノンフィクションにおける正確さの問題
  • ・昔と今の本のつくり:ノンフィクションに関心を向けるには
  • ・人気のある科学・教育的子ども向けオンライン資料:YouTube、その他のメディア
  • ・子どもや若者向けのノンフィクションのデザインと挿絵

5.子どもの本の視覚的な世界

  • ・家庭で読書するときに挿絵が果たす役割、様々な年齢の子ども(幼児・未就学児・小学生・ヤングアダルト世代)向けの本の挿絵
  • ・様々な形の児童文学:本、マルチメディア、インターネット
  • ・インターネットの情報の役割、児童文学を広めるウェブ・プラットフォーム
  • ・名の知れたメディア出演者が児童文学を広めること
  • ・現代・古典的な挿絵と、子どものグループ読書
  • ・挿絵のある本で、作家と画家が影響を及ぼしあうこと
  • ・漫画、グラフィック・ノベル、一人の作者が文と絵を手がけた絵本、子どもと若者向けの視覚的な本
  • ・漫画化された読み物、読み物になった漫画

6.民族文化と多言語主義 自国語の児童文学

  • ・自国の言語や方言による児童文学の出版プロジェクト
  • ・少数言語による児童文学、書き言葉や文学が失われる問題
  • ・言葉や伝統文化を守るものとしての本
  • ・多言語主義と移民問題、新しい社会になじめるよう助ける児童文学
  • ・少数民族の言語による珍しいおとぎ話の物語

7.青少年への読書推進活動(美術館、図書館、出版社、劇場、その他の文化施設と連携した取組み)

  • ・国内向けあるいは国際的な本のフェスティバルやフェアを開催し、児童書出版の現状を示すこと
  • ・児童書を推進する優れたプロジェクト
  • ・児童書・読書の専門家や子どもを対象とする文学コンテスト、国際的なキャンペーン
  • ・子どものためのイラストレーションと文学を展示するインタラクティブなプロジェクト
  • ・子どもの本のミュージアムとテーマパーク
  • ・児童文学の情報や方法論的な資料の専門家への提供
  • ・出版社に向けた横断的なプロジェクト
  • ・ボランティアの活動―子どもと若者の読書推進の取組み

8.児童文学の翻訳

  • ・児童書の翻訳の特質
  • ・どんな児童文学を訳すか、どんな児童文学が他国でも受け入れられるか
  • ・自国の文学と翻訳―読者が選ぶのは?
  • ・翻訳される文学、翻訳されない文学―見過ごされている国は?
  • ・翻訳、翻案、ローカライズ
  • ・絵本、幼児向けの本の翻訳
  • ・児童文学という鏡に映った国の姿

9.児童文学の歴史 児童文学批評

  • ・児童文学論
  • ・自国及び世界の歴史における児童文学
  • ・児童文学の研究手法の問題
  • ・批評という鏡に映した児童文学
  • ・子ども時代の歴史における文学ジャンルの歴史
  • ・児童文学のテキスト批評
  • ・批評とPR、広告

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(2019.11.26 update)