「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)」の結果公表

【2020-004】

2019年12月3日、経済協力開発機構(OECD)は、2018年の「生徒の学習到達度調査」(Programme for International Student Assessment: PISA)の結果を発表した。

同調査は、世界の15歳の生徒を対象に、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野における学習到達度を測り、社会への十分な参加に必要不可欠な知識と技能をどの程度習得しているかを評価するもので、2000年から3年ごとに実施されている。7回目となる2018年の調査は、「読解力」を中心分野として、79の国と地域で、約60万人の生徒を対象に実施された。

OECDは、今回の調査で、OECD加盟国の生徒の4人に1人が最も基本的な読解問題すら解くことができなかったことを受け、生徒たちは変化の激しいデジタル社会を生き抜く方法を見つけるのに苦労するであろうとしている。

OECDによる日本に関する調査結果のうち、主な内容は以下のとおり。

・日本の15歳の生徒は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーでOECD加盟国の平均得点より高い得点を獲得した。

・日本では、数学的リテラシーについては、2003年から2018年まで安定して推移した。一方、読解力と科学的リテラシーについては変化が大きく、その方向性を定めることができないが、最近の傾向としては明らかに低下した。

・PISA2018に参加したすべての国・地域で、女子の読解力は男子より高い。特に日本の生徒における読解力の平均得点の男女差は、OECD加盟国の平均得点の男女差よりも小さい。この日本における平均得点の男女差は前回調査と比較しても縮まったが、これは女子の成績が下がったことによるもので、男子の成績には大きな変化はなかった。

・日本では、社会経済的状況が恵まれた生徒のほうが、恵まれていない生徒よりも読解力において優れている。しかし、その差は他のOECD加盟国における、社会経済的状況が恵まれた生徒と恵まれていない生徒の差に比べると小さい。

・日本では17%の生徒が、少なくとも月に数回はいじめを受けたと回答した。なお、OECD加盟国の平均は23%であった。

・他のPISA参加国・地域と比べ、日本の生徒は失敗することを恐れていることが多く、約8割の生徒が、自分が失敗すると他の人の目を気にするという。成績の高い国・地域では、失敗することを恐れている生徒の割合が高いという傾向が見られた。

PISA2018の概要、国別の分析、サマリー、データ等を含め、詳細な調査結果はOECD(PISA)のウェブサイトから閲覧可能となっている。

また同日、PISA2018の調査結果を踏まえ、文部科学省及び国立教育政策研究所による報告書が公表され、児童生徒の学力向上を図るための文部科学省の施策が提示された。具体的には、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善、言語能力・情報活用能力育成のための指導の充実、学校のICT環境の整備と効果的な活用、社会経済文化的背景による格差の縮小に向けた質の高い教育機会の提供等、さまざまな取組に学校や教育委員会等の関係者と連携・協力し推進していくことが挙げられている。

Ref:

(2020.01.27 update)