「子どもと絵本・本に関する研究」第1回成果発表

【2020-043】

2020年2月19日、株式会社ポプラ社と東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(東京大学Cedep)は、共同で行っているプロジェクト「子どもと絵本・本に関する研究」の第1回目となる調査「全国保育・幼児教育施設の絵本・本環境実態調査」の成果を発表した。

同プロジェクトは、都市部を中心に就学前の保育・幼児教育施設が急増し、その役割がこれまで以上に重要になってきている背景を踏まえ、「絵本・本と子どもの発達」をテーマに、デジタルメディア時代の子どもを取り巻く絵本・本環境を多層的・多面的に研究し、絵本・本の新たな価値の発見と生成、環境改善を目指すものである。今回、成果発表が行われた「全国保育・幼児教育施設の絵本・本環境実態調査」は、全国の保育・幼児教育施設(認定こども園、幼稚園、認可保育所、認可外保育施設等、以下「園」という)全33,566 園を対象に実施したもので、こうした実態調査は初の試みであるという。回答のあった施設計 1,042 園を対象とする調査結果の概要は以下のとおり。

  • 義務教育段階の教育施設(小学校・中学校)に比べて、園における絵本・本の蔵書数と購入予算は少ない傾向にある。一方で、6割以上の園で、現在の蔵書数・購入予算は十分であると認識している。
  • 幼稚園・認定こども園に比べて、認可保育所では、絵本・本の蔵書数や予算額が少ない傾向にある。
  • 蔵書数が少ない園ほど、絵本を借りることができる近隣施設(主に図書館)を頻繁に利用している。
  • 園で購入する絵本・本の主たる選び手は保育者や園長、主任であり、子ども自身が絵本選びに関与することは多くない。
  • 同プロジェクトは、こうした調査結果を踏まえて「保育・幼児教育施設の絵本・本環境についてより真剣に考えていく必要がある」「環境拡充を検討する際には、地域にある図書館等の活用も含めて検討していく必要がある」等、明らかになった点を示しつつ、今後の調査では、本調査結果を踏まえた上で、どのような絵本・本を、園においてどのように配置・活用しているのか等、絵本・本環境の質の具体的な側面について、さらに検討を加えていくと述べている。

    また、絵本・本の実験研究の第一弾として、デジタル絵本やアニメーション動画と絵本・本の相違点について、親子の視線行動や言葉かけの違いから明らかにしていく予定であるとしている。

    Ref:

    (2020.03.24 update)