2021年フェニックス賞及びフェニックス絵本賞の受賞作品決定

【2020-111】
注記(2021年10月20日追記)

2021年フェニックス賞は、当初トニー・ジョンストン(Tony Johnston)の “Any Small Goodness” が受賞し、次点であるHonorAlyssa Brugmanの “Finding Grace” が選出された旨が公表されたが、後に両者が入れ変わり、現時点で2021年フェニックス賞受賞作品は “Finding Grace” とされている。

Finding Grace
Alyssa Brugman

(作品紹介)

18歳の Rachel の語りを通して、悲劇的な出来事とどう折り合いをつけ、大きな喪失を越えていくかという難しい問いを投げかける作品である。Rachel は事故で脳に損傷を受けた Grace の介助の仕事をすることになり、話すのが困難な Grace から多くを学ぶ。

米国児童文学協会(Children’s Literature Association: ChLA)は、2021年フェニックス賞(Phoenix Awardの受賞作品がトニー・ジョンストン(Tony Johnston)の “Any Small Goodness”に、フェニックス絵本賞(Phoenix Picture Book Award)の受賞作品がGrace Lin の “Dim Sum for Everyone!” に決定したと発表した。

Any Small Goodness” では、メキシコ系アメリカ人の少年 Arturo が優しい両親や祖母から、町は自分たちの手でつくるものだと学ぶ。Arturo と家族は、愛と力と信念によって暴力や喪失を乗り越えていく。また、Arturo の友達も身のまわりの小さな善い行いに目をとめることで、ギャングの誘いや不安定な家庭環境に負けず、自らの文化が失われそうになったときにはそれに抗う。

“Dim Sum for Everyone!” には、中国系の家族のにぎやかで活気のある食事風景が描かれてている。前見返しには調理前の食材、後見返しにはできあがった料理が並び、点心の描写も、家族で食事をともにする様子も魅力的である。短い文章が注意深く配置され、物語を引っ張っていく。シンプルでありながら、もっと味わいたいという気持ちにさせる作品である。

Ref:

所蔵リスト

トニー・ジョンストン(Tony Johnston)著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

Grace Lin著作一覧:国立国会図書館サーチで当館所蔵資料を検索

(2020.08.21 update)