2021年スコット・オデール賞の受賞作品決定

【2021-017】

米国のスコット・オデール賞選考委員会は、優れた児童・ヤングアダルト向けの歴史小説に贈られるスコット・オデール賞(Scott O’Dell Award for Historical Fiction)の2021年の受賞作品が、Helen Frost の “All He Knew” に決定したと発表した。

受賞作品

“All He Knew”
by Helen Frost

1939年、病気で耳が聞こえなくなった6歳の少年 Henry は、テストで失敗したことから、知的障がいのある子どもの施設に送られる。Henry は虐待を逃れるために口がきけることを隠し、家族に会えない生活の中、友人をつくる。戦争が始まり、施設で働きだした良心的兵役拒否者の Victor は、Henry の将来を考えて計画を立てる。

“All He Knew” は、作者自身の家族の体験にインスピレーションを得て生まれた。選考委員会は、「自由詩と定型詩を組み合わせ、細部にまで心を配った巧みな手法で書かれた作品である。物語には、戦時下の経済の変化など、時代の空気が吹き込まれているが、心に訴える Henry の視点と彼が置かれた環境には、現代を生きる子どもたちもひきこまれるだろう。様々な年代の人々に読まれる本である」と評価している。

作者のFrost は長年、創作活動による暴力防止プログラムや、高校生が暴力の体験を言葉で表現し、それを劇にする活動を支援してきた。

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(2021.02.19 update)