2020年度の小・中学校図書館整備施策の実施状況

【2021-049】

2021年4月7日(水)、全国学校図書館協議会(全国SLA)は、2020年度「学校図書館整備施策に関するアンケート」の集計結果を発表した。市区町村を対象とするアンケート調査は、2020年7月に全国1,741の市区町村教育委員会を対象に実施され、1,029の教育委員会から回答を得た(2021年3月3日現在。回収率59.1%)。アンケートには、今年度から新たに新型コロナウイルス対策に関する項目が設置されている。調査結果の概要は、以下のとおり。

平均図書費

2020年度予算における1校あたりの平均図書費は、小学校で449,120円(前年度比+18,497円)、中学校で594,158円(前年度比-1,458円)となった。小学校は前年度比+7,634円であった昨年に続き、予算増加の傾向にある。その一方で、中学校は、前年度比+15,832円であった昨年度と比べると予算が縮小されている。

「学校図書館用の新聞購読費」の予算化状況

学校図書館用の新聞購読費について、新聞配備のために費用を予算化している自治体は393市区町村(38.2%)と全体の半数以下であり、平均購入紙数は、小学校で1.6紙、中学校で1.7紙となった。

学校司書配置の予算化状況と雇用形態

学校司書の配置について、以前から配置をしている、もしくは新たに配置を予算化した自治体は、687市区町村(66.8%)と全体の7割弱を占めた。

学校司書が配置されている自治体のうち、学校司書をフルタイムの正規の職員として雇用している自治体は10市区町村(1.5%)であった。一方、臨時・嘱託等の職員として雇用している自治体は590市区町村(85.6%)と8割を超え、正規および臨時・嘱託の職員両方がいる自治体は34市区町村(4.9%)であった。

学校図書館担当者の研修状況

学校図書館担当教諭の研修を毎年1回以上行っている自治体は293市区町村(28.5%)、学校司書を配置している学校のうち、学校司書の研修を毎年1回以上行っている自治体は390市区町村(56.6%)となった。研修は、主に教育委員会が担当している。

「新型コロナウイルス感染防止対策」費用の予算化状況

学校図書館における「新型コロナウイルス感染防止対策」費用について、既に予算化している、または2020年度中に予算化予定であると回答した自治体は349市区町村(33.9%)となった。これらの自治体のうち、学校図書館用としての予算化は22市区町村(6.3%)、学校全体の用途としての予算化は320市区町村(91.7%)であった。

コロナ禍での学校図書館・読書振興施策

「新型コロナウイルス感染症」の拡大防止や、それに伴う休校・分散登校に対応する施策として2020年度に行った(または行う予定がある)学校図書館・読書振興施策については、「感染拡大防止用物品の提供」(359市区町村、34.9%)、「感染拡大防止対策の学校図書館用ガイドライン等(国や関連団体作成)を周知」(329市区町村、32.0%)という回答が多かった。「児童生徒が自宅で利用できるコンテンツ類の作成・提供」(45市区町村、4.4%)や、「郵送や宅配による図書館資料貸出」(51市区町村、5.0%)「電子図書館サービスの導入・拡充」(34市区町村、3.3%)などの資料提供に関する取り組みをした自治体は、それぞれ5%以下であった。

調査結果の詳細および自治体ごとの回答は、全国SLAのウェブサイトから閲覧できる。

Ref:

(2021.05.09 update)