第38回国際児童図書評議会(IBBY)世界大会
【2021-106】
国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)世界大会は、子どもの本に関わる人々が世界中から集まる場として、1953年以降、隔年で開催されている。講演や研究発表、パネルディスカッションのほか、国際アンデルセン賞、IBBY朝日国際児童図書普及賞、IBBY-iRead 読書プロモーター賞、IBBYオナーリストの授与式などが行われる。
第38回IBBY世界大会は、2022年9月5日(月)から8日(木)まで、マレーシアのプトラジャヤで開催される。“The Power of Stories”(物語の力)というメインテーマのもと、「国や文化、教育制度の違いを越えた共通の物語を探すとともに、互いを理解し、世界を意味づけるのに物語が果たす役割に目を向ける」とされている。
なお前回、第37回IBBY世界大会は、2020年にロシア・モスクワで開催される予定であったが、コロナ禍のため1年延期され、2021年9月にオンライン参加を併用して開催された。現時点で、マレーシア大会のオンライン参加併用の可能性については言及されていない。
IBBYマレーシア大会事務局は、発表の要旨を2022年3月15日(火)まで募集している。サブテーマとトピックの例は次のとおりであるが、ここに挙げられていないトピックでも、いずれかのサブテーマに当てはまり、児童ヤングアダルト文学に関するものであれば受け付けるとのことである。
1 子どもの発達における認知力
- 認知機能の発達における本や物語の役割
- 言語・学習・リテラシー
- 物語に基づいた教育・学習のアプローチ
- 学習障がい
- 娯楽としての読書
2 子ども・ヤングアダルト世代の心と物語
- 子ども・ヤングアダルト世代へのビブリオセラピー(読書療法)
- 創作と創造的な読書
- 障がいのある子どものための本と読書
3 子ども・ヤングアダルト世代の物語における視覚的および聴覚的表現の力
- 絵本、イラストレーション、動画、視覚素材、アニメーション、マルチメディア
- パフォーマンスアートとしてのストーリーテリング
- 話された言葉、文章、音声、メディアの変換
4 児童文学とヤングアダルト文学をつなげること
- 文学における多文化・多言語のテーマ
- 文学において国を感じさせるテーマと、国を越えたテーマ
- 翻訳とコミュニケーション
- 先住民族の表象を含む、多文化社会における多様性と包括性
- 口承から文章への移行
- 口承文学の伝統と現代のテクノロジーを結ぶマルチメディア
5 児童文学・ヤングアダルト文学のアイデンティティーと価値
- 文学における個人、地域および文化的アイデンティティー
- 文学におけるコミュニティーと国家の形成
- 子どもの問題に焦点を当てた国民文学
- 児童文学・ヤングアダルト文学に描かれた移民の体験
- 児童文学・ヤングアダルト文学における普遍的な価値
- 児童文学・ヤングアダルト文学における文化と家族の持続可能性
6物語やストーリーテリングにおける共感(エンパシー)と記憶
- 認知・感情面の共感、グループの内外での共感、共感のプラスとマイナスの側面
- 若者に向けて書かれた、社会運動としての文学
- 子どもの体験における記憶の描写
- 児童文学・ヤングアダルト文学における美徳、道徳的・人道主義的な価値観
Ref:
- IBBY Congress 2022
https://www.ibbycongress2022.org/
(2021.09.28 update)