トランスジェンダーの主人公の物語のタイトルが変わる

【2021-133】

2021年10月28日(木)、米国のスカラスティック社は、2015年に刊行されたアレックス・ジーノ(Alex Gino)の “George”(邦訳『ジョージと秘密のメリッサ』、偕成社)のタイトルを “Melissa” に変えると発表した。

同書の主人公はトランスジェンダーのジョージで、メリッサという名前を望んでいる。作者によれば、タイトルを変えるのは「メリッサとすべてのトランスジェンダーの人を尊重すること」であり、「“Melissa” ではなく “George” というタイトルを使うのは、ある人にとってよりふさわしい名前があるのに、元の名前で呼んでもいいと言うようなもので、それは正しいことではない」という。

ジーノは、この作品を性別にとらわれない外見で活躍したゲイのミュージシャンであるボーイ・ジョージから連想し、出版前は “Girl George” というタイトルで呼んでいた。しかし、大人が “Girl” という言葉にとらわれて、男の子に本が手渡されない可能性があるという意見が出版社内にあり、 “George” というタイトルで出版されることになった。そのとき声をあげるべきだったと考えていたジーノは2021年の夏、油性ペンでタイトルを “Melissa’s Story” に書き換えた写真をソーシャルメディアに投稿し、同じようにすることを人々に呼びかけた。それが好意的に受け止められた結果、タイトルの変更が決定された。

新たなタイトル “Melissa” が印刷されたカバーは、スカラスティック社のホームページからダウンロードできる。2022年4月には新版の刊行も予定されている。

Ref:

(2021.12.02 update)