国際アンデルセン賞選考委員長が辞任

【2023-014】

2023年1月10日(火)、国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)は、2024年国際アンデルセン賞選考委員長のアナスタシア・アルヒポワ(Anastasia Arkhipova)氏が辞任することを発表した。今後は暫定的に、前IBBY事務局長のリズ・ペイジ(Liz Page)氏が委員長を務める。

アルヒポワ氏はロシア出身で、Stroganov Moscow Academy of Arts and Industryの教授であり、画家・イラストレーターでもある。2022年9月に開催されたIBBYマレーシア大会で、正当な手順を経て民主的に選ばれ、各国支部の承認を得て国際アンデルセン賞選考委員長に就任したが、その後デンマークのマルグレーテ2世女王が賞の後援をやめ、またデンマークのオーデンセ市長からIBBYに対して、アンデルセンというデンマークの作家の名を賞の名前から外してほしいという要望が出たと、ロイター通信は報じている。ロイター通信の記事では、戦争プロパガンダのコンテストを行ったMOCX(Artists Association of Russia(=Russian Union of Artists)モスクワ支部)の理事であることを理由に、選考委員長辞任を求める声が加盟国の中にあったとされている。しかし、IBBYが公表したオーデンセ市長らへの回答によれば、アルヒポワ氏はMOCXに対して影響力のある立場ではなく、MCX(Moscow Union of Artists)という、まったく別の組織で長年活動しているという。IBBYは、ソーシャルメディアで流れた情報には誤りもあるとして、それによって同賞のイメージが損なわれてしまったことを懸念するとともに、各国の会員がその国の政府を代表しているわけではないことをあらためて訴えた。

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(2023.02.21 update)

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