2022年度の小・中学校図書館整備施策の実施状況

【2023-039】

2023年4月20日(木)、全国学校図書館協議会(全国SLA)は、2022年度「学校図書館整備施策に関するアンケート」の最終集計結果を公表した。本アンケート調査は、2022年6月に実施された全国1,741の市区町村教育委員会を対象とする悉皆調査であり、1,074の教育委員会から回答を得た(2023年4月12日現在。回収率61.7%)。今回のアンケートには、前年度まで設けられていた新型コロナウイルス対策費用の予算に関する項目に代わり、タブレット端末用の電子書籍購入費用の予算に関する項目が設けられた。調査結果の主な概要は以下のとおり。

平均図書費

2022年度予算における小学校および中学校の1校あたりの平均図書費は、小学校で442,429円(前年度比+6,596円)、中学校で577,654円(前年度比+14,907円)となり、小・中学校ともに予算が増加した。また、小・中合算の図書予算の増減状況を市区町村の割合で見ると、前年度予算より増額または同額となった自治体の割合が、減額となった自治体の割合を上回った。

図書予算額は、小・中学校ともに学校規模等に応じて割り振りを行っている自治体が約3割ともっとも多く、学校図書館図書標準達成への不足度で割り振りを行っている自治体は約2割であった。

「学校図書館用の新聞購読費」の予算化状況

学校図書館用の新聞購読費について、新聞配備のために費用を予算化している自治体は435市区町村(40.5%)と回答数の半数以下であった。前年度に続き、予算化していない自治体が半数以上を占めているが、このうち「消耗品費」等から学校裁量で購入している自治体は9割を超えた。予算化している場合の平均購入紙数は、小学校で1.5紙、中学校で1.8紙であった。

古い図書の廃棄状況

学校図書館の図書更新のために、利用できない古い図書の廃棄を勧めている自治体は、517市区町村(48.1%)となり、前年度(44.9%)より増加した。

学校司書配置の予算化状況と雇用形態

学校司書の配置について、以前から配置をしている、または新たに配置を予算化した自治体は、751市区町村(69.9%)と回答数の約7割を占めた。

学校司書が配置されている自治体のうち、学校司書をフルタイムの正規の職員として雇用している自治体は10市区町村(1.3%)であった。一方、臨時・嘱託等の職員として雇用している自治体は643市区町村(85.2%)であり、正規および臨時・嘱託の職員の両方がいる自治体は35市区町村(4.6%)であった。

学校図書館担当者の研修状況

学校図書館担当教諭の研修を毎年1回以上行っている自治体は323市区町村(30.1%)、学校司書を配置している学校のうち、学校司書の研修を毎年1回以上行っている自治体は409市区町村(54.2%)となった。研修は、教育委員会が担当しているケースが多い。

電子書籍購入費用の予算化状況

2022年度の予算において、学校図書館がタブレット端末用の電子書籍を購入するための費用を予算化している、または予算化予定とした市区町村は22市区町村(2.0%)となった。これらの自治体のうち、電子書籍購入予算を図書購入予算に含めている自治体は6市区町村(27.3%)、別予算としている自治体は14市区町村(63.6%)であった。一方、2022年度中に予算化の予定はないとした自治体は1,049市区町村(97.7%)と9割を超えた。

調査結果の詳細および自治体ごとの回答は、全国SLAのウェブサイトから閲覧できる。

Ref:

(2023.05.24 update)