第39回国際児童図書評議会(IBBY)世界大会

【2023-077】

国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)世界大会は、子どもの本に関わる人々が世界中から集まる場として、1953年以降、隔年で開催されている。

第39回IBBY世界大会は、2024年8月30日(金)から9月1日(日)まで、イタリアのトリエステで開催される。大会の期間中、講演、パネルディスカッション、セミナー、ワークショップ、展示のほか、国際アンデルセン賞、IBBY朝日国際児童図書普及賞、IBBY-iRead 読書プロモーター賞、IBBYオナーリストの授与式が行われる。イタリアの作家であるロベルト・ピウミーニや、英国の作家であり動物学者でもあるニコラ・デイビスなどの登壇が予定されている。

IBBYの創設者イェラ・レップマンはすぐれた本によって、平和を愛し、洞察力や想像力をそなえた自由な人間を育てる中で、世界に変化をもたらそうとした。そうした姿勢は今日さらに重要になっていることから、変化をもたらすのは誰なのか、何なのかを考えるよう呼びかけ、 “Join the revolution! Giving every child good books”(変化をもたらせ!すべての子どもにすぐれた本を)というメインテーマが掲げられている。

今大会では、すぐれた本の価値や多様なジャンルについてだけではなく、文字がなく絵だけで表現したもの、詩のようにイメージや意味をつくりだす言葉、言葉ですべてを表すような物語詩についても議論を広げることを目的としている。またイタリアの近隣の国から若い読者が参加し、世界で行われている取り組みについて発表し、国や文化の相互理解を深めることも目指している。

IBBYイタリア大会事務局は、口頭かポスターによる発表の要旨を2024年1月15日(月)まで募集している。サブテーマとトピックの例は次のとおりである。

変化の担い手

本の制作・流通、選書、読書教育に携わる人たち、すぐれた実例や課題・問題について。図書館、出版社、書店、団体・施設、学校、大学・研究センター、協会、ボランティアに属する人が対象。

若い読者

若い読者が自分の意見を伝えることを可能にするようなプロジェクト、世界の読書プログラムについてのビデオ報告など。

変化をもたらす力となる「すぐれた本」

本の様々なフォーマット・ジャンル・表現、文化的・芸術的・教育的なプロジェクトや創作プロジェクト、レップマンの言う「すぐれた本」をより広く届けるためのプログラムについて。絵本、書かれた言葉・特定の言語・表現力豊かな文体、多様性(サステナビリティ(持続可能性)・文化的多様性・社会正義)、デジタルリテラシー、言葉への感性について。その役割や価値もここに含まれる。

読者の育成

本の流通や子どもの読書推進を妨げる社会・経済・文化の壁、あるいは心理的な壁を越え、若い読者を育てるための政治・経済の方策や公的な取り組みについて。ラジオやテレビなどのメディア、ソーシャルメディア、ブックフェアなどもここに含まれる。

言葉・文化・国が交わるところ

境界地帯:一方の側にだけ属するのではなく、壁・境界・障壁のない未来を描ける場として「境界地帯」を捉え直すプロジェクト、アイディア、取り組み。移動図書館、新しい図書館、複数の国による共同プロジェクト、本の巡回展、読書指導・教育、すぐれた本を確実に手渡す試みなど、IBBY支部が支援している活動を含む。

すべての言語の重要性:すべての人間が情報を得て、活動的な市民になる権利を有するという認識に基づき、子どもの読者に対し、その地域のすべての言語で質の高い本を提供している公共図書館、学校、協会、施設の取り組みについて。例えば翻訳、多言語使用(マルチリンガリズム)、先駆的なプロジェクト、移動図書館など。

Ref:

(2023.10.10 update)