子どもの読書に関する7年間の追跡調査

【2023-093】

2023年10月19日(木)、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」等に基づく、子どもたちの読書行動に関するデータが「小学生から高校生の読書に関する7年間の追跡調査データ」として発表された。同調査は、「子どもの生活と学習に関する意識と実態(子ども調査)」と「保護者の子育て・教育に関する意識と実態(保護者調査)」をテーマに、同一の子ども(小学1年生から高校3年生まで)と保護者を対象として2015年に実施し、その後7年間継続して追跡し調査したものである。

調査の主な分析結果は以下のとおり。

1日(平日)の平均読書時間

2022年の調査データとして、小学1年生から高校3年生の全体では、49.0%が平日に読書をしない(「0分」)と回答する結果となった。性別の場合、「0分」の割合は女子が45.1%であるのに対して男子は53.1%と割合が高く、学校段階別の場合は上の学年に上がるほど「0分」の割合が多くなった。さらに、7年間の追跡データとして、全体の読書時間(1日当たり)の平均は2015年の18.2分から2022年の15.2分へと減少傾向にある。

早期の読書習慣形成の効果

7年間の追跡データとして、小学校入学前に読み聞かせを「週に4日以上」受けた子どもは、「週1日未満」の子どもと比べて、その後の読書時間も1.5~2倍長くなる傾向があり、また、早い段階で読書習慣を身に着けた子どもは、その後も長い時間読書をする傾向がある。

読書の効果

2022年の調査データとして、1日の読書時間が1時間以上の「多読層」の子どもは、それよりも読書時間が短い子どもたちの層と比べて、理解・思考・表現の能力に対する自己評価が高い。また、1日の読書時間が5~30分の「中間層」、そして「多読層」の子どもは、1日の読書時間が0分の「不読層」の子どもに比べて、ニュースへの関心が高い、自分への自信がある、将来の目標が明確であるといった傾向がある。

以上のほか、スマホやテレビ、本など各メディアの利用についての調査や紙版・電子版書籍の利用についての調査結果も報告されている。詳細は、ベネッセ教育総合研究所のウェブサイトで確認できる。

Ref:

(2023.11.24 update)

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