2024年IBBY-iRead読書プロモーター賞受賞者決定

【2024-049】

2024年4月8日(月)、国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)は、IBBY-iRead読書プロモーター賞(IBBY-iRead Outstanding Reading Promoter Award)の受賞者について、パキスタンの読書活動推進家・作家のバサラット・カズィム(Basarat Kazim)と、コロンビアの読書活動推進家・作家のイレーネ・バスコ(Irene Vasco)に決定したと発表した。

同賞は、優れた読書活動推進プロジェクトを立ち上げて実施したり、読書活動推進のための方策を効果的に進めたり、子どもの読書の権利を推奨し広く伝えるなど、読書活動推進に貢献した個人を対象とし、隔年で2名に授与される。授与式は、2024年8月から9月にかけてトリエステ(イタリア)で開催されるIBBY世界大会で行われる。

受賞者

バサラット・カズィム(Basarat Kazim
パキスタン(パキスタン支部からの推薦)

同支部はバサラットを推薦するにあたり、「無私で献身的な人道主義者、教育者、児童書の作家、社会活動家、そして子どもの読書における強固な守り手」だと評した。その革新的な活動は1978年、一つの図書館で500人の生徒と関わったことからはじまった。その後アルフ・ライラ(千一夜物語)ブックバス協会の活動を7,000以上の図書館に広げ、それによって100万人の子どもたちがサービスを受け、1,000人以上の教員が研修に参加した。パキスタンのすべての子どもが読書の機会をもつべきだという信念から、あらゆるものを活用し、子どもの読書の場をつくったことが評価され、2023年にインスパイアリング・ウィメン・アワードを受賞した。「可能性は無限大」をモットーとして、ラクダ、ヤク、人力車、自転車、バイク、箱を利用した移動図書館を提供してきた。熱意にあふれるバサラットは、「あらゆるものを、子どもたちのための図書館にする女性」と称されている。

イレーネ・バスコ(Irene Vasco
コロンビア(カナダ支部からの推薦)

同支部はバスコを推薦するにあたり、1980年代から活躍している「コロンビアの児童文学の専門家、講師、作家、読書活動推進家」であり、「南米やスペインの会議に参加し、読書活動推進における国際的な権威となり、また児童文学とヤングアダルト文学の作家として国内外で知られている」と評した。バスコは紛争や不法武装グループのために危険な状況にある場所で公共図書館開館に携わり、先住民の暮らす地域で子どもたちに読み聞かせを行ってきた。元兵士が市民生活にもどるためのプログラムにも参加している。村のコミュニティホームに小さな図書館をつくるなど、革新的な取り組みを続けながら、読むことをおぼえた女性の物語を書いたり、読書推進に関する本を執筆し、自身の経験を伝えたりもしている。

Ref:

(2024.06.06 update)