公共図書館等におけるリテラシー及び読書プログラムの効果に関する調査

【2024-074】

2024年4月30日(火)、米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)は、読書への動機づけと、公共図書館等の読書プログラムの効果に関する調査結果を発表した。

この調査は、公共図書館は様々な環境にいる子どもと家族に無料のプログラムと資料を提供し、リテラシー育成に重要な役割を果たしているとした上で、「どのような活動が、読書への動機づけを進めるのか」「読書力を伸ばす上で、そうした活動はどの程度、関わり合っているのか」という問いに基き、文献調査によって行われた。報告書にまとめられた主な調査結果は以下のとおりである。なお、公共図書館に関する研究情報が少なかったため、公共図書館以外のプログラムも調査対象に含められている。

  • 公共図書館で行われているリテラシー及び読書プログラムの有効性に関する実証研究は不足している。
  • 公共図書館以外、特に学校が介入して行われたリテラシー及び読書プログラムの有効性に関しては、多くの実証研究がある。
  • プログラムの有効性を高めるには、効果的な内容、指導方法、意欲を高める実践等、実証に基づく様々な活動を組合わせて行うことが重要である。
  • 学校では特に小学校高学年において、複雑な知識や概念(説明文)と読書指導を合わせたプログラムが、理解力や読書への動機づけに効果をもたらしている。
  • 読書の方策が示されなかったり、大人からの支援がなかったりする場合、たとえ興味のある本であっても、子どもたちに手渡すだけでは効果を得られない。
  • 図書館におけるプログラムでは、読み聞かせ、本をめぐるディスカッション、社会的交流などは、効果が期待できる。図書館以外、特に学校のプログラムでは、音読、くりかえし読むこと、読書における認知方略の育成、大人からの学習支援を受けつつ興味深い文章に触れること、生徒の自主性と個別支援のバランスをとること、本をめぐるディスカッション、共同的な活動、社会的交流といった実践が効果を得られた。
  • 図書館以外のプログラムでは、子どもの読書活動に家族が関わることで効果を得られた。
  • 地域が関わるプログラムは、読書への動機づけと読書スキル育成に及ぼす効果が期待できる。

Ref:

(2024.08.20 update)

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